TikTok、音楽ストリーミング事業に参入か〜商標から明らかに 世界の音楽配信サービスがさらに競争激化も


動画SNSとして圧倒的な存在感を放っているTikTokが、音楽ストリーミングサービスにも進出する可能性が商標登録から明らかに。これは世界の音楽配信サービス市場の競争が一段と競争激化し、中でもApple Musicの強力な競合相手となることが予想されると、iPhone Maniaほか各メディアが22年7月伝えている。

Business Insiderによると、TikTokの親会社であるByteDanceが、米国でTikTok Musicという名称の商標を5月に申請していたことが分かり、公式には明らかにされていないため具体的な詳細は不明だが、名称やトレードマークから音楽ストリーミングサービスを展開する可能性が非常に高いと考えられている。

すでにTikTokは、全米トップチャートであるBillboard 100のほか、SpotifyやApple Musicの上位ランキングにも数多くの楽曲を送り込んでいるだけに、サービス開始と同時に、Apple MusicやSpotifyなどのライバルになることは間違いない。
とはいえ、TikTokの道のりはここまで決して順風満帆なことばかりではない。最近も目玉機能として計画していたショッピング機能が、英国での実験で大失敗し、またドナルド・トランプ米政権時代には、中国に個人情報を流出させている“スパイアプリ”の筆頭格として目の敵にされ、中国本土での事業とその他の海外事業を切り離す憂き目にあったほか、一時はMicrosoftのほか、WalmartやOracleへの身売りが真剣に検討されたこともあったと言われている。

この音楽配信サービスの市場、音楽業界団体IFPIは22年3月22日、世界の音楽市場の2021年売上高が前年比18.5%増の259億ドルになったと発表し、増加は7年連続で、音楽ストリーミングサービスの有料会員増が寄与しているとしている。

そのストリーミング配信サービスの売上高は21.9%増の123億ドルで、昨年末時点の有料会員は計5億2300万人を超え、広告付きを含む全てのストリーミングサービスの売上高は24.3%増の169億ドル。音楽業界全体の売上高に占める割合は65%となっている。

その中で、アップルの有料の音楽配信サービス「Apple Music」は世界100カ国以上で始めたのは15年6月。音楽ダウンロード販売で確固たる地位を築いた同社が、次に目指したのが聴き放題のサブスクリプションサービス(音源をローカルデバイスに保存しない「ストリーミング」サービス)だった。

その狙いは見事に当たり、米国では16年、音楽ストリーミングサービスの年間売上高が同国全レコード(録音)音楽売上高の51%になった。Apple Musicは現在、スウェーデンのスポティファイ・テクノロジーに次ぐ規模のサービスとなっている。JPモルガンはApple Musicの売上高が25年までに約70億ドル(約9400億円)に達すると予測している。

TikTokは全世界で30億ダウンロード、10億人の月間アクティブユーザーを有しているとされ、10億人はiPhoneユーザーに匹敵する数。このTikTokがもしこの市場に参入すれば、Apple MusicとSpotifyは深刻な競争を繰り広げることになるだろう。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://iphone-mania.jp/news-472466/ https://9to5mac.com/2022/07/28/tiktok-music-competition-apple-spotify/


Latest Posts 新着記事

10月に出願公開されたAppleの新技術〜Vision Proの「ペルソナ」を支える虹彩検出技術〜

はじめに 今回は、Apple Inc.によって出願され、2025年10月2日に公開された特許公開公報 US 2025/0308145 A1に記載されている、「リアルタイム虹彩検出と拡張」(REAL TIME IRIS DETECTION AND AUGMENTATION)の技術内容、そしてこの技術が搭載されている「Apple Vision Pro」のペルソナ(Persona)機能について詳説してい...

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る