ロシアが、ロシアに友好的でない国で特許を取得したソフトウェアやチップデザイン、およびその他の知的財産を無許可でコピーすることを合法化する法令を可決したと報じられていることを、Gigazine22年3月14日伝えている。
対象となる国のリストにはアメリカ・日本・オーストラリア・ニュージーランド・EU加盟国・韓国・カナダ・モナコノルウェー・ウクライナ・スイスが含まれている。
ロシア連邦政府は2022年3月6日付けで、第299法令「発明、実用新案又は意匠を特許権者の許諾を得ずに使用することを決定した場合に支払うべき対価の額を決定する方法及びその支払手続に関する第2項の改正について」を発令した。この法令により、ロシアの企業は特定の特許を無断で使用しても、損害賠償を請求されることはなくなったことになる。
アメリカ政府は以前からロシアにおける知的財産権の侵害を警告しており、2021年に知的財産の保護に失敗している疑いがあるとして、ロシアを「優先監視リスト」の9カ国のひとつに挙げていた。
ロシアの経済開発省は、ロシアへの輸入が制限されている多くの製品・サービスについて保護の撤廃を検討しており、「国民が欧米の企業から製品を奪われた一方で、制限解除によって第三国からそのような製品の輸入を合法化するものです」と述べており、ソフトウェアの特許や商標も保護撤廃の対象になる可能性もある。
記事作成時点でロシア政府は商標に関する保護は解除していませんが、もしロシアで商標の保護が撤廃されれば、マクドナルドやスターバックスコーヒーなど、ロシアからすでに撤廃した企業ブランドの店舗の営業を強制的に継続させることも可能になる。
ロシアの国営通信社であるイタル・タス通信は「西側諸国の新たな制裁により生じたサプライチェーンの断絶や、商品・サービスの不足が市場に与える影響を緩和することができます」と述べている。
ワシントンの知的財産権弁護士ジョシュ・ガーベン氏は、「今回の特許・知的財産権保護の撤廃は、ウクライナ侵攻以上に欧米の対露投資に影響を与える可能性があります。プーチン大統領は、ロシアと世界との関係を永久に変えてしまったのです」と指摘している。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://gigazine.net/news/20220314-russia-allows-patent-theft/
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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