透明で薄い全固体太陽電池の最新創製技術、特許取得のリチウムイオン二次電池(PV-LIB)を公開


工学院大学(学長:伊藤 慎一郎、所在地:東京都新宿区/八王子市)の永井裕己准教授(応用物理学科)は、水素社会に向けて全固体型透明薄膜太陽電池の創製を進めており、その最新版を10月4日から31日までオンライン開催された「イノベーション・ジャパン2022~大学見本市&ビジネスマッチング~Online」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)にて公開したことを22年10月18日公表している。

太陽光発電による水素製造は、持続可能な社会の実現に向けて盛んに研究されている。永井准教授の研究室でも2018年から続けており、今回は、透明薄膜太陽電池の電解質に、イオン電導度がより低い有機・無機ハイブリッド固相電解質を用いた透明太陽電池を公開した。

このデバイスで、安価に太陽光発電による水素製造が可能となる。また、工学院大学で開発した化学的湿式法の一つ「分子プレカーサー法」により、金属含有のコーティング溶液を塗布・熱処理することで、機能性薄膜を形成できる。

研究者コメント:永井 裕己 准教授(工学院大学 先進工学部 応用物理学科)

過去のイノベーション・ジャパンでは、外部電源からの充電だけでなく、光で発電・充電が可能なリチウムイオン電池(PV-LIB)を発表しました。今回は、このPV-LIBを応用して、化学的湿式法である分子プレカーサー法で全固体の透明薄膜太陽電池を形成しました。この薄膜太陽電池を用いた水の光分解を紹介します。透明で薄膜であるため、住宅やビルの窓に取り付けることで家庭用電源として注目されている燃料電池用の燃料である水素・酸素の製造が可能と見込まれます。材料や化学をはじめ、電気電子、情報、通信関連の製造業にもお役に立てる技術と考えています。

【特許情報】

名称  :リチウムイオン二次電池
出願者 :学校法人工学院大学
発明者 :永井 裕己、佐藤 光史
登録番号:特許第6687249号


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.atpress.ne.jp/news/330336


Latest Posts 新着記事

iPhone、巻き取る未来へ:Appleの新たなディスプレイ革命

Appleはこれまで、スマートフォンのデザインと機能性において数々の革新をもたらしてきました。​そして今、次なる進化として注目されているのが「巻き取り式ディスプレイ(ロールアップディスプレイ)」です。​この技術は、コンパクトな筐体に大画面を実現する可能性を秘めており、将来のiPhoneの姿を大きく変えるかもしれません。​ スクロール表示の未来:Appleの特許が示す方向性 Appleは、ディスプレ...

NTTデータ、OpenAIと連携しAIエージェント事業を推進—3つの戦略的取り組み

2024年4月、NTTデータグループは、生成AIの社会実装を本格化する方針を打ち出し、OpenAIとの連携強化を通じて「AIエージェント事業」の加速に乗り出した。情報システム構築やBPO(業務アウトソーシング)で培った知見をもとに、AIを活用して“人に寄り添うパートナー”としてのエージェントを構築することで、業務効率化のみならず、企業の競争力強化を支援する構えだ。 本稿では、NTTデータが打ち出す...

高齢者が「初動」で使える救命アプリを開発―「操作ゼロ」のステージへ!

はじめに 高齢化社会が進行する中、​高齢者が緊急時に迅速かつ適切な対応を取ることが求められています。​特に、心停止などの緊急事態では、初動対応が生死を分ける重要な要素となります。​そのため、誰もが手軽に使える救命アプリの開発が急務となっています。​本稿では、操作不要で高齢者でも直感的に使用できる救命アプリの開発と、その社会的意義について考察します。​ 高齢者と救命対応の現状 日本は世界でも有数の高...

「発明の国」イタリア、未来への航路を描く:2025年大阪・関西万博で特許展開幕

2025年4月、夢洲で開催中の大阪・関西万博において、イタリアパビリオンが華々しく開幕しました。​このパビリオンは、イタリアの芸術、技術、文化を融合させた展示で、来場者に深い感動を与えています。​ アートとテクノロジーの融合:「アートはいのちを再生する」 イタリアパビリオンのテーマは「アートはいのちを再生する」。​建築家マリオ・クチネッラ氏が設計したこのパビリオンは、ルネサンスの理想都市「Citt...

学習のパートナーはAI:Mikulak社、革新的な教育支援技術を特許出願

2025年、教育現場におけるAI活用は次のステージに進もうとしている。アメリカの教育技術スタートアップ、Mikulak, LLCが出願した特許「AIを用いたデジタルホワイトボード上での児童・生徒の学習支援システム」は、AIが教室における学びの質をリアルタイムで分析し、介入できる未来を予感させる技術だ。 本稿では、同特許の内容を紐解きつつ、その背景にある教育DX(デジタルトランスフォーメーション)の...

文化か技術か? 韓国企業の“餃子の形”特許に中国が激怒―知財とナショナリズムのはざまで揺れるアジア

「餃子戦争」勃発―発端は韓国の特許取得 2025年初頭、韓国の中小食品メーカーが取得した一件の特許が、東アジアの食文化の火薬庫に火をつけた。対象は、なんと「餃子の形状」――。このニュースが中国のネット上に拡散されるやいなや、Weibo(微博)では「餃子は中国のものであり、盗用だ」といった怒りの声が噴出し、「餃子戦争」とも言うべき文化的対立が広がった。 この韓国企業が取得したのは、特定のヒダ数や折り...

Impulseが拓く作業現場の未来 ―AI×特許で“熟練の技”を継承可能に

現場の変化を、データから読み解くAI

知財の新境地へ:中国が開いた「AI発明」への扉

2024年末、中国国家知的財産権局(CNIPA)は、人工知能(AI)が関与した発明について「特許出願が可能」とする見解を示し、知財界に大きな波紋を広げた。これまでもAIが発明に関与するケースは増加していたが、その法的な取り扱いは各国で分かれており、特に「発明者を人間に限るべきか否か」は、知財制度の根幹にかかわるテーマだった。 今回の中国の方針転換は、単なる出願受理の拡大を意味するだけではない。AI...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る