フジクラ急落、中国生成AI「DeepSeek」の影響で半導体投資に不安感

フジクラ（5803）が急落しており、中国発の生成AIモデル「DeepSeek」による脅威論が台頭しています。米CNBCが報じた内容によると、この新モデルは、アメリカのテック企業にとって深刻な競争圧力をもたらす可能性があるとされています。

「DeepSeek」は中国の新興企業によって開発された生成AIで、構築にはエヌビディアの機能制限版チップ「H800」を使用し、わずか2カ月、600万ドル未満という低コストで完成したと製作者側は主張しています。このコスト効率の高さは、AI開発における資源の大幅な節約を示しており、業界全体に衝撃を与えています。

生成AIの性能、アメリカ企業を上回る

ベンチマークテストによれば、「DeepSeek」はメタ社やOpenAI、Anthropicなどアメリカを代表するAI企業のモデルを一部の精度テストで上回る性能を示しました。これにより、アメリカが持つ生成AI分野での技術的優位性が縮小する懸念が浮上しています。

特に、大手テクノロジー企業が巨額を投じてAIモデルやデータセンターを構築している状況に対して、この新モデルがもたらす影響が注目されています。従来の巨額投資が必須とされるAI開発のビジネスモデルに疑問符が投げかけられる可能性があります。

株価への影響と半導体関連銘柄の動向

フジクラの株価は24日の取引で大幅に下落し、終値は6,717円（-583円）となりました。この影響はフジクラだけにとどまらず、半導体関連銘柄全般に広がっています。古河電工（5801）が7,284円（-727円）、アドバンテスト（6857）が9,226円（-824円）、ディスコ（6146）が45,850円（-1,580円）と軒並み値を下げています。

これらの下落は、生成AIに対する巨額投資の必要性が見直される可能性があるという市場の懸念が背景にあります。「DeepSeek」のような低コストモデルが主流になることで、半導体需要の構造が変化し、従来の高価なチップやデータセンター構築に対する需要が減少するのではないかとの見方が広がっています。

市場への長期的な影響と今後の注目点

今回のフジクラ急落や関連銘柄の売りは、生成AI分野における競争が激化する中での市場の不安感を反映しています。一方で、中国企業の台頭は技術革新のスピードをさらに加速させる可能性もあり、今後のAI関連技術の進化がどのように市場に影響を与えるか注目されます。

特に、AI技術の低コスト化と効率化により、業界の競争構造が変化する可能性が高く、大手テック企業や半導体メーカーがこの新たな潮流にどのように適応するかが鍵となるでしょう。引き続き「DeepSeek」の実用性とその影響を注視する必要があります。