トヨタの特許技術活用、ユーエフツールの新ドリル


トヨタの特許技術活用、ユーエフツールの新ドリルが実現したこと

ユーエフツール(名古屋市天白区、赤羽厚彦社長)は、切削時の振れを抑え、高い穴位置精度と高硬度材に使用しても優れた耐欠損性を持つドリル「ペンタゴン」を発売しました。このドリルはトヨタ自動車が保有する特許技術「五角錐チゼル」を利用しており、ドリル先端の中心にある鈍角部分を平面に近い五角錐に成形することで実現されました。価格はオイルホールがある3Dタイプのパイロットドリルで6500円から31000円程度です。初年度に3000万円の売り上げを目指しています。

ペンタゴンの特長

一般的なチゼルエッジの先端角が140度ほどなのに対し、ペンタゴンの五角錐チゼルの先端角は170度ほどで平面に近いです。これにより、先端部の長さが短くなり、加工対象物(ワーク)への食いつきが良くなります。その結果、振れが少なくなり、加工と穴位置精度の安定性が向上します。

テスト結果では、金型鋼を5回加工した際の穴位置は他社製が中心点から直径0.013ミリから0.06ミリメートルずれていたのに対し、ペンタゴンは5回とも直径0.013ミリメートル以内のずれにとどまりました。また、刃先の動きが抑制されることで欠損しにくくなる効果も確認されています。

トヨタの特許技術とその応用

五角錐チゼルはトヨタが自社の生産活動のために開発し、特許を取得した技術です。ユーエフツールはこの技術に着目し、トヨタから特許の利用許諾を得て製品化しました。既に自動車分野での販売実績があり、今後は顧客の裾野を広げていく考えです。

展示会への出展予定

ユーエフツールは、2024年11月5日に東京ビッグサイトで開幕する日本国際工作機械見本市(JIMTOF)にペンタゴンを出展する予定です。この展示会は工作機械の最新技術を紹介する場として国内外から多くの企業が参加します。

今後の展望

ユーエフツールは、今後もトヨタの特許技術を活用し、さらなる技術革新を目指します。また、新製品の開発と既存製品の改良を通じて、顧客のニーズに応える高品質な工具を提供していきます。


Latest Posts 新着記事

10月に出願公開されたAppleの新技術〜Vision Proの「ペルソナ」を支える虹彩検出技術〜

はじめに 今回は、Apple Inc.によって出願され、2025年10月2日に公開された特許公開公報 US 2025/0308145 A1に記載されている、「リアルタイム虹彩検出と拡張」(REAL TIME IRIS DETECTION AND AUGMENTATION)の技術内容、そしてこの技術が搭載されている「Apple Vision Pro」のペルソナ(Persona)機能について詳説してい...

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る