サウジアラビア、知識を基盤とした経済活動促進—知的財産保護の初の国家戦略開始へ


サウジアラビア知的財産総局(Saudi Authority for Intellectual Property:以下SAIP)のIP政策・協力担当副最高責任者のサミ・アル・スダイス氏はアラブニュースの独占インタビューに応じ、「この取り組みは、『ビジョン2030』の壮大な基本構想のもと、石油以外の分野に収入源を多様化させ、知識を基盤とした経済活動を促進するという王国の計画の一環です」と説明していることARAB NEWS Japanは22年4月27日伝えている。。

さらに、サウジアラビアでは商標や特許の出願が急増しており、これは主に若い起業家が自分の事業を立ち上げようとしているためであると付け加えた。

SAIPによると、2021年の特許出願の提出件数は前年比で11%増、商標登録は前年比で26%増となった。さらに、2020年~2021年にかけて工業的ひながたの登録申請は48%、著作物の任意登録は57%急増している。実際、SAIPは特許出願ランキングの順位を上げる改革を導入することでIPランドスケープを活発化させており、現在同国はG20諸国の中で7位にランクされている。

「特許登録にかかる時間を平均して24~36カ月から1年に短縮する予定です。この取り組みは現在の知的財産制度を強化し、若いイノベーターが国内でアイデアを実現することを後押しするでしょう」また、SAIPは改革の一環として、特許プロセス全体を理解し地域の知的財産保護の促進を専門とするプログラムに47名の審査員を採用した。

「知的財産保護の尊重はSAIPの戦略的柱の1つです。知的財産の権利執行のエコシステムを強化し、知的財産の尊重に関する意識を高め、コンプライアンスを推進することで、その実現を目指しています」とSAIPのアル・スダイス氏は語った。

知的財産総局はまた、あらゆるビジネス分野における違法行為の可能性のあるエリアを収集するための確実な手法を確立しつつある。これにより、特許侵害が最も多く定期的な調査が必要とされる分野を特定できる。

「SAIPは定期的な現地調査を実施し、国内各地を訪れて違反行為を調査しています。また、オンライン調査も行い、オリジナルコンテンツを侵害するウェブサイトを一時的にブロックしています」とアル・スダイス氏は付け加えた。

知的財産総局はコンプライアンス・プログラムの一環として、知的財産の権利執行のエコシステムを改善し、政府機関と民間セクター間の調整手続き構築の取り組みを強化するための管理機関である知的財産執行常設委員会(Permanent IP Enforcement Committee)を設置した。

「この委員会は、SAIPの理事会と、知的財産の権利執行に関連する他の政府機関からの12名以上の代表者によって統括・監督されています」

知的財産総局は月曜日、「世界知的財産の日」を記念して同地域における知的財産創出の成果と刺激的なエピソードを披露した。

当局は、「Your Ideas Our Future(あなたのアイデアが私たちの未来に)」 プログラムの一環として、イノベーションを称え、幅広い分野の新進イノベーターに対して政府のイニシアチブの影響力を最大限に高めるための啓発キャンペーンを開催。

SAIPのアブドルアジーズ・アル・スワイレムCEOは、「当局は知的財産コンサルティングクリニックを通じてイノベーターを支援するサービスを提供し、イノベーターと継続的なコミュニケーション・チャネルを構築することを目指しています」と声明で述べた。

これまでにこれらのクリニックの支援を受けてきたのは1200人以上。さらに、知的財産ビジネスの関係者に専門家認定プログラムを提供する知的財産アカデミーでは、8500人以上が恩恵を受けている。

また、知的財産総局は世界知的所有権機関(WIPO)と協力して「知的財産サポートセンター全国ネットワーク」を設立し、知的財産アセットに関する技術情報やノウハウを持つイノベーターを育成している。同ネットワークには現在、各種分野から43人が参加している。


【オリジナル記事・引用元・参照】
ttps://www.arabnews.jp/article/business/article_66176/


Latest Posts 新着記事

AI×半導体の知財戦略を加速 アリババが築く世界規模の特許ポートフォリオ

かつてアリババといえば、EC・物流・決済システムを中心とした巨大インターネット企業というイメージが強かった。しかし近年のアリババは、AI・クラウド・半導体・ロボティクスまで領域を拡大し、技術企業としての輪郭を大きく変えつつある。その象徴が、世界最高峰AI学会での論文数と、半導体を含むハードウェア領域の特許出願である。アリババ・ダモアカデミー(Alibaba DAMO Academy)が毎年100本...

