パリパリ革命!チョコモナカアイス、新時代の味わい。


パリパリ革命!チョコモナカアイス、新時代の味わい。

森永製菓が提供するチョコモナカは、私達の日常にすでに溶け込んでいると言っても良いほど親しまれているアイスです。シンプルでありながら一口ごとに心を満たすスイーツにも、その製造方法に特許が取得されています。

チョコモナカに使用されるモナカ皮の内側には、チョコレートが均一にコーティングされています。食べている間は気づきませんが、モナカ皮に均一なコーティングを施し、パリパリした食感を維持するのは、実は非常に難しい技術なのです。今回はこのモナカ皮の製法について紹介していきます。

アイスクリームをモナカの皮で挟んだ、いわゆる「最中アイス菓子」は、モナカ皮のパリパリとした食感を楽しむことができること、アイス菓子を直接手に持って食することができること、モナカの皮ごと適当な大きさにちぎって食することができること、などの特徴を有しており、市場で高い評価を得ているアイス菓子です。

この最中アイス菓子においては、モナカ皮の内面にチョコレート被膜を形成し、アイスの水分がモナカ皮に浸透して、モナカ皮のパリパリした食感が損なわれることを防止しています。この場合、チョコレートのコーティングは、搬送手段に載って移動してくるモナカ皮の内面に、搬送手段の上方に配置されたノズルからチョコレートを吹き付けることによって行っています。

しかし、従来の最中アイス菓子におけるチョコレート被膜付きモナカ皮の製造法では、モナカ皮の内面の全面にわたってチョコレート被膜を均一な厚さで形成することが困難だったため、チョコレート被膜が十分に付着していない部分から、アイスの水分が浸透して、モナカ皮のパリパリした食感が損なわれてしまうという問題がありました。

発明の目的

上記目的を達成するため、本発明のチョコレート被膜付きモナカ皮の製造法は、モナカ皮を移動させる搬送手段の経路上にチョコレートを吹き付けるノズルを配置し、モナカ皮とモナカ皮の間には、モナカ皮の移動方向に沿って走行する無端状のマスキングベルトをそれぞれ配設し、モナカ皮を前記搬送手段に載せて移動させ、モナカ皮の移動方向の先端部が前記ノズルに近接した位置で、前記ノズルからチョコレートを噴射し、チョコレートが後端部にまで吹き付けられる位置でチョコレートの噴射を停止することにより、モナカ皮の内面にチョコレートをコーティングすることを特徴としています。

本発明によれば、モナカ皮とモナカ皮の間に、モナカ皮の移動方向に沿って走行する無端状のマスキングベルトをそれぞれ配設したので、ノズルからチョコレートを噴射したときに、モナカ皮の両側からはみ出すことなく、モナカ皮にチョコレートをコーティングすることができます。

また、追加的な構成として、マスキングベルトを、搬送手段の経路上方に配置された少なくとも一対のプーリに張設し、このマスキングベルトの上方走行部分に該マスキングベルトに付着したチョコレートを掻き落とすスクレッパを配置し、このスクレッパの下方に掻き落とされたチョコレートを回収する受け箱を配置して、マスキングベルトに付着したチョコレートを回収するようにした場合には、マスキングベルトをきれいな状態に保ってマスキング機能を維持すると共に、マスキングベルトに付着したチョコレートを回収して原料の無駄が発生するのを防止することができます。

さらに追加的な構成として、ノズルからチョコレートを噴射している間、ノズルを搬送手段の移動方向と反対方向に移動させる場合には、短時間でチョコレートを最中皮に塗布することができます。

では、製造工程について、図を参照しながら詳しく見ていきましょう。

【図1】

図1に示すように、チョコレート被膜付きモナカ皮の製造装置10は、モナカ皮の搬送手段として、第1コンベヤ11と、第2コンベヤ12とを有し、これらのコンベヤ11,12は上下に平行に配設されています。それぞれのコンベヤ11,12の始端部には、モナカ皮を集積して下端から一枚ずつ供給する供給ホッパ15が配置されています。

そして、下方に配置された第1コンベヤ11には、下部モナカ皮13が、その内面を上に向けて、複数列でかつ進行方向に所定間隔を置いて搬送されます。上方に配置された第2コンベヤ12には、上部モナカ皮14が、同じく内面を上に向けて、複数列でかつ進行方向に所定間隔を置いて搬送されます。

