昨年の5月10日、「特許法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、同じく5月17日に法律第3号として公布された。これを受け、意匠法においては本年2020年4月1日すでに新たな法制度がスタートしている。
今回の法改正の内容の中には、特許法の他、意匠法、商標法の改正なども含まれており、中でも注目したい意匠法の改正は、一般にはあまり話題にはなってないようだが明治以来の“大変革”と呼べるほどのものと言われている。
意匠条例が日本で制定されたのは130年ほど前、明治時代のこと。それ以来、意匠権として法律で保護され独占できる対象は「物品の形状や色彩など」に限られていた。しかし近年、IoT・AIなどの新技術の急速な進歩により、デザインの対象や役割が大きく広がってきており、現在の意匠法による保護では十分ではなくなってきていた。そこで今回、時代に合わせかつ積極的に保護対象などを見直すことで、デザインの力をもっとビジネスに活かす「デザイン経営」の考え方をも汲んだものになったわけです。
改正の大きなポイントは2点。まず1つ目が、「保護される対象が拡充」された点だ。これまで意匠登録が可能だったのは基本的に「物品」に限られていた。例えば、車やおもちゃ、椅子など実際に手に取ったりできる有体動産だ。しかし、今回の改正によって、「インターネット上に存在する画像」、そして「建築物」等の不動産、「内装」も保護の対象として意匠登録できるようになった。物品の枠組みを超えることが時代対応した大改正と言えるのではなかろうか。後者はシリーズ製品に関して、後出しして登録できるデザインの範囲とその出願時期を拡張している。
ご存じの通り、意匠権とは…
意匠とは物品の形や模様、色などの要素からなるデザインの事。
意匠登録したデザインの生産、使用、販売などを独占でき、
権利を侵害した者に対して差し止めや損害賠償を請求できる権利を言う。
これまでも、例えばプリンターや炊飯器などの機器にあらかじめ組み込まれている操作画像や表示画像は、意匠登録可能だった。ただ、今回の改正によって、インターネット上にある各社のオンラインサイト、ソフトウエアやアプリのデザインまで保護の対象になる。
建築物については、自然の地形を主たる要素とする施設や公園などは登録ができないが(高低差を利用して2階に玄関を位置させる建物や坪庭を囲む住宅などは登録可)、店舗の外装や内装のデザインにこだわる飲食店は、デザインを意匠法で保護できるようになり、ブランドイメージも守りやすくなるだろう。
これによってこれまで意匠法とあまり関係の無かった業界、特にWebデザインに関わる業界や建築物、内装に関わる業界の方々は、今後は自分が作成、建築するものが他社の意匠権を侵害していないか、注意する必要が出てくるように、また多くの製造業のみならず多様な業界で「デザインの権利保護」が何らかの形でこの法改正の影響を受けることになる。
【参照】
https://www.jpo.go.jp/news/koho/kohoshi/vol44/07_page1.html
https://diamond.jp/articles/-/233356?page=2
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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