翻訳プロセス自体を発明に──Play「XMAT®」の特許が意味する産業インパクト

近年、生成AIの普及によって翻訳の世界は劇的な変化を迎えている。とりわけ、専門文書や産業領域では、単なる機械翻訳ではなく「人間の判断」と「AIの高速処理」を組み合わせた“ハイブリッド翻訳”が注目を集めている。そうした潮流の中で、Play株式会社が開発したAI翻訳ソリューション 「XMAT®(トランスマット)」 が、日本国内で翻訳支援技術として特許を取得した。この特許は、AIを活用して翻訳作業を効率...

特許技術が支える次世代EdTech──未来教育が開発した「AIVICE」の真価

学習の個別最適化は、教育界で長年議論され続けてきたテーマである。生徒一人ひとりに違う教材を提示し、理解度に合わせて学習ルートを変化させ、弱点に寄り添いながら伸ばしていく理想の学習プロセス。しかし、従来の教育現場では、教師の業務負担や教材制作の限界から、それを十分に実現することは難しかった。 この課題に真正面から挑んだのが 未来教育株式会社 だ。同社は独自の AI学習最適化技術 で特許を取得し、その...

抗体医薬×特許の価値を示した免疫生物研究所の株価急伸

東京証券取引所グロース市場に上場する 免疫生物研究所(Immuno-Biological Laboratories:IBL) の株価が連日でストップ高となり、市場の大きな注目を集めている。背景にあるのは、同社が保有する 抗HIV抗体に関する特許 をはじめとしたバイオ医薬分野の独自技術が、国内外で新たな価値を持ち始めているためだ。 バイオ・創薬企業にとって、研究成果そのものだけでなく 知財ポートフォ...

農業自動化のラストピース──トクイテンの青果物収穫技術が特許認定

農業分野では近年、深刻な人手不足と高齢化により「収穫作業の自動化」が急務となっている。特に、いちご・トマト・ブルーベリー・柑橘など、表皮が繊細な青果物は人の手で丁寧に扱う必要があり、ロボットによる自動収穫は難易度が極めて高かった。そうした課題に挑む中で、株式会社トクイテンが開発した “青果物を傷付けにくい収穫装置” が特許を取得し、農業DX領域で大きな注目を集めている。 今回の特許は単なる「収穫機...

<社説>地域ブランドの危機と希望――GI制度を攻めの武器に

国が地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度をスタートしてから10年が経つ。ワインやチーズなど農産物を地域の名前とともに保護する仕組みは、欧米では産地価値を国境を越えて守る知財戦略としてすでに大きな成果を上げてきた。一方、日本でのGI制度は、導入から10年が経った今ようやくその重要性が幅広く認識される段階に差し掛かったと言える。 農林水産省によれば、2024年時点...

保育データの構造化とAI分析を特許化 ルクミー「すくすくレポート」技術の本質

保育業界におけるDXが本格的に進む中、ユニファ株式会社が展開する「ルクミー」は、写真・動画販売や登降園管理、午睡チェックシステムなどを通じて保育の可視化と効率化を支えてきた。その同社が開発した 保育AI™「すくすくレポート」 が特許を取得したことは、保育現場のデジタル化における大きな節目となった。 「すくすくレポート」は、子どもの日々の成長・発達をAIが分析し、保育士の観察記録を補助...

JIG-SAW、動物行動AIの“核技術”を米国で特許化 世界標準を狙う布石に

IoTプラットフォーム事業を展開する JIG-SAW株式会社 が、米国特許商標庁(USPTO)より「AI算出によるベクトルデータをベースとしたアルゴリズム・システム」に関する特許査定を受領した。対象となるのは 動物行動解析分野—つまり動物の動き・姿勢・行動をAIで読み取り、ベクトルデータとして構造化し、行動傾向や異常を自動判定するための技術だ。 近年、ペットヘルスケア、畜産、動物実験、野生動物の行...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る