急速発酵資源化システム「ERS」を製造・販売する株式会社JET(本社:東京都千代田区 代表:片山智之)は、システムを提供したべるちゃんたちのおうち株式会社(本社:山口県下関市 代表取締役専務:中村 剛)にて、乳牛糞尿を処理した〈臭わない液肥〉の散布による実証結果を得たことを、23年10月30日プレスリリースで公表した。
畜産が盛んな地域で、糞尿の悪臭を懸念する自治体も多いが、家畜糞尿は堆肥化など適切な処理を経て、肥料や土壌改良資材としての有効活用が期待できる貴重な農業資源。ただし、不適切な管理や不十分な発酵の場合、悪臭が発生したり、河川や地下水へ流出して水質汚染を招いたりなど、環境問題の発生源としての側面もある。特に悪臭は、現場の労働環境や周辺の生活環境だけでなく、臭気に不慣れな観光客にも影響を与えることが懸念されている。
また、インバウンドの地方誘客や観光消費の拡大を促進できる契機に、このような畜産公害を防ぐためには、良質な堆肥を生産する必要があり、畜産農家に極力負担を軽く、臭気が残らない十分な発酵を短い時間で行う方法が求められている。
2023年3月にERSを設置したべるちゃんたちのおうちでは、乳牛の糞尿を活用して液肥を製造している。もとより同社は、牛乳の需要が低迷する昨今において、従来通りの堆肥化・敷料化ができることに加えて、〈臭わない液肥〉が生成できる利点からこのシステムを導入をしている。
それにより乾燥せずに液肥にすることで、燃料代を軽減し、経費削減にも繋がっており、2023年9月、約6か月間の稼働を経て計画通りの処理と悪臭のない成果物を確認し、堆肥舎においても悪臭の解消を実証した。今後は、外部への散布に加え、液肥の販売も検討しているとしている。
JETが製造・販売する急速発酵資源化システム「ERS」は、微生物による高速発酵処理(好気性発酵)を行う。これにより、乳牛糞尿であれば従来2か月ほど要する堆肥化のプロセスが、密閉状態下たった数時間で悪臭のもとを分解して〈臭わない液肥〉を製造することが可能だ。その成果物は、大腸菌最確数は陰性(30以下/100g)、強熱減量90%以上、C/N比12~15%と高い品質で、水分70%の堆肥にもなる。
一般的な方法として、菌とおが粉(水分調整のため)を投入する場合、はじめは臭いがあり発酵に長時間を要するが、これに対してERSはおが粉を投入しないため、有機性物質量が高く、長期的にも農業障害の要因を取り除いている。さらに、農業由来の地下水汚染リスクの増大に対して、ERSの成果物は地下浸透を引き起こさない。
ERS液肥を従来型の堆肥舎で使う”5大”メリット
① 好気性発酵: 畑の土にやさしい肥料となり耕作農家からのニーズが高い
② 汚水の発生抑制: 微生物による発酵熱分解で水分が蒸発
③ 悪臭の発生抑制: 殺菌・発酵済みの液肥で、堆肥舎に悪臭が発生しない
④ 発酵期間の短縮: メタンガス発生が少なく、従来よりも短期間で完熟堆肥化
⑤ 温室効果ガスの抑制: 短期発酵で炭酸ガス由来のメタンガスの発生を抑制
ERS は、設置場所の周辺に生息する土着菌を活用し、対象物を1日で殺菌・発酵・乾燥して資源に変えるシステム。また、ERSの資源化処理により生成した成果物は、含水率の低い良質な燃料や堆肥、肥料、飼料、敷料として利用できる。
ERSのコア技術=環境微生物の選択利用
① 設置現場周辺の土壌から普遍的にいる環境微生物を選択的に培養。
② 微生物を本体に定着させ、設置以後、補充や交換は不要。
③ 運転停止・再開後も菌の補充等不要。
特徴
① 装置がシンプル。複雑な前工程(水分調整等)、臭い対策、後工程(熟成等)が不要
② 環境微生物使用で、菌の持ち込み、補充が不要(菌床交換なども不要)
③ メンテナンスが楽(構成要素が少なく、故障が少ない。耐久性も高い)
④ 省スペース(施設維持に費用がかからない)
⑤ 無排水(排水処理に費用がかからない)
⑥ ごみの大幅な減容化が可能(運搬費用の節約可)
⑦ ごみの乾燥によってハンドリングも楽
⑧ 栄養価の高い飼料又は肥料が製造可能(販売対価を得られる)
⑨ CO2の削減、既存設備への適合など発展性や応用性が高い
特許情報
微生物、微生物含有組成物、並びに、該微生物を用いた有機肥料の製造方法
特許第4153685号(2008年7月11日登録)
処理対象物の発酵乾燥による燃料化装置及び燃料化方法
特許第6763575号(2020年9月14日登録)
有害微生物を含む有機物の処理方法及び処理装置
特許第6829468号(2021年1月26日登録)
有機物のメタン発酵における消化液の処理装置及びその処理方法
特許第7083160号(2022年6月2日登録)
家畜の排泄物の処理装置及びその処理方法
特許第7178697号(2022年11月17日登録)
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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