大阪・関西万博「ミャクミャク」のフォトスタンドと卓上時計登場 〜「大屋根リング」の端材を活用、工房のこだわりとは〜


2025年に開催される大阪・関西万博。その公式キャラクター「ミャクミャク」をモチーフにした新たなグッズとして、「フォトスタンド」と「卓上時計」が登場しました。これらのグッズは、万博会場のシンボルである「大屋根リング」の建設過程で生じた端材を活用して製作されています。本コラムでは、このグッズの誕生背景や製作に関わる工房のこだわり、そして製品に込められた思いについて詳しく紹介します。

大屋根リングの端材を活用したグッズの誕生

大阪・関西万博の会場には、シンボリックな建築物として「大屋根リング」が設置されます。この大屋根リングは、万博の会場をぐるりと囲む巨大な木造建築で、設計は建築家・藤本壮介氏が手掛けています。「多様でありながら、ひとつ」というコンセプトをもとに、国産木材をふんだんに使用したデザインが特徴です。

しかし、大規模な木造建築の建設には、どうしても端材が発生します。そこで、持続可能な社会の実現を掲げる万博の理念に基づき、この端材を再利用する取り組みが始まりました。その一環として生まれたのが、今回の「ミャクミャク」デザインのフォトスタンドと卓上時計です。

工房のこだわりと製作プロセス

これらのグッズを製作したのは、大阪府内に拠点を構える伝統工芸の工房です。この工房は、長年にわたり木工製品を手掛け、特に木目や素材の特性を活かした製品づくりに定評があります。

端材の個性を活かしたデザイン

万博の大屋根リングに使用された木材は、スギやヒノキなど国産の良質な素材です。しかし、端材はサイズや形状が一定でないため、単純に加工するだけでは製品としての魅力が半減してしまいます。工房の職人たちは、それぞれの端材の個性を見極め、木目の美しさを最大限に活かせるデザインを追求しました。そのため、一つひとつの製品が異なる表情を持ち、まさに「唯一無二」の仕上がりになっています。

環境負荷を考慮した製作

木材を加工する際に発生する木くずも最小限に抑え、端材を無駄なく活用する工夫がなされています。また、仕上げには天然オイルを使用し、化学物質を極力排除した安全な製品づくりを実現しています。これにより、子どもやペットのいる家庭でも安心して使用できるグッズとなっています。

製品に込められた思い

今回のフォトスタンドと卓上時計には、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に基づいた理念が込められています。

持続可能な社会への貢献

端材を再利用することで、廃棄物の削減につながり、資源を有効活用する持続可能な取り組みを具現化しています。これは、SDGs(持続可能な開発目標)の「12. つくる責任 つかう責任」にも合致しており、万博の理念とも深く結びついています。

伝統工芸の新たな可能性

大阪の伝統工芸技術を活かしながら、現代的なデザインと融合させることで、新しい価値を生み出す試みとなっています。これにより、地域の職人技が広く知られるきっかけにもなり、伝統産業の活性化にも寄与すると期待されています。

購入方法と今後の展開

ミャクミャクのフォトスタンドと卓上時計は、2025大阪・関西万博公式ライセンス商品として、以下の方法で購入できます。

  • 万博公式オンラインストア
  • 万博会場内の公式ショップ
  • 一部の百貨店や専門店

価格はフォトスタンドが9,900円(税込)、卓上時計も同様の価格帯となっています。

また、今後も大屋根リングの端材を活用した新たなグッズの展開が予定されており、例えば、ペン立てやスマホスタンドなどの日常的に使えるアイテムが開発されています。これにより、万博の思い出を形に残すだけでなく、環境意識を高めるきっかけとなることが期待されます。

まとめ

大阪・関西万博のシンボルである「大屋根リング」の端材を活用したミャクミャクのフォトスタンドと卓上時計は、環境への配慮と伝統工芸の技術が融合した特別なアイテムです。端材を再利用することで、持続可能な社会への貢献を果たすと同時に、職人の技を生かした唯一無二のデザインが魅力となっています。

