特許取得の自動いちご取得ロボット「ロボつみ」、熟練者の手の代わりとなって労働力不足に貢献か!?


株式会社アイナックシステム(本社:福岡県久留米市 代表:稲員重典)ではAIを搭載した世界初の自動いちご摘みロボット「ロボつみ」を自社開発したとマイナビ農業ほか各メディアが伝えている。そしてこのロボットは23年3月に受注開始されている。

福岡県久留米市は、福岡県が誇るブランドいちご・あまおうの産地。その実は他のいちごと比べて大
きく重量感があり、実を傷めないようにするには工夫が必要です。一方、この地域でも就農者の高齢化と労働力不足は例外ではない。そんな課題を解決するために生まれたのがこのロボット。

福岡県八女郡広川町にあるいちご栽培のハウス。ここは、株式会社アイナックシステムの自社農園。世界初の自動いちご摘みロボット『ロボつみ』のフィールド試験を行うことを目的に、同社の稲員重典社長のご実家の協力を得て実際にあまおうを栽培しているハウスで、『ロボつみ』が栽培ベンチの間を自走している。

同社の稲員社長は代々農家を営む。いちご栽培を行う家族を間近で見てきて、エンジニアとして何らかの形で応援できないかと、長年考えてきた。それも、いちご需要は年々増す反面、就農者の高齢化や後継者・労働力不足、品質基準の厳格化などにより、作付面積は減少傾向にあって、特に、短い期間に短時間で作業を行わなければならない収穫の時期の労働力不足は深刻だ。

その解決策として社長が4年前に思いついたのが、熟練者の手の代わりとなって「収穫ハンド」(特許取得済)となる自動いちご収穫ロボット。社長自ら1号機を製作。その後、有能な技術者たちが参加して改良を重ね、この度3号機が完成。それが、今回の自動いちご摘みロボット『ロボつみ』だ。

『ロボつみ』の最大の特徴は、AIでいちごの色づきを判断し、特許を取得した特殊な二段階の刃でいちごに触れることなく茎をヘタの真上でカットして、トレーに等級ごとに収穫できるといもの。人間の手で触れることなく、しかも茎を短く切断するため、周りのいちごを傷つけて品質を落とすリスクも少なくなる。

さらに実家が農家である稲員社長としては、どんなに有能な機械であっても、農家が購入できないほど高額なものでは本質的な問題解決にはならないというのが譲れないポリシー。そこで同社では、日本初・世界初の自動いちご摘みロボットを自社開発することにより、農家でも導入可能な価格帯での販売を実現している。

【発明の名称】 果実収穫用ハンド
【特許番号】 特許第6991611号(P6991611)
【登録日】 令和3年12月10日(2021.12.10)
【特許権者】 【氏名又は名称】株式会社アイナックシステム
【発明者】 【氏名】稲員重典
【要約】 【課題】果実の茎を果実の近くで正確に切断して収穫することが可能な果実収穫用ハンドを提供する。
【解決手段】収穫する果実の茎を茎保持部に挟み込んで保持する茎保持チャック2と、茎保持部に茎を保持した状態で、茎保持チャック2の上方位置において茎を切断する第1刃3と、茎保持チャック2の下部に配置された第2刃であり、重力の作用により茎に沿って果実の近くまで下降した後、茎を切断する第2刃とを有する。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://agri.mynavi.jp/2022_02_28_185180/
https://news.yahoo.co.jp/articles/988ca1b286a39fee504f3d2e3d5a2eb89bad78ef
https://www.inaksystem.co.jp/company


Latest Posts 新着記事

10月に出願公開されたAppleの新技術〜Vision Proの「ペルソナ」を支える虹彩検出技術〜

はじめに 今回は、Apple Inc.によって出願され、2025年10月2日に公開された特許公開公報 US 2025/0308145 A1に記載されている、「リアルタイム虹彩検出と拡張」(REAL TIME IRIS DETECTION AND AUGMENTATION)の技術内容、そしてこの技術が搭載されている「Apple Vision Pro」のペルソナ(Persona)機能について詳説してい...

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る