日本初の特許は漆を主成分とする錆(サビ)止めをする技術、特許取得者は、彫刻家だった!


先の8月14日は、日本の特許第1号が付与された日でした。それは137年前の1885年、専売特許条例が公布された年で、Forbesがそのことを22年8月14日伝えている。

江戸時代には八代将軍徳川吉宗によって「新規御法度」というおふれが出され、新しい発明や工夫が禁じられた時期があった。明治維新後、日本でも多くの優れた発明がなされるようになったが、同時にアイデアの盗用問題も顕在化した。近代化を急ピッチで進めるなかで、特許制度の整備は必要不可欠だった。

そのため、1885年に専売特許条例が公布され、1905年に特許制度を補完するために実用新案法が制定された。初めての特許付与がなされた8月14日には、「生茶葉蒸器械」「稲麦扱機械」など7つの特許が認められた。

そのうち栄誉ある日本の特許第1号に輝いたのが、堀田瑞松が出願した「堀田式錆止塗料とその塗法」。鉄製の船底や機械などに塗布して錆(サビ)止めをする塗料に関する特許で、堀田はもともと美術工芸家で漆工芸を通じて漆の防錆効果を認識していたため、漆を主成分とする錆止塗料を着想することができた。

特許第1号から100年以上が過ぎ、現在は日本国特許庁への特許出願件数は減少傾向が続いている。徐々に減少をしつつも2019年までは30万件を超えていたが、2020年は28万8472件で、2021年は微増したものの29万件に届いていない。

とはいえ、世界全体でいえば日本の特許出願数はかなり多いほうだといえ、2019年における世界での特許出願件数は322.4万件、日本国特許庁は中国国家知識産権局、米国特許商標庁に続いて世界3位の出願数だった。

ちなみに、堀田瑞松は豊岡市城南町の刀の鞘(さや)の塗師(ぬりし)の家に生まれ、22歳で京都に出て、鉄筆一刀彫(てっぴついっとうぼり)の名手となり、紫檀(したん)の置物台を孝明天皇に彫刻献上し、名前に「瑞」の一字を賜った。やがて、東京に移りさび止め塗料を発明し、明治18年(1885)「堀田錆止(さびどめ)塗料及び其塗法(そのとほう)」で我が国の専売特許第1号を獲得した。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://forbesjapan.com/articles/detail/49470#:~:text=%E3%81%9D%E3%81%AE%E3%81%86%E3%81%A1%E6%A0%84%E8%AA%89%E3%81%82%E3%82%8B%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE,%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
https://tanshin-kikin.jp/tajima/31


Latest Posts 新着記事

アップルはなぜ負けた? 医療特許の壁に直面したApple Watch

米国の特許訴訟市場が久々に世界の注目を集めている。発端は、Apple Watchシリーズに搭載されてきた「血中酸素濃度測定(SpO₂)機能」をめぐる特許訴訟で、米国ITC(International Trade Commission)がアップルに対し“侵害あり”の判断を下したことだ。米国では特許侵害が認められると、対象製品の輸入禁止措置という強力な制裁が発動される可能性がある。今回の判断は、App...

デフリンピック開催に寄せて:「聞こえ」を支えるテクノロジー、人工内耳の「中核特許」

2025年11月、日本では初めてのデフリンピックが開催されています。これは、手話をはじめとする、ろう者の文化(デフ・カルチャー)が持つ独自の力強さに光が当たる、歴史的なイベントです。 https://deaflympics2025-games.jp/   デフリンピックの開催は、スポーツイベントであると同時に「聞こえ」の多様性について考える絶好の機会でもあります。聴覚障害を持つ人々にとっ...

10月に出願公開されたAppleの新技術〜Vision Proの「ペルソナ」を支える虹彩検出技術〜

はじめに 今回は、Apple Inc.によって出願され、2025年10月2日に公開された特許公開公報 US 2025/0308145 A1に記載されている、「リアルタイム虹彩検出と拡張」(REAL TIME IRIS DETECTION AND AUGMENTATION)の技術内容、そしてこの技術が搭載されている「Apple Vision Pro」のペルソナ(Persona)機能について詳説してい...

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る