まるでレースゲームのようなトヨタの新しい運転支援機能 —ディスプレイの特許を出願

2022年8月30日、トヨタが出願していた新しい運転支援装備に関する発明の特許が公開され、その内容を自動車メディアのMOBYは22年9月2日伝えている。

その特許技術とは、フロントウィンドウもしくはヘッドアップディスプレイに風景と重ねて理想の走行ラインを描写し、スムーズな操舵を促すというもの。これはレースゲームを遊んだことがある人なら馴染み深い、いわばコースのナビゲーションシステムと似た機能だ。

レースゲームではコースのレコードラインのみを示すのが一般的だが、トヨタが考案した運転支援機能は乗っている車の速度やハンドル舵角などの情報をもとに車の進路を予測し、理想とする走行ラインと重ねて描写することで、より精度の高い誘導・運転支援を行うことを目的としている。

カメラやレーダー、もしくはナビゲーションの地図情報から得られたカーブ情報などをもとに算出した理想の走行ラインに、車両センサーから算出した車の進行ベクトルを重ね合わせて表示し、より理想の走行ラインに誘導するのがトヨタの考案した運転支援機能のポイントだ。

自車走行ライン及び理想走行ラインは、手前から奥へ向かうにつれて濃くなるように表示され、さらに時間の経過と共に車両前方へ延びて、繰り返し表示される。人の視線は、徐々に細くなる方向と徐々に濃くなる方向へ自然と誘導される特性があり、この作用を利用して、トヨタは運転者の視線を自然なかたちでより遠方へ誘導し、遠方の情報を意識した先読み運転を促すことができるとしている。

誘導ラインは、一対の表示とすることで車幅を表すことが可能。そのためタイヤの位置把握がしやすくなり、乗り慣れていない車でも容易に運転できるようになるそうだ。カメラやレーダーが前走車や障害物を検知すれば、赤色などの減速を促す色に変化させてブレーキを促し、前走車との速度が違い過ぎる場合にも追突を防止するために色彩や音によって注意を促す。

また、システムが車両や歩行者、障害物などを検知したらマーカーで囲んで表示することでも運転者に注意を促す。これは衝突被害軽減ブレーキの内部処理を画面に投影するかたちとなるため実現は容易だと言えそうだ。カーブミラーなどの存在もマーカーによって運転者の視線を誘導し、より安全な運転を促すこともできるとしている。

障害物が多い場所では機能が自動停止し、表示された走行ラインに目が向いてしまのを抑制。また、視覚だけでなく音声も効果的に利用してナビゲートする方法にも言及されている。

理想の走行ラインを通過した際は運転者に通知し、適正な運転を行ったことが分かるようにすることも大切だと述べられ、特許資料では適切な運転ができているときにだけ「Good!」などと視界に表示させることや、心地よい音楽を流すことなども検討されている。

レースゲームなら、理想のラインをキープすると効果音が鳴り、得点が加算されるものがあり、また音でも知らせるとなると、いわゆる「音ゲー」のような感覚になる。また通常モードやエキスパートモードなど、走行パターンの切り替えにもついて言及されており、エキスパートモードはカーブ外側から内側に切り込むように走り、再び外側へはらむアウトインアウト走行を促すことでより少ない操舵角の走行を促せるものとしている。

この視覚的な運転ナビゲーションシステムに情報を追加すれば、逆走防止や速度超過防止、狭い路地のすり抜け支援などさまざまな活用方法が見いだせる。ただし最大の課題は視覚描写。このドライビングナビゲーションには運転視界を妨げず、かつ見やすい表示方法が求められる。

現段階ではより大型のヘッドアップディスプレイの搭載がもっとも現実的ではあるものの、近年はフロントガラスに直接レーザー投影する拡張現実技術も登場している。さまざまな新技術により、あらゆる情報がフロントガラスに表示されるAR(Augmeted Reality)インターフェースの運転支援機能を搭載した、SFに出てくるような車が登場する日もそう遠くはなさそうだ。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://car-moby.jp/article/automobile/toyota/toyota-headup-display-pattent-sep2022/

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。

コメントを残す