【図2】

図2を併せて参照すると、各コンベヤ11,12の移動経路上方には、コンベヤ11,12の移動方向に対して直交する一対の支軸19,20に支持された前後一対のプーリ16,17に張設された複数本のマスキングベルト18が、横方向に配列されたモナカ皮とモナカ皮との隙間をマスキングするように平行に配設されています。

図3、4に示すように、この実施形態の場合、マスキングベルト18は、断面が台形をなし、その下方走行面がモナカ皮13(14)の両側の間隙に沿って配設されています。マスキングベルト18の下方走行面は、モナカ皮13(14)とほぼ同じ移動速度で同方向に移動します。また、マスキングベルト18の上方走行面には、上下一対のスクレッパ21,22がマスキングベルト18に摺接するように配置されています。上方のスクレッパ21は、下方に開口するコ字状の切欠き21aを有し、マスキングベルト18がこの切欠き21aに入って摺接することにより、その上面に付着されたチョコレートを掻き落とされるようになっています。下方のスクレッパ22は、上方に開口して両側がテーパ状に広がるコ字状の切欠き22aを有し、マスキングベルト18がこの切欠き22aに入って摺接することにより、その両側面及び下面に付着されたチョコレートを掻き落とすようになっています。

【図3】

【図4】

更に、各コンベヤ11,12のスクレッパ21,22の下方には、受け箱23が配置されていまず。受け箱23は、各コンベヤ11,12の幅方向全長に亘って、コンベヤ11,12の移動方向とほぼ直交する方向に配設されており、細長い樋状をなしている。この受け箱23に回収されたチョコレートは、チョコレート原料として再利用されます。

また、各コンベヤ11,12の供給ホッパ15より下流側であって、上記マスキングベルト18が配設された部分の上方には、チョコレートを吹き付けるノズル24が、各モナカ皮13(14)の列毎に配置されています。

このノズル24よりもモナカ皮13(14)の移動方向の下流側であって該ノズル24に近接した位置に、各コンベヤ11,12の幅方向全長に亘って、コンベヤ11,12の移動方向とほぼ直交する方向に、マスク板25が配設されています。このマスク板25は、下方に向かうほど上流側に寄るように、コンベヤ11、12に対してやや斜め下方に向けて配設されています。マスク板25は、ノズル24からチョコレートを噴射するときにモナカ皮外部へチョコレートが飛び散らないようにする効果と、ノズル24からチョコレートを噴射するときのモナカ皮の位置決めをする効果があります。

すなわち、モナカ皮13の移動方向の先端部がマスク板25に至る直前で、ノズル24からチョコレートを噴射し、モナカ皮13の後端部がマスク板25を通過する前であって、かつ、チョコレートが後端部にまで吹き付けられる位置でチョコレートの噴射を停止することにより、ノズル24からチョコレートが噴射し始めたときの噴射圧が強くても、マスク板25によってチョコレートがモナカ皮13の先端からはみ出すことを防止できる。

また、チョコレートが後端部にまで吹き付けられる位置でチョコレートの噴射を停止することにより、チョコレートがモナカ皮13の後端からはみ出すことも防止でき、モナカ皮の内面の端部にまでチョコレートをコーティングすることができる。なお、図6(B)に示すように、ノズル24は、コンベヤ11,12の移動方向と反対のE方向に、所定距離だけ移動しつつチョコレートを噴射するようになっています。

以上説明したコンベヤ11,12と、マスキングベルト18と、スクレッパ21,22と、受け箱23と、ノズル24と、マスク板25が、本発明によるチョコレート被膜付きモナカ皮の製造装置10の構成部をなしています。

以下に説明する部分は、チョコレート被膜を形成したモナカ皮13に、アイスクリームやセンターチョコレートを充填し、もう一方のモナカ皮14を被せて、最中アイス菓子を製造する工程に係る部分であり、本発明のチョコレート被膜付きモナカ皮の製造装置に付設されて最中アイス菓子の製造装置をなす部分となります。

<最中アイス菓子の製造装置の構成>
下方の第1コンベヤ11のマスキングベルト18から出た位置から、移動方向に沿って順番に、第1アイスクリーム充填機30、センターチョコレート充填機31、第2アイスクリーム充填機32が配置されます。

第1アイスクリーム充填機30は、モナカ皮13の底部にアイスクリームを所定の厚さで充填します。センターチョコレート充填機31は、このアイスクリーム上にセンターチョコレートを充填します。第2アイスクリーム充填機32は、この上に更にアイスクリームを充填して、センターチョコレートを上下のアイスクリームで挟んだ状態にします。

