海と繋がる潜水艦でリアル海体験!

水中散歩

海と繋がる潜水艦でリアル海体験!

海と繋がる潜水艦でリアル海体験!

地上では見られないような目にも美しい魚や植物が海には生息していて、その幻想的な雰囲気には魅了されます。
この魅惑的な海を体験したくとも、今までは潜水艦の窓から風景として眺めるのがメインでした。それでは物足りない!もっとリアルに海を楽しみたい!ということで発明されたのが<水中観光及び体験用の有人潜水艇>です。この発明によって、潜水艦は密閉された空間という先入観が覆されました。というのも潜水艦の乗員は、身体が海水に触れながら、窓越しの海も楽しめるからです。この発明のキモとなるものがドーム状の透視窓です。ドーム状の透視窓と潜水艦本体とを離して設置する事で、透視窓への浸水を防ぐことが可能になりました。また潜水艦本体に海と繋がっている部分があるので、その場でスキューバダイビングもできちゃう新感覚海観光がスタンダードとなる未来も近いかも?

■従来の課題

一般的に、潜水艇は、船首と、船尾と、人が搭乗する乗務員室とを有します。

また、人が乗務員室に入り込むためのハッチ(昇降口)を上部に有します。

近年、レジャー文化の発達に伴って、潜水艦は、水中を観光する用途に用いられています。しかし、乗務員室が外部から閉鎖される構造のため、潜水艇が観光用として用いられても、周囲の様子を単に視覚的に楽しめるだけであり、水中を実際に体験することは困難でした。

そこで、水中の視覚的な観光だけでなく、水中での実体験を楽しむことができる水中観光用潜水艇が望まれています。

■本発明の効果

本発明によると、乗務員室の上に透視窓があるため、水中で周辺の様子を観光できるだけでなく、透視窓の内部空間において呼吸可能です。一方、乗務員室の下側が水中と通じている構造であるため、視覚的な単なる観光だけでなく、水と身体が接触して五感が刺激される、水準の高いレジャー体験を楽しむことができます。

また、本体と透視窓が互いに離れているため、本体と透視窓との間で乗務員が出入できます。よって、水中観光の途中で、スキューバ装備を着用した乗務員がスキューバダイビングを体験でき、水準の高いレジャー体験を楽しむことができます。

■本発明のポイント

本発明は、人が搭乗する乗務員室の上部に透視窓を備える有人潜水艇に関します。

特徴的な点を説明しますと、有人潜水艇は、水中の様子を内部から観察するための透視窓を備えていながら、乗務員の下半身側が水に浸かっている点です。より詳しく説明しますと、ドーム状の透視窓の内側空間が空気で満たされるため乗務員が楽に呼吸できる一方で、透視窓の下側で外と通じているため、乗務員の下半身側が水の中にあります。乗務員の上半身側だけが透視窓で覆われているような状態です。そして、乗務員が希望したときに有人潜水艇の外に出てダイビング等を楽しむことができ、終わったら有人潜水艇内に戻ることができます。

このような本発明の有人潜水艇は、下記のような構成をしています。

■全体構成

本発明の概要は、図2に示すように、船首と船尾が形成された本体1と、本体の上部に配置された乗務員室2とを備えた有人潜水艇100です。

この有人潜水艇100は、本体1の上側に離隔して配置されることで下方側が外空間と通じている透視窓10と、透視窓10を所定の位置に固定する固定手段20と、本体1に推進力を与える推進システム30と、本体1を水中で上昇および下降させる昇・下降システム40と、本体1の船首において推進システム30および昇・下降システム40を制御するコントロールボックス50と、を備えます。

固定手段20は、透視窓10を外側および内側から挟み込むように配置される内側フレーム21と外側フレーム22とを有します。内側フレーム21は、透視窓10を内側から支え本体1をまたぐように配置されて本体1に固定され、透視窓10の下端を下から支持するための支持突起を有します。外側フレーム22は、透視窓10の外側に配置され、内側フレーム21との間で透視窓10を挟み込み、透視窓10をまたぐように配置されて本体1に固定されて、透視窓10の離脱を防止します。

【図2】

■細部

図2に示すように、透視窓10は透明であり、内部に空間を有し、本体1とは離れているため透視窓10の下方は解放されています。

これによって、潜水時に透視窓10の内部空間では水の浸入が防止され、内部空間にいる乗務員が水中で安定的に呼吸できます。また、乗務員室2にいる乗務員が、透視窓10を通して水中で周囲の様子を見て観光することができます。

