大日本印刷株式会社、マンガ制作をAIで効率化して、カラー化=特許技術で“着彩”の時間を2分の1に

大日本印刷株式会社(本社:東京都新宿区 代表:北島 義斉 以下、DNP)は、多言語対応のマンガ制作ツール「DNPマンガオンラインエディトリアルシステム MOES®(モエス)*1」に、株式会社10ANTZ<テンアンツ>*2が開発した「マンガAI着彩機能」を搭載し、2023年10月にトライアル運用を開始すると9月28日プレスリリースで公表した。

MOESは、マンガ等のコンテンツの創出・制作・各種データ変換を一貫して支援するスタジオ「MANGA CREATIVE WORKS®」で提供する制作ツール。この機能により、従来は手作業で行っていたマンガに色を付ける“着彩”の工程を大幅に効率化できるツール。

また、オノマトペ(マンガに描かれる画像化された擬音語・擬態語)を削除するとともに、削除後の部分にあるはずの背景を推定して描く機能もMOESに実装する。このように、翻訳以外の機能も今後MOESに集約することでマンガ制作の効率化をさらに推進し、マンガコンテンツのグローバル展開に貢献していくとしている。

近年、世界的にスマートフォン用アプリやWebサイトでマンガを楽しむ読者が増加する中、日本のマンガコンテンツは人気作品が翻訳され、海外展開されているが、現在、多言語版の制作負荷やグローバルな流通の課題によって、海外に展開できていないタイトルが多数ある。マンガは人物・キャラクターのほか背景・吹き出し・セリフ・オノマトペ等の構成要素が多く、特にカラー化する着彩の工程は非常に難易度が高いため、現状ではそのほとんどを手作業で行っており、制作に時間がかかることが課題になっていた。

こうした課題に対してDNPは、「MANGA CREATIVE WORKS®」を構築し、そのなかで、マンガの多言語版制作に向けてMOESを展開している。今回、AI(人工知能)を活用して着彩する機能をMOESに搭載することで、マンガコンテンツの着彩工程の生産性向上と効率化を支援する。

MANGA CREATIVE WORKSにおけるMOESの提供機能一覧

*1
【特許番号】特許第5605004号(P5605004)
【登録日】平成26年9月5日(2014.9.5)
【発明の名称】漫画制作支援システム及びプログラム
【特許権者】【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【発明者】 【氏名】加藤 正幸 黒澤 隆一 吉田 匡秀

【要約】【課題】翻訳漫画の制作にあたり、個々の作業を担当する各ユーザの制作作業の合理化を実現することが可能な翻訳漫画制作支援システム及びそのプログラムを提供する。

【解決手段】翻訳漫画制作支援システムは、クライアント端末と、サーバ装置とを備える。サーバ装置は、記憶手段と、画面情報生成手段と、画面情報送信手段とを備え、原作漫画を構成するページから、作業ページをユーザが選択する画面であって、ページの各々を示すサムネイルを表示するページ選択画面の画面情報を生成し、当該画面情報をクライアント端末に送信する。クライアント端末は、受信手段と、表示手段と、入力手段とを備え、サーバ装置から受信した画面情報に基づきページ選択画面を表示すると共に、ページ選択画面から任意のサムネイルを前記ユーザに選択させる。このとき、ページ選択画面に表示される各サムネイルは、ユーザが担う作業の進捗状態に応じて、表示態様が異なる。

*2 10ANTZ(本社 東京、代表取締役社長 髙澤真)は、「ファンとアーティストの“ありがとう”をつなぐ」をミッションとして、乃木坂46や日向坂46、JO1といったアーティストのゲームアプリ企画・運営など、エンターテインメント領域を主軸にAI技術の製品化・実装に取り組んでいる。また、幅広い目的で使用できる画像認識・生成AI SDK(Software Development Kit)等をエンターテインメント・ゲーム・ロボット・広告・マーケティング・教育・医療等の業界に導入するための最先端のAIソリューションを提供している。

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。