第2アイスクリーム充填機32より更に移動方向下流側には、上方モナカ皮14の反転被せ装置33が配置されています。この反転被せ装置33は、上方の第2コンベヤ12の終端部に配置され、第2コンベヤ12の終端部から落下するモナカ皮14を反転させて、第1コンベヤ13上に載置されて移動してくるモナカ皮13に被せ付けるものです。

この反転被せ装置33の更に下流側には、第3コンベヤ34が配置され、この第3コンベヤ34は、クーラボックス35内に導入されています。

<本発明によるチョコレート被膜付き最中皮の製造法>

再び図1を参照します。

供給ホッパ15から、各コンベヤ11,12にモナカ皮13,14がそれぞれ供給され、モナカ皮13,14が所定間隔をおいて複数列で移動します。それぞれのモナカ皮13,14の両側には、マスキングベルト18が同方向に走行し、図5、図6(A)に示すように、最中皮13(14)の両側より外側をカバーします。

【図5】

【図6】

そして、図6(B)に示すように、モナカ皮13(14)の先端Cが、マスク板25に近接した位置Aに至ると、センサがこれを検知して、ノズル24からチョコレートを噴射します。このときの噴射圧力は比較的高いのですが、同図(A)に示すように、モナカ皮13(14)の両側より外側はマスキングベルト18でカバーされ、モナカ皮13(14)の先端Cより外側はマスク板25でカバーされるので、チョコレートがモナカ皮13(14)の外側にはみ出すことを防止できます。

ノズル24は、A地点で噴射を開始した後、コンベヤ11(12)の移動方向とは反対方向に、モナカ皮13(14)上のB地点に至るまで移動しつつ、チョコレートを噴射し続けます。

この結果、モナカ皮13(14)の内面の全面に亘ってチョコレートを均一な厚さで塗布することができます。

マスキングベルト18には、ノズル24から噴射されるチョコレートが付着しますが、このチョコレートは、上下一対のスクレッパ21,22によって前述したように掻き落とされ、掻き落とされたチョコレートは受け箱23に落下して、チョコレート原料として再利用されます。

こうしてチョコレートをコーティングされた下方のモナカ皮13には、第1アイスクリーム充填機30により、アイスクリームが所定の厚さで充填され、次いで、センターチョコレート充填機31によりセンターチョコレートが充填され、更に、第2アイスクリーム充填機32により再度アイスクリームが充填されて、センターチョコレートを上下のアイスクリームで挟んだ状態とされます。

そして、上方のモナカ皮14は、第2コンベヤ12の終端部から反転被せ装置33に導入され、そこで反転されて、第1コンベヤ13上に載置されて移動してくる上記モナカ皮13に被せ付けられます。こうして完成した最中アイス菓子40は、第3コンベヤ34に載ってクーラボックス35に導入され、製品包装装置に送られます。

【図7】

図7には、こうして製造された最中アイス菓子40が示されています。この最中アイス菓子40は、凹凸形状を有する1対のモナカ皮13,14で覆われた形状をなし、各モナカ皮13,14の内面にチョコレート被膜41,42が形成され、その内側にそれぞれアイスクリーム43,44が充填され、このアイスクリーム43,44に挟まれて、中心にセンターチョコレート45が配置された構造をなしています。

この最中アイス菓子40は、最中皮13,14の内面全体にほぼ均一にコーティングされたチョコレート被膜41,42によって、アイスクリーム43,44の水分がモナカ皮13,14に移行するのが効果的に防止され、モナカ皮13,14のパリパリした食感を長期間に亘って維持することができます。

本発明の製造装置を用いると、マスキングベルトによってモナカ皮の外面にチョコレートがはみ出すことなく、モナカ皮の内面全体に、チョコレートをほぼ均一に塗布することができることが実施例により確かめられました。その結果、従来法で製造したチョコレート被膜付きモナカ皮よりも、経時的に吸湿が抑制されることが判明しました。

発明の名称

チョコレート被膜付き最中皮の製造法及び製造装置

出願番号

特願2004-132576

公開番号

特開2005-312333

特許番号

特許第4331642号

出願日

平成16年4月28日

公開日

平成17年11月10日

登録日

平成21年6月26日

審査請求日

平成19年4月13日

出願人

森永製菓株式会社/td>

発明者

今村 進
国際特許分類

A21D 13/08 (2006.01)
A23G 3/02 (2006.01)
A23P 1/08 (2006.01)

経過情報

特許権は年金不納により現在消滅している。 



Latest Posts 新着記事

東レ特許訴訟で217億円勝訴 用途特許が生んだ知財判例の転機

2025年5月27日、知的財産高等裁判所は、東レの経口そう痒症改善薬「レミッチOD錠」(一般名:ナルフラフィン塩酸塩)をめぐる特許権侵害訴訟で、後発医薬品メーカーである沢井製薬および扶桑薬品工業に合計約217億6,000万円の損害賠償支払いを命じる判決を下しました 。東レ側は用途特許に関して権利を主張し、一審・東京地裁での棄却判決を不服として控訴。知財高裁は、後発品の製造販売が特許侵害に当たるとの...

