ご当地ラーメン「富山ブラック」、国内外に発信~まずは地域団体商標をめざすとするもその道のりは—


ご当地ラーメン「富山ブラック」を国内外にPRしようと、富山県内のラーメン店経営者らでつくる「富山ブラック伝承会」は富山県民会館でワークショップを開きブランドを模倣品から保護する「地域団体商標」の取得や、活動を伝えるウェブサイトの開設に取り組むことを決めたと、23年5月23日北日本新聞社webunが伝えている。

伝承会のワークショップには10人が参加し活動計画を協議。当面は地域団体商標の取得条件となる一般社団法人化を目指す。また、ウェブサイトでは同会の概要や会員店を紹介する予定で、「富山ブラック」のロゴマーク作成にも取り組むとしている。

「麺家いろは」を展開する「天高く」(射水市)の会長で、富山ブラック伝承会の栗原清会長は「今後、『富山ブラック』ブランドの成長を目指すとともに、当会に所属するメリットを増やし、会員を増やしていきたい」と話した。同会は昨年11月に発足。「A-STYLE」(富山市)、「まるたかや」(同)、カット野菜販売の「サンフーズ」(高岡市)などの経営者ら17人でつくる。

自然人.Netコミュニティによると、『富山ブラック』とは、昭和30年ころに富山県富山市で誕生したご当地ラーメン。汗をかく肉体労働者のために塩分補給として、味の濃いスープの醤油ラーメンを作ったのが始まりで、ごはんと一緒に食べることも意識され、塩辛いスープになったといわれる(当時はお客がご飯を持参するのが当たり前だった)。

その後、徐々に市内の各ラーメン店でも提供されるようになり、「富山ブラック」の名も少しずつ知られるようになった。そして近年では、東京で開催されたラーメンショーで「富山ブラック」の店が連続優勝するなど、全国にも知られるラーメンとなりカップ麺も登場するに至った。

このラーメンとにかく真っ黒いスープである。代表的な店のものは大量のねぎとやわらかいチャーシューがトッピングされ、粗挽き黒胡椒がたくさんかけられ、独特の塩辛さのスープに麺は太めである。しかし、店によっては見た目とは違い、あっさりとしたスープのところもあり、一概には言えない。富山市民でも「塩辛くなければ富山ブラックじゃない」という人もいれば、「○○の富山ブラックはうす味でさっぱりしているから好き」という人も意外と多く、好みはは分かれる。

最近、富山県入善町のエビみそを入れた「入善ブラウンラーメン」や、麺に唐辛子を練り込んだ「入善レッドラーメン」、富山県小矢部市のブランド豚を使ったとんこつスープの「おやべホワイトラーメン」などとあわせ、「富山カラーラーメン」と呼ばれることもある。

また、特許庁のホームページから地域団体商標制度とは、地域の産品等について事業者の信用の維持を図り、「地域ブランド」の保護による地域経済の活性化を目的として2006年4月1日に導入された。「地域ブランド」として用いられることが多い地域の名称及び商品(サービス)の名称等からなる文字商標について、登録要件を緩和する制度。通常、「地域名+商品(サービス)名」の組み合わせからなる文字商標は、「全国的に周知」となっていなければ登録できないとされている。


Latest Posts 新着記事

アレルギー治療の未来を変える一歩:物質特許が日本で成立

2025年、日本の特許庁がついに、ある画期的なアレルギーワクチンに対する「物質特許」を正式に認めた。このニュースは、製薬業界だけでなく、慢性的なアレルギーに悩まされている多くの患者たちにも希望の光となった。これまで「対症療法」に留まってきたアレルギー治療の歴史において、根本治療への転換点となり得る出来事である。 ■ 特許の意義:なぜ「物質特許」が重要なのか 医薬品における特許にはいくつかの種類が存...

特許分析×データサイエンス:次世代知財戦略の幕開け

世界の特許分析市場は、2031年までに2715.9百万米ドル(約4100億円)に達し、年平均成長率(CAGR)は13%にのぼると予測されている。この成長率は、単なる知財部門の拡大ではなく、特許情報が企業経営全体に戦略的に活用され始めていることを如実に物語っている。 ■ 特許分析とは:知財の“使い方”が問われる時代 「特許分析」とは、国内外の特許文献に記載された情報を体系的に収集・可視化し、企業の意...

オープンイノベーションの旗手に——三菱電機、「知財功労賞」で国家からの高評価

2025年春、三菱電機株式会社が特許庁より「知財功労賞」の特許庁長官表彰を受賞した。この表彰は、知的財産の創造・保護・活用において模範となる企業や個人を称えるものであり、日本における知財戦略の高度化に貢献する重要な制度だ。三菱電機の今回の受賞は、同社が推進するオープンイノベーションを中心とした知財活動の成果が高く評価された結果であり、製造業が直面する激動の環境において、一つの指標を示したとも言える...

福島市×富士フイルム、罹災証明簡素化システムを特許出願──災害対応DXの新モデル

地震、台風、水害、火山噴火──自然災害が頻発する日本において、行政が担う災害対応業務の中でも、被災者の生活再建に直結するものが「罹災証明書」の発行である。罹災証明書は、住宅などの被害状況を確認し、「全壊」「大規模半壊」「半壊」「一部損壊」などの判定を行政が下し、それを被災者に文書で交付するものである。これにより被災者は、公的支援や保険金の請求などが可能になる。しかし、その発行には時間と人的コストが...

ペロブスカイト特許競争が激化 日本の技術立国に試練

近年、次世代の太陽電池として注目されている「ペロブスカイト太陽電池」。軽量・柔軟・低コスト・高効率という四拍子揃ったこの技術は、従来のシリコン型太陽電池を補完あるいは置き換える存在として、世界中の研究機関・企業から熱い視線を浴びている。その中でも、中国勢の特許出願ラッシュが著しく、知財戦略の面でも日本は岐路に立たされている。 ペロブスカイト太陽電池とは何か ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト...

IBMの特許王国を支える“ミドルの力”——革新を続ける管理職育成の真髄

2020年、IBM(International Business Machines Corporation)は米国特許商標庁(USPTO)から9,130件の特許を取得し、28年連続で特許取得件数世界一の座を守った。これはApple(2,792件)、Microsoft(2,905件)、Google(1,817件)などの名だたるテックジャイアントを大きく引き離す数字であり、IBMがいかに継続的にイノベ...

メガネの新常識、「Zoff SNAP GRIP」登場──全国発売開始、究極のフィット感を実現

2025年5月16日、国内大手アイウェアブランド「Zoff(ゾフ)」は、新製品「Zoff SNAP GRIP(ゾフ・スナップグリップ)」を全国のZoff店舗およびオンラインストアにて発売した。この新商品は、Zoffが“究極の快適性”を追求した末に生み出した革新的なメガネフレームであり、現在特許出願中の新構造「スナップグリップ機構」を搭載している点が最大の特徴だ。 Zoffは、これまでにもリーズナブ...

三菱ケミカルG、CATLと特許契約締結 電解液技術をグローバル展開へ

2025年5月、三菱ケミカルグループ(以下、三菱ケミカルG)は、世界最大の電気自動車(EV)用バッテリーメーカーである中国・寧徳時代新能源科技(CATL)に対し、リチウムイオン電池に使用される電解液の特許技術をライセンス供与する契約を締結したと発表した。電池材料業界における知財戦略の新たな局面を象徴するこの一件は、単なるライセンス供与という枠にとどまらず、日中間のEV産業連携、そして将来のバッテリ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る