ASTRA FOOD PLAN、食品の乾燥と殺菌を同時に行うことができる「過熱蒸煎機」で特許取得


「サスティナブルな社会の実現」をミッションに掲げるフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN株式会社(本社:埼玉県富士見市 代表:加納 千裕)は食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことができる「過熱蒸煎機」に関する特許を取得いたしたことを、24年3月22日プレスリリースで公表した。

『過熱蒸煎機』は、食品の風味の劣化と酸化、栄養価の減少を抑えながら、乾燥と殺菌を同時に行うことが可能な装置で、以下の3つの特徴により、野菜の不可食部分や、米ぬか、果物の搾りかす、飲料ざんさにいたるまで、高付加価値化した食材にアップサイクルすることが可能な装置。

1.食材の風味の劣化と酸化を防止
数百度の高温スチーム 過熱水蒸気を用いることで食材の酸化を抑え、栄養価の損失と風味の劣化を防ぐ。また、食材によっては旨味成分が増加し、ビタミンE、β-カロテンや葉酸などの栄養価が、熱風乾燥を用いた場合と比較して高いことも分かっている。

2.低コスト、高い生産効率を実現
ボイラーレスの過熱水蒸気発生装置を開発し、熱風と併用することでエネルギー効率が極めて高い乾燥・殺菌技術を実現し、連続式で生産効率が高く従来型乾燥技術のコストの課題をクリア。

3.スピード殺菌乾燥
過熱蒸煎機での食材への加熱時間はわずか5~10秒。短時間加熱で食材の劣化を抑えながらも、過熱水蒸気の効果でしっかりと殺菌ができるので安全に加工できる。

この「過熱蒸煎機」、今回の特許技術の新規性としては、まず熱風と過熱水蒸気を組み合わせたハイブリッド型ということ。熱風による乾燥装置、過熱水蒸気による殺菌装置は既存技術としてあるが、「過熱蒸煎機」では、これらを組み合わせることで乾燥と殺菌を同時に行うことを実現している。

さらに、ボイラー不要の過熱水蒸気発生装置を内蔵した点。従来、過熱水蒸気を発生させるにはボイラーによって飽和水蒸気をつくり、さらに再加熱する必要があったため、エネルギーコストが高いという課題があった。これを「過熱蒸煎機」では、常温の水を瞬時に過熱水蒸気に変える技術を搭載しているため、ボイラーが不要となり、エネルギーコストの大幅削減を実現している。

導入事例 としては2024年2月より、株式会社吉野家ホールディングス(本社:東京都中央区 代表:河村泰貴)において本格導入。「過熱蒸煎機」が導入されることで、野家がこれまで廃棄してきた年間約250トンの玉ねぎ端材のほぼ全量を粉末化まで一括で行えるようになり、端材の輸送にかかるコスト削減を実現している。

過熱蒸煎機特許概要

【特許番号】特許第7446572号(P7446572)
【登録日】令和6年3月1日(2024.3.1)
【発明の名称】加熱処理装置
【特許権者】 【氏名又は名称】ASTRA FOOD PLAN株式会社   株式会社XEN GROUP
【発明者】 【氏名】吉岡 久雄

【要約】 【課題】食品、飼料、きのこ栽培用のおが屑等の殺菌や乾燥・焙煎等に使用される加熱処理装置を提供する。

【解決手段】 横設された円筒状のドラム(10)と、その上方に取着された上部中空室(20)と、前記円筒状のドラム(10)の底部付近の周壁に、同ドラム(10)の円周の接線方向に沿って過熱水蒸気含有ガス噴出口(9)が取着された過熱水蒸気含有ガス供給装置と、前記ドラム(10)壁面で過熱水蒸気含有ガス供給口(9)と上部中空室(20)との間に配設された被加熱処理物の供給管路(30)とから構成される。


Latest Posts 新着記事

村田製作所、“特許力”で世界を制す 年々強化される知財戦略の全貌

電子部品業界において、グローバルで確固たる地位を築く日本企業・村田製作所。同社はスマートフォン、自動車、通信インフラなど、あらゆる先端分野で不可欠な部品を供給し続けているが、その競争優位性の核心には、他社を圧倒する「特許力」がある。 村田製作所の特許出願数は、国内外で年々増加しており、特許庁が公表する「特許資産規模ランキング」においても常に上位を占める。2020年代以降、その特許戦略はさらに洗練さ...

