HarvestX 、新たな資金調達実施~AI・ロボティクスによるイチゴの完全自動栽培(特許取得)開発を加速


イチゴ自動栽培ソリューションを開発するHarvestX株式会社(本社:東京都文京区 代表:市川友貴)は、新たに資金調達を実施したと、24年3月20日プレスリリースでその内容を公表した。

HarvestXは、植物工場におけるイチゴなど授粉を必要とする果菜類の完全自動栽培を目指す東京大学発スタートアップ企業。ロボティクスやAIを専門とするメンバーによって2018年に大学でスタートしたHarvestXは、「植物工場では授粉が必要な果実の生産が難しい」という課題にフォーカスして研究を進め、世界で初めてロボットによるイチゴの授粉に成功している。

現在多くの果菜類の植物工場では、一般的な農園と同じようにハチを工場内で飼育して花の授粉を行っているが、植物工場のような閉鎖空間ではハチがストレスでうまく飛べなかったり、短命になったりするため安定生産が困難となり大きな課題となっている。

HarvestXはそのような課題を解決するため果菜類の中でも特に授粉の精度により形状の安定した果実の生産に影響が出やすいイチゴにフォーカスし、授粉、成長データ収集、収穫などを一貫して行う高度な技術を採用したイチゴ自動栽培ロボット開発している。

イチゴの授粉において世界初の技術(特許取得)は、自社内のイチゴ栽培実験施設やイチゴ植物工場事業者様での導入実験などを経てこの度、自動授粉ロボット「XV3」を主軸とするイチゴ自動栽培ソリューション「HarvestX」の提供が可能になったとしている。 

HarvestXは今回調達した資金を活用し、イチゴ自動栽培ソリューション「HarvestX」のさらなる付加価値拡大に向けた技術研究開発を進め、また、「HarvestX」を備えたデモ施設(パイロットプラント)を建設し、イチゴの生産に課題を抱える植物工場事業会社や、新たにイチゴ植物工場の運営を検討される企業に提案していくとしている(2024年5月に第一期完成予定)。

また、授粉ロボット「XV3」は、イチゴ自動栽培ソリューション「HarvestX」の中心となるロボットで、ロボティクスによる高精度な授粉とセンシング技術による環境制御によりどのような地域・環境でもイチゴ生産を可能としている。

ロボットは、植物工場内を自動で走行する「XV3 Cart」と、データ収集用のセンサーや作業用ロボットアームを搭載した「XV3 Unit」の2つで構成され、導入の植物工場のニーズに合わせて容易に機能拡張・変更できる設計になっている。

イチゴの授粉における特許概要

【特許番号】特許第7090953号(P7090953)
【登録日】令和4年6月17日(2022.6.17)
【発明の名称】農業支援システム、農業支援装置、農業支援方法及び農業支援プログラム
【特許権者】 【氏名又は名称】HarvestX株式会社
【発明者】 【氏名】市川 友貴  【氏名】渡邉 碧為

【要約】 【課題】 受粉など、農業に係る各種作業をより一層適切に実施することができる技術を提供する。

【解決手段】 植物と接触して所定の操作を行う操作機構と、制御部と、を備える農業支援システムであって、制御部は、所定の生成条件の組み合わせにより植物の3次元モデルを生成するモデル生成部と、3次元モデルにおける所定のパラメータと、植物の画像と、を学習データとして学習を行うことにより生成される第1学習済みモデルを学習する学習部と、判定対象の植物の画像を取得する画像取得部と、第1学習済みモデルを取得するモデル取得部と、第1学習済みモデルと判定対象の植物の画像とに基づいて、当該判定対象の植物の所定の箇所の所定のパラメータを推定するパラメータ推定部と、推定した所定のパラメータに基づいて操作機構に所定の操作を行わせる操作指示部と、を含む、システム。


Latest Posts 新着記事

フォシーガGE、特許の壁を突破 沢井・T’sファーマの挑戦

2025年9月、日本の医薬品市場において大きな話題を呼んでいるのが、SGLT2阻害薬「フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)」の後発医薬品(GE、ジェネリック)の登場である。糖尿病治療薬の中でも売上規模が大きく、近年では慢性腎臓病や心不全の領域にも適応拡大が進んだフォシーガは、アストラゼネカの主力製品のひとつである。その特許の“牙城”を突破し、ジェネリック医薬品の承認を獲得したのが沢井製薬とT&#...