Pixel 7が“闇スマホ”に!? 特許訴訟で日本販売ストップの衝撃

2025年6月、日本のスマートフォン市場を揺るがす衝撃的なニュースが駆け巡った。Googleの主力スマートフォン「Pixel 7」が、特許侵害を理由に日本国内で販売差し止めとなったのだ。この決定は、日本の特許庁および裁判所による正式な判断に基づくものであり、Googleにとっては大きな痛手であると同時に、日本のユーザーにとっても深刻な影響を及ぼしている。 中でもSNSを中心に広がったのが、「今使っ...

KB国民銀行が仕掛ける“銀行コイン”の衝撃 韓国金融に何が起きているのか

韓国の大手金融機関がデジタル通貨領域への進出を本格化している。2025年6月、韓国の四大商業銀行の一角を占めるKB国民銀行が、ステーブルコインに関連する複数の商標を出願したことが確認された。これにより、韓国国内における民間主導のデジタル通貨開発競争が新たな局面を迎えつつある。カカオバンクやハナ銀行といった他の主要金融機関もすでに関連動向を見せており、業界全体がブロックチェーンとWeb3技術への対応...

トヨタ、ホンダ、日産におけるインホイールモーター特許の出願状況と技術的優位性

はじめに 近年、自動車業界における電動化の波は急速に進展しており、特にインホイールモーター技術は電気自動車(EV)の駆動方式として注目を集めています。インホイールモーターとは、車輪内に直接モーターを組み込む技術であり、駆動効率の向上や車体設計の自由度拡大など、多くのメリットを持つため、世界中の自動車メーカーが開発競争を繰り広げています。 本稿では、日本の自動車業界を代表するトヨタ、ホンダ、日産の3...

ペロブスカイト・シリコンタンデム太陽電池:さらなる光電変換効率の向上へ

次世代太陽電池技術の最有力候補として注目されるペロブスカイト・シリコンタンデム太陽電池は、従来の太陽電池の光電変換効率を大きく上回ることが明らかになってきました。この革新的デバイスの実用化に向け、すでに様々な製造技術が開発されています。今回紹介する米国特許US11251324B2もその一つです。 https://patents.google.com/patent/US11251324B2/ 本コラ...

包装×保存×AI=知財革命──「Tokkyo.AI」で実現する食品技術の特許化最前線

1. はじめに:食品業界が直面する知財化の課題 昨今、食品メーカーを取り巻く環境は、フードロス問題の深刻化や消費者の安全・安心志向の高まりなどにより、新たな包装設計や保存技術の開発が急務となっています。革新的な包装材料やプロセスが次々と生み出される中、知的財産(IP)面での迅速かつ戦略的な対応が差別化の鍵を握ります。 しかし、多くの企業では「開発ドメインと知財部門のコミュニケーション不足」「特許調...

AIカメラ+音声識別による非接触発情検知システム、特許出願へ

近年、畜産業界において「牛の発情検知」は受胎率向上や繁殖効率改善に向けた重要課題となっています。その解決に向けて、画像と音声の両面から発情する牛を自動検知する革新的システムが開発され、すでに特許出願段階に至っています。本記事では、その背景・技術・効果・今後の展望を徹底解説します。 1.発情検知の重要性と従来技術 牛の発情期を正確に捉えることは、人工授精の適期を逃さず受胎率を維持するうえで不可欠です...

水素特許で世界をリード──トヨタ・ホンダの戦略と普及のカギ

はじめに 脱炭素の流れの中で、水素エネルギーが注目を集めています。その中で、日本の自動車大手トヨタとホンダは、水素関連技術において特許面で世界をリードしています。しかし、実際の普及には「コスト」と「規格整備」の両面で技術革新や政策支援が不可欠です。本記事では、両社の特許戦略を軸に、水素エネルギー普及の課題と展望を整理します。 1.特許戦略で先行するトヨタ・ホンダ トヨタの圧倒的特許力 パテント・リ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る