トヨタ・中国勢が躍進 2024年特許登録トップ10に見る技術覇権の行方

2024年における日本企業の特許登録件数ランキングが、特許庁公表の「特許行政年次報告書2025年版」により明らかになりました。その結果、国内企業上位10社には、自動車関連企業が3社名を連ね、さらに中国企業の技術力と知財戦略の成長が際立つ結果となりました。本稿では、トップ10企業の顔ぶれを振り返るとともに、自動車関連企業の動向、中国勢の勢い、そして今後の展望について解説します。 ■ ランキング概要:...

メルク、英ベローナを100億ドルで買収 キイトルーダ後を見据えCOPD新薬を強化

米製薬大手メルク(Merck & Co.、日本ではMSDとしても知られる)は、英国バイオ医薬品企業ベローナ・ファーマ(Verona Pharma)を約100億ドル(1兆4,700億円)で買収することで基本合意に至りました。買収金額は現地株式の米国預託株式(ADS)1株あたり107ドルで、これは直近の株価に対して約23%のプレミアムを上乗せした水準です。 背景:キイトルーダの特許切れと「ペイ...

知財覇権争い激化 中国企業が日本の次世代技術を標的に

中国企業、日本で次世代技術の知財攻勢強化 特許登録が急増 日本における次世代技術分野で、中国企業による特許登録件数が急増している。AI(人工知能)、量子技術、電気自動車(EV)、通信(6G)といった先端分野での出願が目立ち、知的財産権を活用したグローバル戦略の一環とみられる。中国勢の台頭により、日本国内企業の技術優位性や将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があるとして、専門家や政策当局も注視してい...

「aiwa pen」誕生!端末を選ばない次世代タッチペン登場

株式会社アイワ(aiwa)は、ワコム株式会社が開発した先進的なAES(Active Electrostatic)方式の特許技術を搭載した新製品「aiwa pen(アイワペン)」を、2025年7月3日より全国の家電量販店およびオンラインショップにて販売開始したと発表しました。マルチプロトコル対応によって、Windows・Android・Chromebookなど様々な端末での利用を可能にし、使う端末を...

完全養殖ウナギ、商用化へ前進 水研機構とヤンマーが量産技術を特許化

絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの持続的な利用に向けた大きな一歩となる「完全養殖」技術の量産化が、いよいよ現実味を帯びてきた。国の研究機関である水産研究・教育機構(以下、水研機構)と、産業機械メーカーのヤンマーホールディングス(以下、ヤンマー)が共同で開発を進めてきたウナギの完全養殖技術について、両者が関連する特許を取得したことが明らかになった。 これにより、これまで不可能とされていたウナギ...

ミライズ英会話、AI活用の語学教材生成技術で特許取得 EdTech革新が加速

英会話スクール「ミライズ英会話」(運営:株式会社ミライズ、東京都渋谷区)は、AIを活用した「完全パーソナライズ語学教材自動生成技術」に関する特許を、2025年5月に日本国内で正式に取得したと発表した。この技術は、学習者一人ひとりの語学レベルや目的、学習傾向に応じて最適な学習教材をリアルタイムで生成・更新するという、従来にない革新的な仕組みである。 本技術の特許取得により、語学教育における個別最適化...

トランスGG、創薬支援で前進 エクソンヒト化マウスの特許が成立

株式会社トランスジェニック(以下、トランスGG)は、2025年6月、日本国内において「エクソンヒト化マウス」に関する特許が正式に成立したと発表した。本特許は、ヒト疾患の分子機構解析や創薬における薬効評価、毒性試験など、幅広い分野で活用が期待される次世代モデル動物に関するものであり、今後の創薬研究において大きなインパクトを与えるものとなる。 ■ エクソンヒト化マウスとは エクソンヒト化マウスは、マウ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る