ホログラム再生装置
テレビ電話をよりもっとリアルに!
皆さん、「ホログラフィー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ホログラフィーとは、“光の回折とを利用して立体画像を記録再生する方法”のことを指し、物体の形状や大きさの計測(光計測)や立体表示の分野にて主に利用されています。
最近になって、サムスンがこのホログラム再生装置を搭載した「スマートフォン」を開発していることが明らかになっており、特許申請も行われています。
従来の技術では、光の回折を上手くコントロールすることができず、大きくて品質の悪いホログラム映像しか作り出せませんでしたが、彼らの特許技術では、特殊なフィルターを装置内に設置することによって、コンパクトで高品質なホログラフィー像を提供し、加えてホログラム再生装置の小型化も可能にしています。
今回の特許発明(ホログラム電話)によって、“家にいても友達同士集まって会話できて一人暮らしの寂しさも解消”、そんな生活が近い将来現実になること間違いなしです。
■発明のポイント
本発明は、ホログラム再生装置に関する発明であって、主に「ホログラムパターンを表示するディスプレイ(上図10)」、リレーレンズユニット(上図20, 30)」および「空間光変調器(SLM)(上図40)」から構成されている。
番号 | 名称 | 説明 |
---|---|---|
10 | ディスプレイ | ホログラムパターンを表示する |
20 | 第1レンズユニット | ディスプレイの前面に配置された第1レンズアレイ、第1レンズアレイの前面に配置された第2レンズアレイを含む |
30 | 第2レンズユニット | 第2レンズアレイの前面に配置された第3レンズアレイ、第3レンズアレイとSLMの間に配置された第4レンズアレイを含む |
40 | 空間光変調器(SLM) | ホログラムを描くための感光層を有する。感光層の前面には液晶ディスプレイパネルが設置されていて、入射光を回折光に変調する |
50 | 導光板 | 第二レンズユニットとSLMの間に設置されている。拡大されたコリメート光を得るためのエキスパンダーを有する |
60 | フィルター | Bragg gratingフィルターとルーバーフィルターを有しており、回折光を調節する |
70 | 集光レンズ | 回折光を集光する |
また、導光板(上図50)は下記のような構造を有する。
51:エキスパンダー
52:再生光をエキスパンダーに規定した入射角で入射させる装置
53:再生光の一部をエキスパンダーの外へ放出させる装置
上記導光板の構造によって、「再生光がSLMの領域全体に均一に放射される」という技術的特徴を有する
本発明によれば、高品質のホログラフィー像を提供することができるとともに、ホログラム再生装置のコンパクト化が可能となる。
■権利範囲
特許出願のクレーム範囲(概略)は以下の通り。
【請求項1】
以下の構成を含むホログラム再生装置
・ホログラムパターンを表示するディスプレイ
・ディスプレイの前画面に配置され、ディスプレイから放出された光を集光するマイクロレンズを含むレンズアレイを備える第1のレンズユニット
・第1のレンズユニットにて集光された光をさらに集光するマイクロレンズを含むレンズアレイを備える第2のレンズユニット
・ホログラムを描く空間光変調器(SLM)
・再生光をSLMへ誘導するための導光板
・SLMの前画面に配置され、回折光を調整するフィルター
・回折光を集光するレンズ
上記のような構成を持つホログラム再生装置は、本発明の権利範囲に含まれる可能性があり、競合他社は注意する必要がある。
■概要
発明の名称:ホログラム再生装置およびその操作方法
出願番号:15/869,732
公開番号:US2018/0341219
出願日:2018年1月12日(米国)
公開日:2018年11月29日(米国)
出願人 :Samsung Electronics Co.,Ltd.
経過情報:米国においては、2018年1月12日に特許出願が行なわれ、現在は特許審査係属中である。尚、本特許の出願国は米国と韓国のみであり、日本には特許出願が行なわれていない。
<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。