市場創出・拡大が見込まれる最先端分野「手術支援ロボット」において特許出願増加、全体的に米国先行 — 特許庁


特許庁は、将来の市場創出・拡大が見込める最先端分野である「手術支援ロボット」の技術テーマについて、特許情報等を調査・分析した特許技術動向調査の報告書を取りまとめ22年4月27日公表しました。以下、経済産業省のホームページより一部引用。

調査の結果、手術支援ロボットに関する全体的な特許出願は、米国籍出願人による出願が最も多いこと、及び、手術計画や手術ナビゲーション等を含むデータの活用や、自動化・半自動化に関連する特許出願が増加の傾向にあることが分かりました。

人の手に代わって手術を支援する手術支援ロボットの技術は、近年目覚ましい発展を遂げています。

マスタースレーブ型の手術支援ロボットは、米国大手企業が取得した初期の特許が存続期間の満了を迎えたこともあり、多くの企業で手術支援ロボットの開発・商品化が行われています。また、術者支援型ロボットなど、他のタイプの研究開発も進められています。こうした背景のもとで、手術支援ロボットの世界市場規模は、今後の拡大が見込まれています。

本調査において、手術支援ロボットに関する全体的な特許出願は、米国籍出願人による出願が最も多く、特許出願全体の52.5%を占めることが確認されました。出願人別にみると、手術支援ロボットに関する出願の出願件数の上位4者は米国籍出願人が占めること、出願件数上位20者中、米国籍出願人は8者と最も多く、次いで、日本国籍出願人は4者いることが分かりました。また、技術区分別の特許出願動向においては、手術計画や手術ナビゲーション等を含むデータの活用や、自動化・半自動化に関連する特許出願が増加の傾向にあることが確認されました。

上記のデータの活用や、自動化・半自動化に関連する技術を含め、手術支援ロボットの技術について、各国の動向に注視していく必要があります。

対象技術・背景

人の手に代わって手術を支援する手術支援ロボットの技術は、近年目覚ましい発展を遂げている。

マスタースレーブ型ロボットは、米国大手企業が取得した初期の特許が存続期間の満了を迎えたこともあり、多くの企業で開発・商品化が行われている。術者支援型ロボットなど、他のタイプの研究開発も進められている。

調査結果:全体動向

出願件数は、米国籍出願人が最も多く5,370件で、特許出願全体の52.5%を占める。
米国籍出願人に次いで、中国籍出願人1,530件(15.0%)、欧州籍出願人1,199件(11.7%)、日本国籍出願人915件(8.9%)と続く

調査結果:主要出願人

出願件数のトップ4位は米国籍出願人が占め、上位20者中、米国籍出願人が8者で最も多く、日本国籍出願人が4者、欧州籍出願人と韓国籍出願人が3者、中国籍出願人が2者である。
メーカ別市場シェアは、米国企業による寡占状態である。

特許出願技術動向調査とは

「特許出願技術動向調査」は、世界中の特許情報を、論文情報等と併せて分析して各国や各企業の研究開発動向を把握し、企業・大学・研究機関等が開発戦略・知財戦略を策定するために実施しています。調査においては、有識者からなる委員会の助言等を踏まえ、日本の技術的な強み等を分析し、日本の企業・大学・研究機関等が目指すべき研究開発の方向性を示しています。

調査は、新市場の創出が期待される分野、国の政策として推進すべき技術分野を中心に、今後の進展が予想される技術テーマを選定し、行います。

令和3年度は、「手術支援ロボット」、「教育分野における情報通信技術の活用」、「ウイルス感染症対策」、「GaNパワーデバイス」、の4の技術テーマを対象とした特許出願技術動向調査を実施しました。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.meti.go.jp/press/2022/04/20220427005/20220427005.html


Latest Posts 新着記事

10月に出願公開されたAppleの新技術〜Vision Proの「ペルソナ」を支える虹彩検出技術〜

はじめに 今回は、Apple Inc.によって出願され、2025年10月2日に公開された特許公開公報 US 2025/0308145 A1に記載されている、「リアルタイム虹彩検出と拡張」(REAL TIME IRIS DETECTION AND AUGMENTATION)の技術内容、そしてこの技術が搭載されている「Apple Vision Pro」のペルソナ(Persona)機能について詳説してい...

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る