デザインの小さな革命 – ポッキーが変えたスナックの未来


ROUND.1グリコポッキー VS ロッテトッポ

デザインの小さな革命 – ポッキーが変えたスナックの未来

私たちの日常にすっかり溶け込んだ、あの有名なスナック「ポッキー」。しかし、皆さんはポッキーがどのようにしてこの形状を得たのか、その背後にある独創的な技術や設計について考えたことはあるでしょうか?

今回は、ポッキーの実用新案登録に焦点を当て、このシンプルながらも斬新なスナックがどのように考案されたのか、その特徴を詳説していきます。

ポッキーは、1966年にテスト販売された「チョコテック」が前身であり、プリッツの一部だけをチョコレートでコーティングする形態を機械化するためには、新しい機械や製造工程の設計が必要でした。

その後、広島県でのテスト販売が大成功し、67年に「ポッキーチョコレート」として京阪神地域限定で発売され、翌68年には全国発売されました。70年には30億円以上を売り上げる大ヒット商品となりました。

発明の目的

ビスケットの表面にチョコレートを被覆し、食べやすくすることを目的として実用新案登録出願されました。この考案は、フィンガービスケットの改良版として開発されています。

発明の詳細

では、図面を参照しつつ、本考案の特徴の詳細を説明します。

【図面】

【考案の特徴】
ビスケットの形状:ビスケット部分(A)は細長い円柱状に設計されています。
断面弧状の凹み:円柱状のビスケット側面には、断面が弧状の凹み(B)が2条設けられています。これはビスケットとチョコレートの結合を強化し、チョコレートの離脱を防ぐためです。
露出部分の設計:ビスケットの一部(D)が露出するようにチョコレート(C)で被覆されています。この露出部分は食べる際の把手の役割を果たし、手がチョコレートで汚れるのを防ぎます。

【考案の課題と解決手段】
チョコレートの離脱防止:ビスケットにチョコレートが離脱しにくいようにするため、凹みを設けることでビスケットとチョコレートの結合を強化しました。
食べやすさの向上:露出部分を設けることで、食べる際にチョコレートが手に付着するのを防ぎ、簡潔に食べることができます。
構造の合理性と実用性:ビスケットの形状と凹みの設計は、構造的に合理的であり、実用的です。

この考案は、ポッキーのデザインと機能性に重点を置いています。ビスケットの細長い形状と、チョコレートを部分的に被覆することで、手を汚さずに食べることができるように設計されています。

また、ビスケットとチョコレートの結合を強化するために特別な凹みが設けられており、これによりチョコレートの離脱を防ぐとともに、ビスケットの構造的強度を維持しています。このような特徴は、ポッキーが単なるチョコレート被覆菓子ではなく、特定の食べやすさと機能性を持つ製品として設計されていることを示しています。

発明の名称

チョコレートを被覆したビスケット

出願番号

実願昭41-7217

公告番号

実公昭44-029406

出願日

昭和41年1月28日

公告日

昭和44年12月5日

登録日

昭和45年4月21日

出願人

江崎グリコ株式会社

考案者

熊木 克之 他
国際特許分類

・ A23G1/00
・ A23G3/00
・ A23G1/54

経過情報

期間満了により抹消



Latest Posts 新着記事

村田製作所、“特許力”で世界を制す 年々強化される知財戦略の全貌

電子部品業界において、グローバルで確固たる地位を築く日本企業・村田製作所。同社はスマートフォン、自動車、通信インフラなど、あらゆる先端分野で不可欠な部品を供給し続けているが、その競争優位性の核心には、他社を圧倒する「特許力」がある。 村田製作所の特許出願数は、国内外で年々増加しており、特許庁が公表する「特許資産規模ランキング」においても常に上位を占める。2020年代以降、その特許戦略はさらに洗練さ...

トヨタ・中国勢が躍進 2024年特許登録トップ10に見る技術覇権の行方

2024年における日本企業の特許登録件数ランキングが、特許庁公表の「特許行政年次報告書2025年版」により明らかになりました。その結果、国内企業上位10社には、自動車関連企業が3社名を連ね、さらに中国企業の技術力と知財戦略の成長が際立つ結果となりました。本稿では、トップ10企業の顔ぶれを振り返るとともに、自動車関連企業の動向、中国勢の勢い、そして今後の展望について解説します。 ■ ランキング概要:...

メルク、英ベローナを100億ドルで買収 キイトルーダ後を見据えCOPD新薬を強化

米製薬大手メルク(Merck & Co.、日本ではMSDとしても知られる)は、英国バイオ医薬品企業ベローナ・ファーマ(Verona Pharma)を約100億ドル(1兆4,700億円)で買収することで基本合意に至りました。買収金額は現地株式の米国預託株式(ADS)1株あたり107ドルで、これは直近の株価に対して約23%のプレミアムを上乗せした水準です。 背景:キイトルーダの特許切れと「ペイ...

知財覇権争い激化 中国企業が日本の次世代技術を標的に

中国企業、日本で次世代技術の知財攻勢強化 特許登録が急増 日本における次世代技術分野で、中国企業による特許登録件数が急増している。AI(人工知能)、量子技術、電気自動車(EV)、通信(6G)といった先端分野での出願が目立ち、知的財産権を活用したグローバル戦略の一環とみられる。中国勢の台頭により、日本国内企業の技術優位性や将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があるとして、専門家や政策当局も注視してい...

「aiwa pen」誕生!端末を選ばない次世代タッチペン登場

株式会社アイワ(aiwa)は、ワコム株式会社が開発した先進的なAES(Active Electrostatic)方式の特許技術を搭載した新製品「aiwa pen(アイワペン)」を、2025年7月3日より全国の家電量販店およびオンラインショップにて販売開始したと発表しました。マルチプロトコル対応によって、Windows・Android・Chromebookなど様々な端末での利用を可能にし、使う端末を...

完全養殖ウナギ、商用化へ前進 水研機構とヤンマーが量産技術を特許化

絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの持続的な利用に向けた大きな一歩となる「完全養殖」技術の量産化が、いよいよ現実味を帯びてきた。国の研究機関である水産研究・教育機構(以下、水研機構)と、産業機械メーカーのヤンマーホールディングス(以下、ヤンマー)が共同で開発を進めてきたウナギの完全養殖技術について、両者が関連する特許を取得したことが明らかになった。 これにより、これまで不可能とされていたウナギ...

ミライズ英会話、AI活用の語学教材生成技術で特許取得 EdTech革新が加速

英会話スクール「ミライズ英会話」(運営:株式会社ミライズ、東京都渋谷区)は、AIを活用した「完全パーソナライズ語学教材自動生成技術」に関する特許を、2025年5月に日本国内で正式に取得したと発表した。この技術は、学習者一人ひとりの語学レベルや目的、学習傾向に応じて最適な学習教材をリアルタイムで生成・更新するという、従来にない革新的な仕組みである。 本技術の特許取得により、語学教育における個別最適化...

トランスGG、創薬支援で前進 エクソンヒト化マウスの特許が成立

株式会社トランスジェニック(以下、トランスGG)は、2025年6月、日本国内において「エクソンヒト化マウス」に関する特許が正式に成立したと発表した。本特許は、ヒト疾患の分子機構解析や創薬における薬効評価、毒性試験など、幅広い分野で活用が期待される次世代モデル動物に関するものであり、今後の創薬研究において大きなインパクトを与えるものとなる。 ■ エクソンヒト化マウスとは エクソンヒト化マウスは、マウ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る