Apple 7月に公開された技術~通気孔にアンテナ配置


Macbookなどのノート型PCに応用可能な、アンテナの設置位置に関する技術を公開しました。

アンテナの設置位置によって、通信効率はかなり変化する

無線LANのアンテナを、自宅のどこに設置するかで通信速度がかなり変動するという経験をした方は少なくないでしょう。同様に、PCやスマートフォン等に内蔵されているアンテナは、筐体のどの部分にアンテナを設置し、その周囲にどのような機器が配置されるかによって、その通信効率が大きく変化します。電波状況を適切にするためのアンテナ構造を実現するために、機器のサイズについて制限がかかることもしばしばあり、特に小型機器で十分な電波効率を持つアンテナを用意するのは困難だといいます。

このような背景から、Appleは、機器の通気孔にアンテナを配置することとしました。具体的には、ノートPCを例にとれば、上部筐体と下部筐体をつなぐヒンジ部分の通気孔にアンテナを配置することを提案しています。

アンテナはあらゆる無線帯域を想定してよく、例えば、携帯電話の帯域や2.4GHzのBluetoothやその他のワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(WPAN)の帯域、または2.4GHzや5GHzのWi-Fiやその他のワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の帯域(IEEE 802.11帯域またはワイヤレスローカルエリアネットワーク通信帯域としても知られる)で動作するワイヤレス通信回路、近接通信、ミリ波/センチ波周波数での通信、光ベースのワイヤレス通信、衛星測位システムとの通信、その他のワイヤレス通信を行うための無線通信回路も含まれ得ます。

通信効率を最適化するために通気孔開口部にアンテナを配置した

筐体を横から見た断面図であらわしたものが上図ですが、ヒンジ部分130と、給排気のためのクリアランス132を電波の通り道として、通気孔となる開口部76-1にアンテナ40を配置することが示されています。この位置にアンテナを配置することで、アンテナをユーザーの視点から隠しつつ、外部汚染や損傷も防ぐことができるとのことです。

なお、PCの上部筐体を開けた使用時の断面図が次の図となりますが、ここにおいても、ヒンジ部分に通信のためのクリアランスは維持したままの設計となっています。このような設計とすることで、通信環境の最適化が図られるというわけです。

このような部品配置の発明は、ちょっとしたことかもしれませんが、高度化した機器においては少しの違いが大きなユーザーエクスペリエンスの違いとなって現れてくることは自明のことです。従来の機器設計にとらわれずに常に新しい設計を開拓する、アップルらしい技術ではないでしょうか。


ライター

+VISION編集部

普段からメディアを運営する上で、特許活用やマーケティング、商品開発に関する情報に触れる機会が多い編集スタッフが順に気になったテーマで執筆しています。

好きなテーマは、#特許 #IT #AIなど新しいもが多めです。




Latest Posts 新着記事

12月に出願公開されたAppleの新技術〜次世代スマートグラスの着脱式音響システム〜

はじめに あなたが毎日使っているスマートグラスが、周囲の騒音を気にせず、自分だけに鮮明な音を届けてくれる「魔法の導管」を備えていたとしたら、便利だと思いませんか?   これまで、スマートグラスのようなウェアラブルデバイスは、耳を塞がない「オープンイヤー型」のスピーカーが主流でした。しかし、この方式には、周囲に音が漏れてしまうプライバシーの問題や、低音の迫力が損なわれるといった物理的な限界...

11月に出願公開されたAppleの新技術〜PCに健康状態センサーをつけるとどうなるのか〜

はじめに もし、あなたが毎日使っているノートパソコンが、仕事や勉強をしながらそっとあなたの健康状態をチェックしてくれるとしたら、どう思いますか? これまで、私たちが使ってきたノートパソコンのような電子機器には、ユーザーの体調をモニターするような高度なセンサーはほとんど搭載されていませんでした。Appleから11月に出願公開された発明は、その常識を覆す画期的なアイデアです。キーボードの横にある、普段...

AI×半導体の知財戦略を加速 アリババが築く世界規模の特許ポートフォリオ

かつてアリババといえば、EC・物流・決済システムを中心とした巨大インターネット企業というイメージが強かった。しかし近年のアリババは、AI・クラウド・半導体・ロボティクスまで領域を拡大し、技術企業としての輪郭を大きく変えつつある。その象徴が、世界最高峰AI学会での論文数と、半導体を含むハードウェア領域の特許出願である。アリババ・ダモアカデミー(Alibaba DAMO Academy)が毎年100本...

翻訳プロセス自体を発明に──Play「XMAT®」の特許が意味する産業インパクト

近年、生成AIの普及によって翻訳の世界は劇的な変化を迎えている。とりわけ、専門文書や産業領域では、単なる機械翻訳ではなく「人間の判断」と「AIの高速処理」を組み合わせた“ハイブリッド翻訳”が注目を集めている。そうした潮流の中で、Play株式会社が開発したAI翻訳ソリューション 「XMAT®(トランスマット)」 が、日本国内で翻訳支援技術として特許を取得した。この特許は、AIを活用して翻訳作業を効率...

特許技術が支える次世代EdTech──未来教育が開発した「AIVICE」の真価

学習の個別最適化は、教育界で長年議論され続けてきたテーマである。生徒一人ひとりに違う教材を提示し、理解度に合わせて学習ルートを変化させ、弱点に寄り添いながら伸ばしていく理想の学習プロセス。しかし、従来の教育現場では、教師の業務負担や教材制作の限界から、それを十分に実現することは難しかった。 この課題に真正面から挑んだのが 未来教育株式会社 だ。同社は独自の AI学習最適化技術 で特許を取得し、その...

抗体医薬×特許の価値を示した免疫生物研究所の株価急伸

東京証券取引所グロース市場に上場する 免疫生物研究所(Immuno-Biological Laboratories:IBL) の株価が連日でストップ高となり、市場の大きな注目を集めている。背景にあるのは、同社が保有する 抗HIV抗体に関する特許 をはじめとしたバイオ医薬分野の独自技術が、国内外で新たな価値を持ち始めているためだ。 バイオ・創薬企業にとって、研究成果そのものだけでなく 知財ポートフォ...

農業自動化のラストピース──トクイテンの青果物収穫技術が特許認定

農業分野では近年、深刻な人手不足と高齢化により「収穫作業の自動化」が急務となっている。特に、いちご・トマト・ブルーベリー・柑橘など、表皮が繊細な青果物は人の手で丁寧に扱う必要があり、ロボットによる自動収穫は難易度が極めて高かった。そうした課題に挑む中で、株式会社トクイテンが開発した “青果物を傷付けにくい収穫装置” が特許を取得し、農業DX領域で大きな注目を集めている。 今回の特許は単なる「収穫機...

<社説>地域ブランドの危機と希望――GI制度を攻めの武器に

国が地理的表示(GI:Geographical Indication)保護制度をスタートしてから10年が経つ。ワインやチーズなど農産物を地域の名前とともに保護する仕組みは、欧米では産地価値を国境を越えて守る知財戦略としてすでに大きな成果を上げてきた。一方、日本でのGI制度は、導入から10年が経った今ようやくその重要性が幅広く認識される段階に差し掛かったと言える。 農林水産省によれば、2024年時点...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る