広がりのある風を作り出す扇風機

いわゆる「デザイン家電」と呼ばれるものは、いわゆる白物家電といわれる一般的な、言い換えれば万人受けするデザインとは異なる、奇抜なデザインなどで購買者の目を引くことを目的としていますが、その機能・性能についてはさほど特筆する点がないものがほとんどです。
一方、同じようにデザイン家電と分類されることもあるバルミューダの製品ですが、その機能的・技術的な面を見ると従来の常識を打ち破った製品が大半であることは、あまり知られていません(なかなか技術って目に見えませんからね)。
今回紹介する発明も、技術のすごさがなかなか見えにくい代表例です。扇風機の発明なのですが、送風される空気の流れが従来製品とは全然違う、というものです(特許第5916319号。優先日:2009年6月28日)。
我々が扇風機と言われて思い浮かぶものって、たぶん首振りタイプで、軸を中心として回転する羽根が5枚くらいあるやつじゃないでしょうか? 部屋に置くと、なんだか急に夏を感じる気がするあれです。昔からあの形って変わっていませんよね。あの5枚羽根のファンは、製造の容易さや、耐久性が優れていることから、ベストな形だとされていたものです。
ところが、あまり知られていないことですが、直径30cmの5枚羽根ファンを毎分800回転させて発生させた風を測定すると、ファン正面から3メートル離れても、風の面積はたったの直径50cmしかないのです。だから首振り機能をつけて風を広範囲に送らないといけなかったんですね。
そこでバルミューダでは、ファンを特殊な二重構造として、一つの軸回転で、異なる2つの風速の風を同時に発生させられるようにしました。このようにすることで発生した風が互いにぶつかりあって、従来では得られない風の広がりを発生させることができるようになったのです。
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