AIが土地と建物をマッチング


不動産情報出力装置

AIが土地と建物をマッチング

AIが土地と建物をマッチング

不動産を探す場合には、普通は土地と建物の両方をセットにして探すことが多いですよね。

しかし、土地と建物の両方に満足できるケースは、実はなかなか多くありません。交通の便が良い場所に土地だけが見つかることもあれば、建物の立地は良いけれど、あとから建て直したいということもあり、このような場合に、どのような土地に対してどんな建物を建てればいいのか、具体的なイメージが得られにくいという問題がありました。

そこで、AIが有する膨大な土地情報と建物情報とを組み合わせて、例えば、購入候補の土地にマッチした建物が建っているような画像を生成することや、既に土地に建物があったとしても、別の建物の情報を組み合わせたVR表示を提供することもできる、画期的な技術が開発されました。これにより、購入者に土地と建物とを組み合わせた、具体的な完成イメージを直感的に伝えることができます。これからの不動産選びは、AIの力を使って、仮想空間に建物を建てるところからスタートすることになりそうですね。

■不動産業においてもAIが活躍する時代が到来

近年様々な分野で採用され始めているAIに関する特許を紹介します。

この特許は、不動産選びのサイトにAIを採用したシステムであり、不動産事業者のジブンハウスと東京大学発ベンチャーのアスカラボが共同出願したものです。


従来、住宅等の購入を希望する者は、不動産事業者に相談して、不動産事業者が提供する情報に基づいて所望の土地を探したり、現地の見学等を行ったりしています。また、インターネット上で不動産の検索が可能な検索システムも知られていて、このような検索システムにおいて、複数の物件の情報をWeb上で確認します。


しかし、例えば、土地と建物の両方を購入しようとする者にとって、所望の土地が検索できたとしても、検索された土地に建てることができる建物をさらに探す必要が生じてしまい、また、所望の建物が検索できたとしても、検索された建物を建てることができる土地をさらに探す必要が生じてしまいます。しかも、土地の情報と建物の情報が別個に存在している場合、土地に建物が建っている状態、すなわち、その土地にその建物を建てたときの完成イメージが分かりにくいという問題もあります。


これに対して、本発明の不動産情報出力システムは、購入検討者の端末から入力された不動産検索用情報に基づいて、AIが不動産に関する情報を学習し、学習結果を用いて、購入候補となる土地の土地情報を抽出し、かつ、抽出した土地情報によって特定される土地に建てることができる建物の建物情報を抽出して、抽出した土地情報によって特定される土地に、建物が建っているようにみえる画像を、購入候補となる不動産の情報として購入検討者の端末に表示させるものです。


このように、本発明の不動産情報出力システムは、購入可能な土地及び建物の情報を提供でき、土地に建物を建てたときの完成イメージを直観的に分かりやすく提示できるものとなっています。

■解説

本発明の不動産情報出力システム1は、図1及び図2に示すように、不動産情報出力装置(管理サーバ)10と、学習用装置(学習用サーバ)20と、購入検討者端末(スマートフォンやPC等)30と、登録用端末(スマートフォンやPC等)40と、を有しています。

【図1】

【図2】

不動産情報出力装置10は、不動産購入検討者(土地、建物等の不動産の購入を検討する者)が利用する購入検討者端末30に接続されて購入検討者端末30からの要求に応じて購入検討者端末30に購入候補となる不動産の情報を表示させます。不動産情報出力装置10は、例えば、サーバとして機能するコンピュータによって実現されています。また、不動産情報出力装置10は、通信ネットワーク(インターネット等)2を介して、購入検討者端末30と通信可能に接続されています。また、不動産情報出力装置10は、通信ネットワーク2を介して、登録用端末40と通信可能に接続されています。さらに、不動産情報出力装置10は、通信ネットワーク2を介して、学習用装置20と通信可能に接続されています。


不動産情報出力装置10は、各種の情報を記憶する記憶部12と、装置全体を制御する制御部11と、データの入出力等の通信を行う通信部13と、を有しています。記憶部12は、例えば、ハードディスク、メインメモリ、フラッシュメモリ、その他の各種メモリ等の記憶手段によって実現され、各種のプログラム、各種のデータ等を記憶しています。


通信部13は、購入検討者端末30及び登録用端末40からの各種情報を受信し、不動産情報出力装置10のメイン制御部15に入力します。また、通信部13は、購入検討者端末30及び登録用端末40に各種情報を送信します。また、通信部13は、学習用サーバ20との間でのデータ通信、データ入出力も実行します。したがって、通信部13は、入力部として機能し、また、出力部としても機能します。


