商標法改正の施行—海賊版の海外からの持ち込みさらなる規制強化へ、税関で没収も


昨年5月14日に可決・成立した「特許法等の一部を改正する法律案」により改正された商標法が、10月1日から施行された。これによって、海外から国内へ持ち込まれる海賊版に対する規制が、さらに強化されることとなったとYAHOOニュースが22年9月29日、日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表でライターの鴫原盛之氏のコメントを伝えている。

本改正法の概要には3つの項目があり、そのうちの1つは「デジタル化等の進展に伴う企業行動の変化に対応した権利保護の見直し」と題し、「海外からの模倣品流入への規制強化」のため「増大する個人使用目的の模倣品輸入に対応し、海外事業者が模倣品を郵送等により国内に持ち込む行為を商標権等の侵害として位置付ける」と明記されている。

今後は模倣品の個人輸入も規制の対象になる(※出典:特許庁「特許法等の一部を改正する法律の概要」)

本改正法の資料や条文を筆者が読んだ限りでは、海外製の海賊版ゲームソフト、あるいはゲーム機も該当すると解釈するのが自然なように思える。では、実際のところはどうなのだろうか?ACCS(一般社団法人 コンピュータソフトウェア著作権協会)の広報に取材したところ、以下のような回答をいただいた。

「海賊版商品の個人輸入(正確には個人使用目的の模倣品輸入)に関しましては、現状では違法でなくできてしまいますが、今回の改正商標法の施行によって、個人輸入は違法となってできなくなります。ゲームでいいますと、商標登録されているゲームソフトのパッケージ商品やハードがこれに当たりそうです。

現行法では、個人輸入した人の行為が『輸入』に当たらないと解釈されますが、改正法では、海外の事業者が『輸入』をした当事者となるようになりました。そのため、輸入した人が個人であっても、輸入させた海外の人が事業者であれば無断で『輸入』させたとして、当該物品は商法権侵害、意匠権侵害の物品となり、改正関税法で『輸入してはならない貨物』となります」

ここで注意したいのは、ビジネスや転売目的に限らず、個人での私的利用が目的であっても、新たに規制の対象になることだ。「海外で海賊版ゲームを購入したり、持ち込んだりする行為は違法ではありませんが、海外の業者の行為は違法となりますので、海賊版ゲームは税関で没収されます」(ACCS広報)


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://news.yahoo.co.jp/byline/shigiharamorihiro/20220929-00299040
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/hokaisei/tokkyo/document/tokkyohoutou_kaiei_r030521/02.pdf


Latest Posts 新着記事

知財の主戦場は「充電」から「交換」へ——CATLが先回りする日本市場の布石

世界最大級の車載電池メーカーCATLは、セルやパックの“モノづくり”を超えて、交換式バッテリーによる「BaaS(Battery as a Service)」へと事業射程を拡張している。交換ステーション、共通モジュール、運用ソフト、資産管理—この新モデルが成立するとき、勝負を決めるのは工場規模だけではない。規格化を押さえる特許と、サプライチェーン横断で効くサービス設計の知財である。中国本土では、Si...

環境×技術×知財 BlueArchがつくる“持続可能な海洋モニタリング”の新モデル

海岸林、マングローブ、塩沼、藻場などの ブルーカーボン生態系 は、地球温暖化対応の大きな鍵となる。これらの環境は、陸上森林よりも濃密に炭素を隔離する能力を持つという報告もある。Nature+2USGS+2 だが、こうした海・沿岸域の調査・保全には「アクセス困難」「高コスト」「リアルタイム性の欠如」といった課題が横たわる。ここに、ドローン技術、GPS(あるいは水中位置推定技術)、そして特許設計による...

ファーウェイ、特許で動く EV×5G基地局に見る中国知財の拡張戦略

■ 序章:静かに増える“赤い知財網” 特許庁の公開データを丹念に追うと、近年ひとつの変化が浮かび上がる。日本国内での中国企業による特許出願が、2015年以降、年率二桁で増加しているのだ。 とりわけ通信・電池・モビリティといった「脱炭素×デジタル」分野に集中しており、日本企業が得意とする領域を正面から狙っている。こうした動きの中心にいるのが、通信大手・華為技術(ファーウェイ)である。 米中摩擦のさな...

終わりなき創造の旅 厚木の発明家が挑む“次の技術革命”」

特許数でギネス更新 21世紀のエジソン、厚木に―発明の街が問いかける、日本の未来図 神奈川県厚木市―東京からわずか1時間足らずの距離にあるこの街が、世界の技術史に名を刻んだ。特許数の世界記録を更新した発明家、山﨑舜平(やまざき・しゅんぺい)氏が拠点を構えるのが、まさにこの地である。彼の名がギネス世界記録に再び載ったというニュースは、科学技術の世界だけでなく、日本人のものづくり精神を象徴する話題とし...

知財は企業の良心を映す鏡――4億ドル評決が語るイノベーションの倫理

2025年10月、米テキサス州東部地区連邦地裁で、韓国の大手電子機器メーカー・サムスン電子に対し、無線通信技術の特許侵害を理由に4億4,550万ドル(約690億円)の賠償を命じる陪審評決が下された。この判決は、単なる企業間の紛争を超え、ハイテク産業における知的財産権(IP)の重みを再認識させる事件として、世界中の知財関係者の注目を集めている。 ■ 「技術を使いたいが、支払いたくない」——内部文書が...

知財が揺るがす電機業界――TMEIC×富士電機、UPS特許訴訟の裏側

2025年夏、産業用電源装置分野を揺るがすニュースが伝わった。東芝三菱電機産業システム(TMEIC)が、富士電機の無停電電源装置(UPS)製品が自社の特許を侵害しているとして、韓国において訴訟および輸入禁止の措置を求めた件である。韓国貿易委員会(KTC)は8月下旬、TMEICの主張を一部認め、富士電機製の特定UPSモデルについて韓国への輸入を禁止する決定を下した。日本企業同士の知財紛争が、国外で具...

「JIG-SAW、AI画像技術で米国特許を獲得へ 知財を武器にグローバル競争へ挑む」

はじめに:発表概要と意義 JIG-SAW(日本発の IoT / ソフトウェア/AI ベンチャーと理解される企業)は、米国特許商標庁から「コンピュータビジョン技術」に関する Notice of Allowance(特許査定通知) を取得した旨を、自社ウェブサイトおよびニュースリリースで公表しています。 具体的には、JIG-SAW は「コンピュータビジョン技術、画像処理・画像生成支援技術」分野において...

「特許で世界を包囲する中国 イノベーション強国への加速」

はじめに:なぜ国際特許出願数が注目されるか イノベーション(技術革新)の国際競争力を測る指標として、研究開発投資、論文発表数、特許出願数などが長らく注目されてきました。特に国際特許(例えば、特許協力条約 PCT 出願、あるいは各国出願による外国での保護を意図した出願)は、一国の発明・技術が国際市場を見据えて保護を志向していることを示すため、技術力だけでなく国際志向性の強さも反映します。 近年、中国...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る