■ 背景:特許訴訟と“飛行システム”の争点
1. 『パルワールド』と任天堂・ポケモンによる特許訴訟
ポケットペアが開発した『パルワールド』に対し、任天堂および株式会社ポケモンは、「プレイヤーキャラクターが空中で操作により搭乗オブジェクトを出現させ、そのまま搭乗・飛行する行為」にかかる特許(特許番号7528390など)を侵害しているとして訴訟を起こした。
訴訟の進行に伴い、ポケットペアはリスク回避のため、当初導入されていた「グライダーパル(空中でパルを呼び出して滑空する機能)」を削除し、代替として“グライダーアイテム”に置き換える仕様変更を行っている。
2. 問題の特許――“空中で呼び出し搭乗するシステム”
該当特許(7528390)は、単に乗る行為に限らず、「搭乗キャラクターがぶら下がる」なども“搭乗”と定義しており、“空中で搭乗オブジェクトを呼び出し、そのまま搭乗する”一連のプレーを広くカバーする内容となっている。
■ HoYoverse新作『崩壊:ネクサスアニマ』と特許との関係
1. ゲーム概要
2025年8月29日、HoYoverseは新作タイトル『崩壊:ネクサスアニマ』を正式発表した。
本作はアニマと呼ばれるクリーチャーたちと「ネクサスリンク」を行い共闘するモンスター育成戦略ゲーム。公開されたトレイラーには、オートチェス風のバトル演出、広大なオープンフィールド、プリムワンやクロロック、プライドンといった多彩なアニマたちの姿が確認できる。
2. 特許争点となる飛行システム映像
実機映像では、キャラクターが屋根からジャンプした直後に空中でアニマを呼び出し、即座に搭乗・飛行するシーンが確認された。さらに映像の一部では、空中でアニマを呼び出して“ぶら下がるようにして飛行”する描写もあり、これは特許で定義される“搭乗”に該当する可能性がある。
一方で映像には「開発中の内容のため、最終的な品質を表すものではありません」という注釈も表示されており、リリースまでに仕様変更が行われる可能性も残されている。
■ 海外メディアによる分析・見解
1. 日本メディアの報道
日本のゲームメディアも「飛行システムが『パルワールド』訴訟で争点となった特許に抵触する可能性がある」と指摘している。特に空中召喚からのスムーズな搭乗挙動は、訴訟で問題視された箇所と酷似していると分析された。
2. IPコンサルタントの見解
海外メディアでは、知財コンサルタントが「空中でアニマを呼び出し、そのまま搭乗する動作は修正後の特許を“明らかに侵害している”」とコメントしている。ただし、この特許があまりにも広範囲に及ぶため、他のゲーム作品にも似たような仕組みは多く存在しており、特許の適用範囲が「過度に基本的なゲーム体験に食い込んでいる」と批判する声もある。
3. Notebookcheckによる報道
海外の別メディアでは、HoYoverseの新作が任天堂の特許に抵触する可能性を指摘しつつも、「HoYoverseのような巨大企業を相手に任天堂が訴訟に踏み切るかは不透明」としている。過去の訴訟例では中小規模の開発会社を対象とするケースが多かったため、今回の判断は注目を集めている。
■ まとめ:現状と今後のポイント
1. 現状
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『崩壊:ネクサスアニマ』の飛行システムは、空中でアニマを召喚して搭乗するという仕組みが含まれており、これは現在任天堂とポケットペア間で争われている特許の内容と重なる可能性がある。
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一部の専門家からは「明らかに侵害」との指摘が出ている一方、業界全体に普遍的に見られる仕組みであるため、この特許自体が広すぎると問題視する意見もある。
2. 法的動向の不確実さ
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任天堂や株式会社ポケモンがHoYoverseに対して実際に訴訟を起こすかどうかは不明。
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HoYoverseほどの大規模企業に対しては、訴訟の影響や国際的リスクも大きく、慎重に判断される可能性が高い。
3. 今後注目すべき展開
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HoYoverse側が正式リリースまでに飛行仕様を調整するかどうか。
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任天堂側が大手企業に対しても訴訟を展開するのか、あるいは黙認するのか。
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今回の事例を通じて、ゲーム業界全体における「特許の適用範囲」と「創作の自由」のバランスが再び議論される可能性がある。