制御部11は、例えば、プロセッサ、CPU等の演算手段によって実現され、各種のメモリ、ハードディスク等の記憶手段と協働して機能し、各種のプログラムを実行します。制御部11は、抽出部16と、登録処理部18と、出力制御部19と、を有しています。


抽出部16は、図3のフローチャートに示すように、入力部(通信部)13が入力した不動産検索用情報に基づいて、不動産に関する情報を学習した学習結果を用いて、購入候補となり得る複数の土地の土地情報から購入候補となる土地の土地情報を抽出し、抽出した土地情報によって特定される土地に建てることができる建物の建物情報を、購入候補となり得る複数の建物の建物情報から抽出します。

【図3】

なお、「不動産に関する情報を学習した学習結果を用いて」とは、学習用データを用いて不動産に関する情報を学習させた学習済みモデル72を用いる場合も、学習済みモデル72から出力した出力結果をデータベース化した学習結果データベース73を用いる場合も含みます。学習済みモデル72及び学習結果データベース73は、AI(人工知能)の分野の技術を用いた各種のデータ、アルゴリズムを記憶する記憶部12に記憶されています。


出力制御部19は、図5に示すように、抽出部16が抽出した土地情報によって特定される土地に、抽出部16が抽出した建物情報によって特定される建物が建っているようにみえる画像を、購入候補となる不動産の情報として購入検討者端末30に表示させます。
これにより、不動産情報出力装置10によれば、購入可能な土地及び建物の情報を提供でき、土地に建物を建てたときの完成イメージを直観的に分かりやすく提示することができます。

【図5】

また、不動産購入検討者は、土地と建物を組み合わせた状態で、土地及び建物の購入を検討することができます。不動産情報出力装置10において、図5や図8に示すように、出力制御部19が購入検討者端末30に表示させる画像は3D画像となっています。


これにより、不動産購入検討者は、土地と建物を組み合わせた状態をより直観的に把握することができます。


また、出力制御部19は、図5や図8に示すように、抽出部16が抽出した土地情報によって特定される土地に、抽出部16が抽出した建物情報によって特定される建物が建っているようにみえる画像を、購入検討者端末30にVR表示させるように構成されています。


これにより、不動産購入検討者は、購入検討対象の土地及び建物について、より臨場感の高い情報を得ることができます。


出力制御部19は、図8に示すように、抽出部16が抽出した土地情報によって特定される土地であって購入検討者端末30に表示される現実の土地に、抽出部16が抽出した建物情報によって特定される建物が建っているように見える画像を合成した拡張現実空間を購入検討者端末30に表示させるように構成されています。


これにより、不動産購入検討者は、実際の土地がある場所において、その土地に建物を建てたイメージをより直観的にリアルに把握することができます。

【図5】

ここで、不動産検索用情報としては、土地に関する検索条件、建物に関する検索条件、環境に関する情報、不動産購入検討者に関する情報、ライフスタイルに関する情報、個人の趣味に関する情報、個人の嗜好に関する情報、個人の価値観に関する情報、個人の人生観に関する情報、個人の性格に関する情報、家族構成に関する情報、家族に関する情報が挙げられます。


これにより、不動産購入検討者の希望、好み、属性等に沿った購入候補の土地又は建物 の情報を提供することができます。
また、不動産情報出力装置10では、登録処理部18が、土地又は建物に関するデータシートから、不動産の情報を登録するための登録用端末40が認識した土地情報又は建物情報を、購入候補となり得る複数の土地の土地情報又は購入候補となり得る複数の建物の建物情報に追加して登録します。ここで、登録処理部18は、登録用端末40から受信した土地情報又は建物情報を不動産情報出力装置10の記憶部12に記憶するものであり、登録用端末40の利用者としては、不動産事業者、ハウスビルダー等、建物や土地等の不動産を提供する者が想定されます。


これにより、不動産事業者等が、販売したい土地又は建物を不動産購入検討者の購入候補となり得る土地又は建物として登録することができます。よって、不動産事業者等は、不動産の販売力を強化することができます。また、簡易且つ短時間で登録処理を実行することができます。

■概要

出願国:日本 発明の名称:不動産情報出力装置、不動産情報出力方法及び不動産情報出力プログラム
出願番号:特願2019-21249
出願日:2019年2月9日
優先権主張番号:特願2018-30212
優先日:2018年2月22日
公開番号:特開2019-145100
公開日:2019年8月29日
出願人:ジブンハウス、東京大学、アスカラボ

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。


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