色彩商標、1.6%の狭き門 チキンラーメンの袋の色使いが色彩のみの商標として登録


日清食品ホールディングスは4月4日、3月25日付で、即席めん「チキンラーメン」のパッケージなどに用いてきたセピア色、白色、オレンジ色からなる配色が「色彩商標」として登録されたと発表したことを、宣伝会議のマーケティングメディアAdverTimesは22年4月7日伝えている。

この配色で、自他の商品が識別できると認められた格好。4月4日の登録公報掲載で、2カ月間は異議申し立て期間となる。

商標として登録されたのは、セピア色(C20、M90、Y100、K50)、白色(CMYKいずれも0)、オレンジ色(C0、M55、Y100、K0)の組み合わせで、商標としての配色割合は上からセピア色約14%、中間部の白色とオレンジ色の組み合わせが約73%、下部のオレンジ色が約13%。中間部の白色とオレンジ色はそれぞれ商標の約2.3%で交互の配置、という色彩。カッコ内はプロセスカラーの組み合わせ。

出願は2018年7月で、足掛け4年の登録となった。その間、2回ほど登録拒絶となっており、商標の要件を満たすよう補正や資料提出などを行ってきた。

「色彩商標」は2014年の商標法改正で認められるようになった、いわゆる新しいタイプの商標。輪郭がなく、ひとつまたは複数の色彩のみからなる点が特徴だ。

「特許情報プラットフォーム」で2015年4月1日〜2022年4月4日までに出願されたものを集計。存続・登録は、同日時点で異議申立て期間中にある日清食品HDを含む。出願中は拒絶査定不服審判中、審査中、審査待ちのもの。取り下げは放棄を含む

2015年〜2022年にかけて出願された件数は562件に上る。22年4月時点で登録に至ったのは9件で、割合では1.6%。却下ならびに無効、または取り下げとなった出願は517件で9割を超える。

登録しているのは、日清食品HDのほかにトンボ鉛筆(2件)や、セブン-イレブン・ジャパン、三井住友フィナンシャルグループ(2件)、ファミリーマート、UCC上島珈琲。

出店:特許情報プラットフォーム検索結果

商標には、自社と他社の商品やサービスを識別できることが求められるが、色彩だけで提供している事業者や、そのほかの商品・サービスを認識、判別できるケースはあまり多くない。日清食品HDも、登録に至るまでに、色彩からブランドを想起するか、といった消費者調査などを資料として提出していた。

特許庁の特許情報プラットフォームで登録6534071号の「経過情報」をクリックして、「意見書」をクリックすると、日清食品側が提出した資料の一部を見ることができる。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.advertimes.com/20220407/article381089/
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20220404-00289923


Latest Posts 新着記事

知財の主戦場は「充電」から「交換」へ——CATLが先回りする日本市場の布石

世界最大級の車載電池メーカーCATLは、セルやパックの“モノづくり”を超えて、交換式バッテリーによる「BaaS(Battery as a Service)」へと事業射程を拡張している。交換ステーション、共通モジュール、運用ソフト、資産管理—この新モデルが成立するとき、勝負を決めるのは工場規模だけではない。規格化を押さえる特許と、サプライチェーン横断で効くサービス設計の知財である。中国本土では、Si...

環境×技術×知財 BlueArchがつくる“持続可能な海洋モニタリング”の新モデル

海岸林、マングローブ、塩沼、藻場などの ブルーカーボン生態系 は、地球温暖化対応の大きな鍵となる。これらの環境は、陸上森林よりも濃密に炭素を隔離する能力を持つという報告もある。Nature+2USGS+2 だが、こうした海・沿岸域の調査・保全には「アクセス困難」「高コスト」「リアルタイム性の欠如」といった課題が横たわる。ここに、ドローン技術、GPS(あるいは水中位置推定技術)、そして特許設計による...

ファーウェイ、特許で動く EV×5G基地局に見る中国知財の拡張戦略

■ 序章:静かに増える“赤い知財網” 特許庁の公開データを丹念に追うと、近年ひとつの変化が浮かび上がる。日本国内での中国企業による特許出願が、2015年以降、年率二桁で増加しているのだ。 とりわけ通信・電池・モビリティといった「脱炭素×デジタル」分野に集中しており、日本企業が得意とする領域を正面から狙っている。こうした動きの中心にいるのが、通信大手・華為技術(ファーウェイ)である。 米中摩擦のさな...

終わりなき創造の旅 厚木の発明家が挑む“次の技術革命”」

特許数でギネス更新 21世紀のエジソン、厚木に―発明の街が問いかける、日本の未来図 神奈川県厚木市―東京からわずか1時間足らずの距離にあるこの街が、世界の技術史に名を刻んだ。特許数の世界記録を更新した発明家、山﨑舜平(やまざき・しゅんぺい)氏が拠点を構えるのが、まさにこの地である。彼の名がギネス世界記録に再び載ったというニュースは、科学技術の世界だけでなく、日本人のものづくり精神を象徴する話題とし...

知財は企業の良心を映す鏡――4億ドル評決が語るイノベーションの倫理

2025年10月、米テキサス州東部地区連邦地裁で、韓国の大手電子機器メーカー・サムスン電子に対し、無線通信技術の特許侵害を理由に4億4,550万ドル(約690億円)の賠償を命じる陪審評決が下された。この判決は、単なる企業間の紛争を超え、ハイテク産業における知的財産権(IP)の重みを再認識させる事件として、世界中の知財関係者の注目を集めている。 ■ 「技術を使いたいが、支払いたくない」——内部文書が...

知財が揺るがす電機業界――TMEIC×富士電機、UPS特許訴訟の裏側

2025年夏、産業用電源装置分野を揺るがすニュースが伝わった。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、富士電機の無停電電源装置(UPS)製品が自社の特許を侵害しているとして、韓国において訴訟および輸入禁止の措置を求めた件である。韓国貿易委員会(KTC)は8月下旬、TMEICの主張を一部認め、富士電機製の特定UPSモデルについて韓国への輸入を禁止する決定を下した。日本企業同士の知財紛争が、国外で具...

「JIG-SAW、AI画像技術で米国特許を獲得へ 知財を武器にグローバル競争へ挑む」

はじめに:発表概要と意義 JIG-SAW(日本発の IoT / ソフトウェア/AI ベンチャーと理解される企業)は、米国特許商標庁から「コンピュータビジョン技術」に関する Notice of Allowance(特許査定通知) を取得した旨を、自社ウェブサイトおよびニュースリリースで公表しています。 具体的には、JIG-SAW は「コンピュータビジョン技術、画像処理・画像生成支援技術」分野において...

「特許で世界を包囲する中国 イノベーション強国への加速」

はじめに:なぜ国際特許出願数が注目されるか イノベーション(技術革新)の国際競争力を測る指標として、研究開発投資、論文発表数、特許出願数などが長らく注目されてきました。特に国際特許(例えば、特許協力条約 PCT 出願、あるいは各国出願による外国での保護を意図した出願)は、一国の発明・技術が国際市場を見据えて保護を志向していることを示すため、技術力だけでなく国際志向性の強さも反映します。 近年、中国...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る