電池特許はCATLだけじゃない――AI冷却から宇宙利用まで、注目5大トピック

近年、知的財産の世界では、特定の企業やテーマに関心が集中しやすい傾向がある。中国・CATLの電池特許戦略や、AIをいかに効率的に冷却するかといったテーマは、テクノロジー産業の今を象徴するキーワードだ。しかし同時に、その裏側には見落とされがちな知財動向や、将来を左右しかねない新しい潮流が潜んでいる。本稿では、「電池特許CATL以外にも」「特集AIを冷やせ」を含め、いま注目すべき5本のトピックを整理し...

バックオフィス改革へ ミライAI、電話取次自動化で特許取得

AI技術の進化が加速するなか、企業のバックオフィスや顧客対応の現場では「省人化」「自動化」をキーワードとした取り組みが急速に広がっている。その中で、AIソリューションを展開するミライAI株式会社は、従来の電話取次業務を人手に頼ることなく「完全無人化」するための技術を開発し、特許を取得したと発表した。この技術は、音声認識・自然言語処理・対話制御を組み合わせ、従来課題とされてきた「誤認識」「取次精度の...

技術から収益化へ――河西長官が訴える“知財活用”の新ステージ

特許庁の河西長官は、来る9月10日に開幕する「知財・情報&コンファレンス」を前に記者団の取材に応じ、日本経済の競争力強化における知的財産の役割を改めて強調した。長官は「日本は技術とアイデアを数多く持ちながら、それを十分に事業化や収益化につなげきれていない。知財で稼ぐ政策を実現することが不可欠だ」と語り、特許庁としても産業界と連携し、知財活用の裾野を広げる方針を示した。 ■ 知財立国から「稼ぐ知財立...

トランプ政権が構想した特許税 ―特許価値評価の壁と企業への影響

アメリカ合衆国における税制改革は、政権の経済戦略を象徴するテーマである。ドナルド・トランプ政権下においても例外ではなく、法人税率の引き下げや海外利益の還流促進策など、多くの議論が繰り広げられた。その中で一部の政策担当者やシンクタンクから浮上したのが、知的財産権、とりわけ「特許」に対して課税を行う仕組み、いわゆる「特許税(Patent Tax)」の導入構想である。これは企業が保有する特許を資産として...

グローバル出願も効率化!特許業務支援プラットフォームappia-engine進化

知的財産の管理や特許業務は、多くの企業や研究機関にとって欠かせない活動です。しかし、実際の業務現場では「出願件数の増加」「国際的な審査対応」「膨大な書類作成」「調査の手間」など、数々の課題が存在しています。特にグローバル競争が激化する中で、迅速かつ正確に知財を扱うことは企業価値の向上に直結するため、知財部門や特許事務所にとって効率化は最優先事項となっています。 こうした背景を受けて開発されたのが、...

大阪・関西万博を彩る知財の力――特許庁が『とっきょ』特別号を発行

2025年に開催される大阪・関西万博は、世界各国から最新の技術や文化が集結する「未来の実験場」として大きな注目を集めている。その舞台裏では、知的財産(知財)が重要な役割を果たしていることをご存じだろうか。特許庁はこのたび、広報誌「とっきょ」の特別号として、大阪・関西万博に関連する知財の数々を特集し、その魅力と意義を幅広く伝える試みをスタートさせた。 本稿では、その特別号の内容を紐解きながら、万博と...

建築業界の常識を変える!スタイルポート、3D空間コミュニケーション特許を取得

建築や不動産の分野において、デジタル技術の導入は急速に進展している。その中で注目を集めているのが、株式会社スタイルポートが開発した「3D空間上でのプロジェクトコミュニケーション技術」である。同社はこのたび、同技術に関する特許を取得したと発表した。本稿では、この特許の概要、業界へのインパクト、さらには今後の展望について詳しく解説する。 1. 特許の概要 今回、スタイルポートが取得した特許は、建築物や...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る