これらのグッズは、万博の記念品としての価値を持つだけでなく、使用する人々に環境保護や持続可能な消費の大切さを伝える役割も担っています。今後もこうした取り組みが広がり、多くの人々に環境保護や伝統技術の魅力が伝わることを期待します。


Latest Posts 新着記事

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

SoC時代の知財戦争──ホンダと吉利が仕掛ける“車載半導体覇権競争”

自動車産業が「電動化」「自動運転」「ソフトウェア定義車(SDV)」へと急速にシフトするなか、車載半導体・システム・チップ(SoC:System­on­Chip)を巡る知財・開発競争が激化している。特に、ホンダが「車載半導体関連特許を8割増加」させているとの情報が注目されており、同時に中国自動車メーカーが特許活動を爆発的に拡大しているとされる。なかでもジーリー(Geely)が“18倍”という成長率を...

試験から設計へ──鳥大が築くコンクリート凍害評価の新パラダイム

はじめに:なぜ“凍害”がコンクリート耐久性の大きな壁なのか コンクリート構造物が寒冷地・凍結融解環境(凍害)にさらされると、ひび割れ・剥離・かさ上がり・耐荷力低下といった劣化が進行しやすい。例えば水が凍って膨張し、内部ひびを広げる作用や、塩分や融雪剤の影響などが知られている。一方、これらの劣化挙動を実験室で迅速に・かつ実サービスに近づけて評価する試験方法の開発は、長寿命化・メンテナンス軽減の観点か...

Perplexityが切り拓く“発明の民主化”──AI駆動の特許検索ツールが変える知財リサーチの常識

2025年10月、AI検索エンジンの革新者として注目を集めるPerplexity(パープレキシティ)が、全ユーザー向けにAI駆動の特許検索ツールを正式リリースした。 「検索の民主化」を掲げて登場した同社が、ついに特許情報という高度専門領域へ本格参入したことになる。 ChatGPTやGoogleなどが自然言語検索を軸に知識アクセスを競う中で、Perplexityは“事実ベースの知識検索”を強みに急成...

特許が“耳”を動かす──『葬送のフリーレン リカちゃん』が切り開く知財とキャラクター融合の新時代

2025年秋、バンダイとタカラトミーの共同プロジェクトとして、「リカちゃん」シリーズに新たな歴史が刻まれた。 その名も『葬送のフリーレン リカちゃん』。アニメ『葬送のフリーレン』の主人公であるフリーレンの特徴を、ドールとして高精度に再現した特別モデルだ。特徴的な長い耳は、なんと特許出願中の専用パーツ構造によって実現されたという。 「かわいいだけの人形」から、「設計思想と知財の結晶」へ──。今回は、...

“低身長を演出する靴”という逆転発想──特許技術で実現した次世代『トリックシューズ』の衝撃

ファッションと遊び心を兼ね備えた新発想のシューズ「トリックシューズ」が市場に登場した。通常、多くの「シークレットシューズ」や「厚底スニーカー」は身長を高く見せるために設計されるが、本モデルは逆に身長を「低く見せる」ための構造を意図しており、そのためにいくつもの特許技術が組み込まれているという。今回は、このトリックシューズの設計思想・技術構成・使いどころ・注意点などを掘り下げてみたい。 ■ コンセプ...

“特許力”が食を変える――味の素が首位に輝く、2025年 食品業界特許資産ランキングが示す未来戦略

2025年版の「食品業界 特許資産規模ランキング」で味の素が第1位となった。評価は、個々の特許の“注目度”をスコア化して企業ごとに合算する方式(パテントスコア)で、2024年度(2023年4月1日〜2025年3月末登録分)を対象としている。トップ10は、1位 味の素、2位 日本たばこ産業(JT)、3位 Philip Morris Products、4位 サントリーHD、5位 キリンHD、6位 CJ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る