特許庁の有識者委員会が行った調査で、人工知能(AI)を発明者として認めることの是非について尋ねた結果、回答した企業・団体の80%がこれが問題を引き起こす可能性があると懸念を表明しました。主な懸念点は、実現性が未検証の製品や技術が増えることです。この調査結果は近く公表される予定です。
生成AIの急速な発展に伴い、AIを利用した発明の特許申請が増加すると予想されます。有識者委員会は昨年10月から、AI技術を持つ企業や研究機関125団体を対象にアンケートを実施し、41の団体から回答を得ました。また、公開情報やインタビューによる調査も行いました。
調査では、新薬開発、原材料開発、飲料レシピの提案、建築設計など、多岐にわたる分野でAIの活用が見られました。回答した企業や研究機関の34%が、AIを創作過程で利用していることが確認されました。例えば、材料開発では、AIが大量のデータから適切な材料の組み合わせや製造方法を予測することにより、開発速度と効率を向上させる可能性が示されました。
しかし、多くの企業がAIの技術レベルがまだ不十分であると回答し、「人間による検証が必要」との意見が多数を占めました。AIによる自立的な発明に対して特許権を認めるかどうかについては、80%が問題が生じる恐れがあると回答しています。また、製品化の実現性が未検証のまま特許申請が増加することにより、審査遅延の問題も指摘されました。
有識者委員会は現時点で特許審査や認定の方針を変更する必要はないとしつつも、「AI関連技術の急速な発展を考慮し、適切な保護のあり方を必要に応じて検討する」と結論付けました。特許庁はこの調査結果を基に、AIによる発明の特許を巡るリスクなどについてさらなる研究を進める方針です。
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