日本製紙クレシアは22年9月6日、長さが通常の3倍あるトイレットペーパーの特許権を侵害されたとして、大王製紙に対し製造販売の差し止めと損害賠償を求め提訴したことを各メディアが伝えている。
報道によると日本製紙は、同社が製造販売する「スコッティ フラワーパック3倍長持ち」の柔らかさを保ったまま直径を抑える技術を侵害されたとして、大王製紙が販売する「エリエール i:na」など3製品について製造販売の差し止めと製品の破棄、3300万円の損害賠償を求め提訴したとされている。
日本製紙クレシアが持つ特許は、かつてのトイレットロールの「3倍」の長さを実現したもの。長さは3倍でも1ロールの大きさを、そこまで大きくすることなく、ロールの柔らかさや持ち運びやすさを維持している。1梱包あたりの個数が少なくなるため、消費者としては保管しやすいということで人気に。
【発明の名称】トイレットロール
【国際特許分類】 A47K 10/16 (2006.01) 【FI】 A47K 10/16 A
【出願番号】特願2022-26160(P2022-26160)
【出願日】令和4年2月22日(2022.2.22)
【出願人】 【識別番号】000183462 【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
【発明者】 【氏名】大岡 康伸 【氏名】大篭 幸治 【氏名】高橋 創
【要約】 【課題】本発明は、トイレットペーパーの坪量が従来品と同等であり、1ロールあたりの巻長が長く、使用時における触感や美粧性が良好で、持ち運び性や保管時の省スペース性に優れたトイレットロールを提供する。
【解決手段】2プライに積層され、エンボスパターンが付与されたトイレットペーパーをロール 状に巻取ったトイレットロールであって、巻長が63m以上128m以下、巻直径が103mm以上151mm以下、エンボスパターンの面積率が25%以上80%以下である、トイレットロールを提供する。
一般にトイレットペーパーは単価が安く、利幅が薄い。綿密な計画を立てて生産、輸送をしなければ利益が出ないという構造がある。それがコロナ禍で物流が混乱したことで各社が計画通りに生産、輸送できなかった。日本製紙クレシアの「3倍巻き」はこうした課題にも対応する商品で1梱包の個数を減らしながら内容量は3倍なので効率的な輸送ができる。資源量は減り、輸送時のCO2排出も減らすことができ環境にも優しい。
これまで、日本製紙クレシアの特許に抵触すると思われる他社とは話し合い、製造販売を中止してもらっていたが、大王製紙とは話し合いで見解が合わず、提訴に至った。大王製紙はかつて、ティッシュの特許で日本製紙クレシアを訴えて敗訴した経験を持つ。
大王製紙は9月8日時点で「現時点で当社に訴状が届いておらず、内容を確認できていないが、特許関係は精査しており問題ないと考えている」とコメント(9月26日、大王製紙は「常に他社の知的財産権を侵害しないよう留意の上ビジネスを行っており、本件においても侵害の理由はないものと考えている」、「今後は裁判の中で当社の正当性を主張していく所存」として応訴する考えを表明)。裁判の行方が注目される。
【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.corporate-legal.jp/news/4957
https://www.zaikai.jp/articles/detail/2018
* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。
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