EU、中国の特許政策を問題視
欧州連合（EU）の執行機関である欧州委員会は2025年1月20日、中国が欧州のハイテク産業の特許使用料を不当に引き下げているとして、 世界貿易機関（WTO）に正式提訴したことを発表しました。この動きは、中国とEU間の特許使用料をめぐる紛争解決プロセスの一環です。
主張の詳細と影響
欧州委は、中国政府の政策により、中国メーカーが欧州企業の特許を適正な対価を支払わずに使用していると主張しました。 特に第5世代（5G）移動通信システムを含む通信技術に関する特許について、欧州企業の利益が損なわれていると警鐘を鳴らしています。
欧州にはフィンランドのノキアやスウェーデンのエリクソンといった、通信機器分野で世界的に有名な企業が存在します。 これら企業が抱える特許ポートフォリオは、通信技術の発展を支える重要な資産であり、不当な特許料の引き下げは研究開発の持続可能性に影響を及ぼします。
シェフチョビッチ欧州委員の声明
シェフチョビッチ欧州委員（通商担当）は声明の中で、以下のように述べました。
「研究開発はイノベーションの原動力であり、これに対する適切な報酬がなければ、持続的な成長は困難となる。 公平な条件の下で技術を共有することが、経済全体の利益に繋がる」
今後の展開
今回の提訴は、WTOの紛争解決手続きにおける協議フェーズの開始を意味します。もし協議で問題が解決しない場合、 EUはパネル設置を要求し、さらに法的手段を講じる可能性があります。
この件は、EUと中国間の貿易関係だけでなく、国際的な知的財産権保護の基準や技術革新の公平性を問う重要な事例として注目されています。
