Facebook時代に企画された仮想通貨 Metaの「Diem」(ディエム)が計画頓挫で買い手求める


米メタ・プラットフォームズ主導のディエム協会が協会会員に資本を返還するため、資産の売却を検討していると事情に詳しい複数の関係者が明らかにしたことを。世界の最新ニュースサイトのBloombergが22年1月26日伝えている。

同協会はメタが構想していた仮想通貨リブラの運営団体だったが、名称を「ディエム」に変更していた。ディエム協会は知的財産を売却する最善の方法について投資銀行と協議しているほか、こうしたテクノロジーを開発したエンジニアの移籍先を探している。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。メタが打ち出した野心的な構想だったディエムに関係する資産の現金化を図る。

メタのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は2019年、独自のデジタル通貨を発行する計画を表明。金融サービスの抜本改革を狙った「ステーブルコイン」に多くの協力企業と共に取り組むプロジェクトだったが、当時「リブラ」はフェイスブックが展開する暗号資産として2019年6月の発表直後から注目を集める一方、規制当局は反発。

米国のFRB(連邦準備制度理事会)は「深刻な懸念」を表明していた。他方で、FRBは直近で行なっているCDBC(中央銀行のデジタル通貨)の可能性の検討にあたってリブラが契機になったことを認めており、少なくないインパクトをもたらした。リブラはサービス名称の変更や運営体制を変えるなどしてきたが、2年半を経て提供を断念する形になった。

米議会で証言を求められた同CEOは計画を擁護したが、その後、幾つかのパートナーがプロジェクトから離れ、協会名も変更。構想そのものが縮小され、ディエムを担当していたデービッド・マーカス氏は昨年、メタを退社した。

2019年6月にLibraを発表した際のパートナー

シルバーゲート・キャピタルとディエム発行の取り決めで合意したディエム協会は昨年5月、シルバーゲート銀行がディエムのドル連動ステーブルコインの発行体となると発表。だが関係者によれば、昨年夏には米連邦準備制度がシルバーゲートに対しそうした通貨の発行を認めると約束することはできないと伝えてきたという。シルバーゲートが米当局からのお墨付きを得られなかったことで、ディエムを巡る計画は頓挫した。

連邦準備制度の報道担当はディエム提唱者側との協議についてコメントを控えた。ディエム協会もコメントせず、メタはコメント要請に応じていない。協会資産の買い手候補がディエムの知財と開発を担ったエンジニアについて、どのような価値判断を示すかは不明。関係者は資産売却交渉はまだ初期段階で、ディエム協会が買い手を見つけることができる保証はないとも指摘した。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-01-26/R6AIF8T0G1L001
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1384989.html


Latest Posts 新着記事

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

“特許力”が食を変える――味の素が首位に輝く、2025年 食品業界特許資産ランキングが示す未来戦略

2025年版の「食品業界 特許資産規模ランキング」で味の素が第1位となった。評価は、個々の特許の“注目度”をスコア化して企業ごとに合算する方式(パテントスコア)で、2024年度(2023年4月1日〜2025年3月末登録分)を対象としている。トップ10は、1位 味の素、2位 日本たばこ産業(JT)、3位 Philip Morris Products、4位 サントリーHD、5位 キリンHD、6位 CJ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る