2023年5月16日、米国特許商標庁(USPTO)はアップルの新たな特許を承認した。今回の特許は、HMDに搭載されたカメラの使用状態を外部に伝える技術に関するもので、アップルはこの技術を通して、Google Glassの課題であったプライバシー問題の解決を目指している可能性があるとMoguraVRNewsが5月25日伝えている。
本特許の正式名称は、「Electronic device with camera status indicator(カメラの状態を示すインジケータを備えた電子機器)」。2020年7月30日に米国特許庁(USPTO)に出願され、2023年5月16日に承認された。
HMDにおける問題のひとつが、周囲の人々のプライバシー保護。スマートフォンとは異なり、HMDの場合は装着者が写真や動画を撮影する際の動作(カメラを対象に向けるなど)が分かりづらいため、周囲の人々がカメラのオン・オフを認識する手段が必要となる。
本特許に記載されたHMDには、カメラの動作状態を外部に示すインジケータライトが組み込まれている。例えば、HMDのカメラがオン(動画の撮影中や写真撮影の準備ができている状態)のときはインジケータライトが赤色になり、オフのときは緑色に変化すれば、周囲の人々は「自分が撮影されていないか」を常に検知できる。
カメラとインジケータライトは、HMDの任意の位置に埋め込み可能。上図の例では、カメラ(図中の50)は撮影対象(図中の58)を捕捉できる位置に、インジケータライト(図中の52)は撮影対象の方向に光を放射できる位置に取り付けられている。
XRデバイスにおけるプライバシー問題の発端は、2012年に登場した「Google Glass」だ。Google Glassには撮影機能が搭載されていたため、「周囲の人々のプライバシーを侵害するのではないか」という議論が勃発。シアトルのバーがGoogle Glass着用者の入店を禁止する事態にも発展した。
今回のアップルの特許は、Google Glassに対するこのような批判から生まれた可能性もある。また、アップルは2020年12月にも同様の特許を出願している(2021年6月に公開、現時点で特許は未成立)。こちらの特許ではインジケータライトがHMDの外部アクセサリーとして提供されており、アップルが周囲の人々のプライバシーを守るためにさまざまな技術を開発していることが分かる。
本特許の技術はHMDだけでなく、MacBookやiPad、iPhone、Apple Watchなどの他のデバイスにも使用される可能性もありえると考えられている。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.moguravr.com/apple-hmd-related-patents/
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