さらに、図4に示すように有人潜水艇100は、透視窓10の内部の酸素濃度を測定し、乗務員が呼吸可能な酸素濃度を維持するように酸素を供給する酸素供給システム70を備えます。酸素供給システム70は、透視窓10の内部で酸素濃度を測定して測定情報をコントロールボックス50に伝送する酸素濃度測定センサ71と、透視窓10の内部に酸素を供給する第2の酸素タンク72と、第2の酸素タンク72から供給される酸素を透視窓10の内部に排出する酸素排出管73と、酸素排出管73の途中で酸素排出管73を開閉できる開閉弁74と、を有し、開閉弁74は、コントロールボックス50の制御を経て作動します。

【図4】

有人潜水艇100において、上述した推進システム30は、図5に示すように回転力を与える駆動モータ31と、駆動モータ31の回転力が与えられて回転するプロペラ32と、駆動モータ31およびプロペラ32を内蔵するケース33など、その他、回転軸34、ピニオンギア35、ラックギア36、回転シリンダ37などを有します。推進システム30は、本体1の進行方向に対して左右両側にそれぞれ一つ以上設置され、駆動モータ31と回転シリンダ37が、コントロールボックス50の制御を介して作動します。

【図5】

■実施例(実施形態)

本発明の有人潜水艇の使用法の具体例を説明しつつ、より詳しく説明します。

まず、図6aに示すように、有人潜水艇100の乗務員室2に容易に搭乗できるように、昇・下降システム40を通じて浮力袋41の浮力を増減させ、潜水艇を水面付近に位置させます。しかし、潜水艇のすべてが外に出るように浮かべると再度潜水するときに多くの動力が浪費されるため、透視窓10の約2/3を上部に露出させた状態を保ちつつ、透視窓10と本体1との間に乗務員を通らせることで搭乗させます。

【図6a】

次に、搭乗が完了すると、昇・下降システム40を通じて浮力袋41の浮力を低減させ、有人潜水艇100の自重によって下降させます。

その後、潜水艇の下降が完了すると、図6cに示すように、推進システム30を作動させ、水中運行を開始します。搭乗客は、透視窓10から潜水艇の周辺を容易に観光することができます。

このとき、図6cに示すように透視窓10と本体1との間が離れているため自然に水が入り込むため、乗務員室2に搭乗した見物客は、単純な視覚的な観光ではなく、実質的に水と身体が接触され、五感が刺激される水準の高いレジャー体験を楽しむことができます。

また、図6cに示すように、潜水艇の運行により、職別手段120の浮標121が水面において一緒に移送されるため、外部から潜水艇の現位置を容易に認知することができます。

【図6c】

また、図6dに示すように、潜水艇の運行過程において、撮影システム80を通じて、潜水艇が運行される周辺が撮影されて保存されます。さらに、撮影システム80で撮影される映像情報は、実時間監視システム90の映像モニタ92から外部で確認し監視することができます。

【図6d】

有人潜水艇100は、水中運行中に傾いた場合に、傾きを感知して本体1が水平に維持されるように制御する水平維持システムも備えます。

運行中に潜水艇が傾くと、図6eに示すように、水平維持システムで感知して、その感知情報を受信するコントロールボックス50によって、傾いた側の浮力袋41に酸素を供給して浮力を増加させ、潜水艇の傾きを抑えて、水平を維持するように運行されます。

【図6e】

潜水艇が長時間運行されると、透視窓10の内部空間の酸素濃度が低くなりますが、このとき、酸素供給システム70を通じて、透視窓10の内部空間に酸素を供給し、搭乗客が安定的に呼吸できるように維持します。

一方、水中観光中に、搭乗客がスキューバダイビングをリクエストすると、図6gに示すように、潜水艇の運行を止め、簡便にスキューバダイビング体験を楽しむことができます。

【図6g】

水中観光及びスキューバダイビング等が終了すると、昇・下降システム40によって浮力袋41の浮力を調節して潜水艇を水面付近に上昇させ、その後搭乗客を降ろし、水中観光体験を完了します。

■展望、結語

以上ご説明しましたように、本発明の有人潜水艇によって、単に水中で海底を視覚的に観光できるだけでなく、スキューバダイビングも楽しめてしまいます。このような工夫が詰め込まれた有人潜水艇は、注目できる発明です。

■概要

出願国:日本 発明の名称:水中観光及び体験用の有人潜水艇
出願番号:特願2014-11049
出願日:平成26年1月24日
公開日:平成27年7月30日
出願人:パシフィックオーシャンマリンインダストリーカンパニー,リミテッド
経過情報:本権利は抹消されていません。存続期間満了日は2034年1月24日です。
その他情報:出願人は韓国の企業ですが、自国出願の優先権主張を伴わず日本国に直接出願をしています。
IPC:B63C

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。