特許権侵害訴訟で勝ち続ける任天堂、 ネット上には「法務部最強伝説」が生まれている

ゲーム業界を牽引する任天堂。マリオやヨッシーといった看板キャラクターは今も絶大な人気を誇る。まさに“日本の顔”とも言えるキャラクターの著作権を有する任天堂だが、ネット上には「任天堂法務部は最強」という伝説がある。
任天堂のゲームキャラクター「マリオ」(中央)=須谷友郁撮影

任天堂が争ってきたさまざまな裁判でその多くは勝訴となっており、ユーザーの間では最強伝説が語り継がれている。任天堂が勝訴した裁判を見てみると。

まず、任天堂のゲームである「ドンキーコング」は映画「キングコング」の権利侵害だとして、1982年にユニバーサルからロイヤリティを求めて訴訟を起こされた。当初支払うつもりだった任天堂だが、アメリカ子会社のハワード・リンカーン弁護士が、ドンキーコングとキングコングは違う動物だと反論できると自信をのべ、法廷闘争に。
結果的に「キングコング」の著作権の保護期間は切れており、任天堂の勝訴となった。このドンキーコング裁判が任天堂の法務部が最強という伝説、「任天堂法務部最強伝説」の幕開けだと言われている。

次に、ティアリングサーガ裁判では、任天堂の「ファイアーエムブレム」が、エンターブレインが発売した「ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記」と酷似しているとして、任天堂がエンターブレインや開発元に対して訴訟を起こした件。任天堂の言い分は認められなかったが、弁護士費用や売り上げの一部の支払いをエンターブレイン側が課されることになり、和解が成立することとなった。

さらに、任天堂が逆転勝訴した裁判として、元ソニーの社員が、2003年に任天堂本社で裸眼立体視の仕組みを提供したところ、許可なくニンテンドー3DSに採用されたとして賠償金を請求した「3DS裸眼立体視特許裁判」がある。

また、公道カートの「マリカー」が、任天堂のキャラクターのコスチュームとセットで外国人旅行者に貸し出し、その上屋号である「マリカー」の商標まで取得していた件で、任天堂は特許庁に対して商標取り消し、さらに不正競争防止法違反および著作権法違反として訴訟を起こし、結果的に2018年任天堂が勝訴し、マリカー側が1千万円の支払いが命じられた。

しかしその後、マリカー(現在はMARIモビリティ開発社に改称)は、同年9月28日に知財高裁に控訴し、法廷闘争はしばらく続く見込みとなっている。

もう一件、超能力やマジックで知られるユリ・ゲラーは、2000年にポケットモンスターに登場する「ユンゲラー」は、無断で自分のイメージを使ったものだとして任天堂を訴訟した。しかし、米連邦地裁によると、ユンゲラーという名称が日本でしか使われていないとして、任天堂が勝訴する形となっている。

任天堂法務部は、これまで培った高度な専門知識や経験で、多面的視点による事業活動を行なっている。社内だけでなく社外の関係者との連携も踏まえ、契約や法規制の適合性調査、株主総会などの運営、社内コンプライアンス教育など、徹底した法務戦略を取っている。

ステークスホルダーや社会からの信頼を前提にしながらも、自社を守る任天堂のしたたかさは、常勝を続ける判決からも見て取れる。

【引用・参照】
https://legalsearch.jp/portal/column/nintendo-legal-department-strategy/
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210521/bsm2105210800001-n2.html

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。