湯まわり設備メーカーの㈱ノーリツ(本社:神戸市、代表取締役社長:腹巻知、資本金:201億円、東証一部上場)は、2021年3月29日(月)、給湯器のお湯はり完了時に流れる“「人形の夢と目覚め」のメロディーと「お風呂が沸きました」の音声でお知らせ”の音が、クラシック音楽を含む音声で初めて「音商標登録 第6369662号」として商標登録されたと公表した。
目が不自由な人のお風呂沸かしの不便さを解消するために、1997年からノーリツが給湯器のリモコンに搭載したこのメロディー。クラシック音楽は、通常視聴して楽しむものであり、音商標としての登録が非常に困難とされるが、ノーリツの「お湯はり完了メロディー」は、長年にわたり
広く使用されており、容易に企業名を想起することができると認められ、クラシック音楽を含む音声で初めて音商標として登録された。2017年の出願から4年越しでの商標登録である。
企業のブランド戦略の多様化を支援するため登録が始まった、音楽、音声、自然音等からなる聴覚で認識される商標“音商標”。2015年から登録が開始され、これまでには飲料メーカー・伊藤園の「おーいお茶」や、製薬会社・大正製薬の「ファイトーイッパーツ」など、2019年までに666件が出願され、289件が登録されている。
企業の戦略において大きな役割を果たす”音商標”。大きな期待がかけられる一方で、厳格な審査基準により登録が難しくなっているとの指摘も。マツモトキヨシホールディングスが2017年に出願した「マツモトキヨシ」というフレーズを含む自社のCMメロディーが、他人の氏名を含む商標は登録できないという理由から拒絶されている。
そもそも、なぜ企業は商標登録にこだわるのか。著作権などに詳しい弁理士の栗原潔氏は、企業が商標登録を行うのは「保険的な意味合いが強い」と話す。
「商標登録をすると独占使用できる、簡単に言うとパクリを防げる。パクられてから後で慌てていてもしょうがない。事前に取得しておくことでパクリを防ぐ保険的な意味合いがあって、会社として大事だと思うのであれば取得しておくことに意味がある。これは防衛的な意味でも非常に重要」と語っている。(栗原氏、以下同)
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