特許庁、知財戦略に優れたスタートアップ、知財専門家らを公募~第4回「IP BASE AWARD」のエントリー開始


特許庁では、スタートアップに不可欠な知財戦略に関する基礎知識や支援施策、イベントなどの最新情報を集約した知財コミュニティポータルサイト“IP BASE”を運営している。昨年に引き続き、知財に関する取り組みについて各部門で高く評価されたスタートアップおよび知財支援の専門家、エコシステムのベストプレイヤーを表彰する第4回「IP BASE AWARD」のエントリーを開始したことを22年10月12日公表した。

特許庁・知財功労賞の登竜門として位置づけられるIP BASE AWARD。テーマは「国内スタートアップ知財エコシステムの形成」。2023年度の審査委員長は、前年に続いて鮫島正洋氏(弁護士法人内田・鮫島法律事務所 代表パートナー弁護士・弁理士)が務める。その他、知財専門家、ベンチャーキャピタル(VC)などスタートアップビジネスに精通した各界の関係者が審査委員を務める。

テーマは「国内スタートアップ知財エコシステムの形成」。スタートアップに対する知財の普及啓発およびスタートアップに関わる知財コミュニティの活動の促進をはかるとしている。

応募対象:設立10年以内のスタートアップ企業、弁理士や弁護士などの知財専門家、スタートアップエコシステムに関係するVC、投資家、アクセラレーター、インキュベーター、スタートアップへの取組をしている企業、研究機関関係者、大学関係者等

「IP BASE AWARD」概要

スタートアップの知財活動・知財支援活動の奨励をすることで、スタートアップによる知財活用、知財専門家によるスタートアップ支援、スタートアップ知財エコシステムへの取り組みを後押し、優れた活動・取組を表彰することで、今後成長するスタートアップ、知財専門家の手本となるよう促す。

スタートアップ部門、知財専門家部門、エコシステム部門の3部門から構成され、エントリーの中から選考委員会による審査を経て、各部門1名(1社)ずつ選出。また、2023年3月上旬にグランプリ発表と授賞式を行う。応募締切は2022年12月15日となっている。

部門

■スタートアップ部門
対象:戦略的な知財権の取得、活用などを積極的に実施している、未上場かつ設立10年以内のスタートアップ

審査基準:着実な知財活動(出願件数、知財ポートフォリオ、社内体制整備等)を基礎として、他企業の模範となる、優れた知財戦略の構築や知財に関する取組・活動を行っているスタートアップを評価する。

■知財専門家部門
対象:スタートアップ支援に意欲的に取り組み、その支援によりスタートアップの知財戦略構築に貢献している弁理士・弁護士、企業の知財部員

審査基準:スタートアップ支援の実績に基づいて、スタートアップに特化した方法やスタートアップの将来的な発展を促すような方法でスタートアップの知財支援を行っている知財専門家であって、他の専門家の規範となり、スタートアップを支援する専門家コミュニティの拡大に寄与する知財専門家を評価する。

■エコシステム部門
対象:スタートアップに対する知財を積極的に活用した評価、支援、啓発活動や、知財業界にとどまらない活動を行うなど、スタートアップエコシステムの活性化に貢献している投資家、アクセラレーターなどの個人、組織(VC、投資家、アクセラレーター、インキュベーター、スタートアップへの取組をしている企業、研究機関関係者、大学関係者等)。エコシステムに資するもの、間接的な制度作りや事業スキームの組み立て実績があれば、知財専門家やスタートアップも対象に含む。

審査基準:知財業界にとどまらない活動の実績があり、知財支援を含めたスタートアップへの支援のコミュニティの発展、拡大に寄与する活動を行っている個人、組織(VC、投資家、アクセラレーター、インキュベーター、スタートアップへの取組をしている企業、研究機関関係者、大学関係者等)を評価する。

IP BASEは経済産業省特許庁が開設した知財コミュニティポータルサイト。スタートアップにとって不可欠な知財戦略の構築サポートのために、知財戦略に関する基礎知識や支援施策、イベントなどの最新情報を集約している。スタートアップが「まず見るサイト」、知財専門家と「つながるサイト」として、スタートアップやベンチャーキャピタル、アクセラレーターなどスタートアップのエコシステムを形成する方々と、弁理士や弁護士などの知財専門家の双方が参加するスタートアップ知財コミュニティの「基地」となることを目指して、充実したコンテンツを提供している。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.atpress.ne.jp/news/330050


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