アップルの防水関連特許が明らかに―エクストリーム・スポーツ向けApple Watchも発売間近か


今年(2022年)秋にはApple Watchの新型モデルが3つ出るとの噂を、米Bloombergが何度か報じてきた。

その1つである「過酷な環境でのエクストリーム・スポーツ向け頑丈バージョン」(アップル版G-Shockという説もある)を裏付ける特許を、アップルが出願していることが明らかになったと、オーディオビジュアルのポータルサイトPHILE WEBが22年4月5日伝えている。

アップル社内では「Explorer」とも「Adventure」(ともに「冒険者」という意味)エディションとも呼ばれるという頑丈モデルが、スポーツにも耐えうる防水性を備えていることは理に叶っている。米特許商標庁(USPTO)が3月末に公開したアップルの特許出願は、そこに焦点を当てたものだ。

このスマートスタンドアローン型水センサーと題された特許の趣旨をざっくり要約すると「水の浸入を検知し、Apple Watchの内部を保護するため」の新型センサーに重きが置かれている。これについて米Patently Appleは「アップルが大気圧で測定される(水深に関係ある)スポーツに特化した防水性(ATM/気圧防水)を狙っているかもしれない」と指摘している。

ちなみに各スポーツとATMとの目安は次の通り。一見するとスポーツ用としても極端に思えるが、実際には急激な動き(かなりの高さからの飛び込みなど)をすると、比較的浅い水深でも高い圧力がかかることがあるため、こうした数値になる。

5気圧:プールでの飛び込み
10気圧:サーフィン、シュノーケリング、ラフティングなど水辺でのアクティビティ
20気圧:スキューバダイビング

また現在のApple Watch(Series 2以降)には水深 50 m の耐水性能、Apple Watch Series 7にはIP6X等級の防塵性能があると謳われているが、「気圧」については言及がない。もしもApple Watch頑丈バージョンがATMを視野に入れていたなら、急激な水圧の変化を伴う「飛び込み」も保証の範囲内に収まるのかもしれない。

もちろんアップルのようなハイテク大手は数多くの特許を出願しており、そのうち製品化にこぎ着けるものはごく一部にすぎない。

この特許も実用化されるとは限らないが、Apple Watchユーザーにはスポーツ愛好者が多いこともあり、アップルが市場の開拓に(またGarmin製品が強いマリンスポーツ市場に食い込むためにも)乗り出す可能性は高いと思われる。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.phileweb.com/news/mobile_pc/202204/05/2700.html


Latest Posts 新着記事

アレルギー治療の未来を変える一歩:物質特許が日本で成立

2025年、日本の特許庁がついに、ある画期的なアレルギーワクチンに対する「物質特許」を正式に認めた。このニュースは、製薬業界だけでなく、慢性的なアレルギーに悩まされている多くの患者たちにも希望の光となった。これまで「対症療法」に留まってきたアレルギー治療の歴史において、根本治療への転換点となり得る出来事である。 ■ 特許の意義:なぜ「物質特許」が重要なのか 医薬品における特許にはいくつかの種類が存...

特許分析×データサイエンス:次世代知財戦略の幕開け

世界の特許分析市場は、2031年までに2715.9百万米ドル(約4100億円)に達し、年平均成長率(CAGR)は13%にのぼると予測されている。この成長率は、単なる知財部門の拡大ではなく、特許情報が企業経営全体に戦略的に活用され始めていることを如実に物語っている。 ■ 特許分析とは:知財の“使い方”が問われる時代 「特許分析」とは、国内外の特許文献に記載された情報を体系的に収集・可視化し、企業の意...

オープンイノベーションの旗手に——三菱電機、「知財功労賞」で国家からの高評価

2025年春、三菱電機株式会社が特許庁より「知財功労賞」の特許庁長官表彰を受賞した。この表彰は、知的財産の創造・保護・活用において模範となる企業や個人を称えるものであり、日本における知財戦略の高度化に貢献する重要な制度だ。三菱電機の今回の受賞は、同社が推進するオープンイノベーションを中心とした知財活動の成果が高く評価された結果であり、製造業が直面する激動の環境において、一つの指標を示したとも言える...

福島市×富士フイルム、罹災証明簡素化システムを特許出願──災害対応DXの新モデル

地震、台風、水害、火山噴火──自然災害が頻発する日本において、行政が担う災害対応業務の中でも、被災者の生活再建に直結するものが「罹災証明書」の発行である。罹災証明書は、住宅などの被害状況を確認し、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などの判定を行政が下し、それを被災者に文書で交付するものである。これにより被災者は、公的支援や保険金の請求などが可能になる。しかし、その発行には時間と人的コストが...

ペロブスカイト特許競争が激化 日本の技術立国に試練

近年、次世代の太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」。軽量・柔軟・低コスト・高効率という四拍子揃ったこの技術は、従来のシリコン型太陽電池を補完あるいは置き換える存在として、世界中の研究機関・企業から熱い視線を浴びている。その中でも、中国勢の特許出願ラッシュが著しく、知財戦略の面でも日本は岐路に立たされている。 ペロブスカイト太陽電池とは何か ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト...

IBMの特許王国を支える“ミドルの力”——革新を続ける管理職育成の真髄

2020年、IBM(International Business Machines Corporation)は米国特許商標庁(USPTO)から9,130件の特許を取得し、28年連続で特許取得件数世界一の座を守った。これはApple(2,792件)、Microsoft(2,905件)、Google(1,817件)などの名だたるテックジャイアントを大きく引き離す数字であり、IBMがいかに継続的にイノベ...

メガネの新常識、「Zoff SNAP GRIP」登場──全国発売開始、究極のフィット感を実現

2025年5月16日、国内大手アイウェアブランド「Zoff(ゾフ)」は、新製品「Zoff SNAP GRIP(ゾフ・スナップグリップ)」を全国のZoff店舗およびオンラインストアにて発売した。この新商品は、Zoffが“究極の快適性”を追求した末に生み出した革新的なメガネフレームであり、現在特許出願中の新構造「スナップグリップ機構」を搭載している点が最大の特徴だ。 Zoffは、これまでにもリーズナブ...

三菱ケミカルG、CATLと特許契約締結 電解液技術をグローバル展開へ

2025年5月、三菱ケミカルグループ(以下、三菱ケミカルG)は、世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーである中国・寧徳時代新能源科技(CATL)に対し、リチウムイオン電池に使用される電解液の特許技術をライセンス供与する契約を締結したと発表した。電池材料業界における知財戦略の新たな局面を象徴するこの一件は、単なるライセンス供与という枠にとどまらず、日中間のEV産業連携、そして将来のバッテリ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る