GoogleがSonosのスピーカー関連特許侵害で敗訴  製品の輸入禁止一歩手前まで追い詰められる


Googleがスマートスピーカーメーカー・Sonosの特許を侵害したという訴訟で、アメリカ国際貿易委員会(ITC)が「GoogleがSonosの特許を侵害した」という判決を下した。この判決により、Googleはハードウェア製品の輸入禁止措置を課せられていると、老舗ニュースサイトのGigazineが22年1月7日伝えている。

スマートスピーカーメーカーであるSonosは、2013年に自社製品でGoogle Play MusicをサポートするためにGoogleと業務提携した。この時、SonosはGoogleと自社のマルチルームスピーカー技術を共有したのだが、GoogleがChromecast AudioやPixelなどの製品にこの技術を無断利用したそうだ。SonosはGoogleに対して何度も自社技術の無断利用を辞めるよう警告したそうだが、これが無視され続けたため、最終的に訴訟に踏み切っている。

Sonosの特許権侵害訴訟はアメリカ・ドイツ・カナダ・フランス・オランドなどで繰り広げられることとなり、2021年5月にはドイツの裁判所でついにGoogleの特許侵害を認める判決が下された。
その後、アメリカの国際貿易委員会(ITC)もGoogleがSonosの特許を侵害しているという予備判断を下していたのだが、最終判断が2022年1月6日に下され、GoogleがSonosの特許を侵害していたことが認められた。これにより、Googleはスマートスピーカーやディスプレオ、ストリーミングデバイス、Pixelといったハードウェア製品の輸入を一時的に停止しなければならない可能性があるとされている。

なお、今回Googleが特許を侵害したと認められたのはSonosの保有する5つの特許。5つのうち2つは「左右のオーディオ再生を同期することで、耳がエコーとして解釈してしまう小さな違いを排除するという特許」。他には「スピーカーをペアにしてステレオサウンドを出力する特許」「単一あるいは複数のスピーカーの音量をひとつのコントローラーで調整する特許」「システムを家庭のWi-Fiに簡単に接続する特許」がある。5つの特許のうち3つは2024年に失効し、ひとつは2025年、もうひとつは2027年に失効するとのことだ。

Sonosの最高法務責任者であるEddie Lazarus氏は、「特許訴訟では非常にまれな全面的な勝利」として、今回の判決を歓迎している。続いて、「GoogleはITCが課した輸入禁止措置を回避するために、製品の機能を劣化あるいは一部排除する必要がある。Googleは輸入禁止措置を回避するためにユーザーエクスペリエンスを犠牲にする可能性があります」とコメント。続けて、輸入禁止措置などに縛られることなく製品を販売するには「他の企業がそうしているように、特許侵害したテクノロジーに対して公正なロイヤルティを支払うことです」と言及している。

一方で、Googleの広報担当者であるJosé Castañeda氏は、「今回の決定に完全に同意することはありませんが、ITCがGoogleが提案した設計変更を承認してくれたことには感謝します。この変更により、Google製品を輸入・販売することに影響はないと予想しています。我々は特許侵害に関するさらなる調査を求め、業務提携と知的財産に関するSonosの軽薄な主張から自身の身を守り続ける所存です」とコメントしており、ソフトウェア修正でハードウェア製品の輸入禁止措置を回避したと主張している。

なお、今回の判決を不服とする場合、Googleはアメリカの最高裁判所へ上訴することが可能だ。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://gigazine.net/news/20220107-google-halt-device-imports-sonos/


Latest Posts 新着記事

ロボットの動きをAIが特許化する時代に──MyTokkyo.Aiの最新発明抽出事例

家庭内ロボット市場が急速に進化している。掃除ロボットや見守りロボットだけでなく、洗濯物の片付けや調理補助など、従来は人が行ってきた細やかな日常作業を担う“家庭アシスタントロボット”が次のトレンドとして期待されている。しかし、家庭内という複雑な環境で、人に近いレベルの判断と動作を瞬時に行うためには、膨大なセンサー情報を統合し、高度なモーションプランニング(動作計画)を行う技術が不可欠だ。 このモーシ...

「施工会社」から「技術企業」へ──特許資産ランキング2025、鹿島建設が首位に立つ理由

建設業界は今、大きな転換点に立っている。少子高齢化による深刻な人手不足、カーボンニュートラルへの対応、インフラの老朽化、建設コストの上昇など、従来型のゼネコン経営では持続可能でなくなる課題が次々と顕在化している。こうした中、各社が未来の競争力として注力しているのが「特許」だ。特殊技術の囲い込み、施工ノウハウの形式知化、AI・ロボティクス・材料開発などの分野で、知財の強化が急速に進んでいる。 202...

自動車軽量化の裏側で進む加工技術革新──JFEスチールの割れ防止発明が鍵に

自動車の軽量化ニーズが高まり、高強度鋼板(AHSS:Advanced High Strength Steel)が普及するにつれて、プレス成形時の“割れ”は避けて通れない技術課題となっている。特にAピラー下部、サイドメンバー、バッテリーフレームなど、複雑な形状でありながら衝突時に高いエネルギー吸収が求められる部位では、L字形状のプレス部品が多用される。しかし、こうしたL字プレス品は、曲げコーナー部に...

アップルはなぜ負けた? 医療特許の壁に直面したApple Watch

米国の特許訴訟市場が久々に世界の注目を集めている。発端は、Apple Watchシリーズに搭載されてきた「血中酸素濃度測定(SpO₂)機能」をめぐる特許訴訟で、米国ITC(International Trade Commission)がアップルに対し“侵害あり”の判断を下したことだ。米国では特許侵害が認められると、対象製品の輸入禁止措置という強力な制裁が発動される可能性がある。今回の判断は、App...

デフリンピック開催に寄せて:「聞こえ」を支えるテクノロジー、人工内耳の「中核特許」

2025年11月、日本では初めてのデフリンピックが開催されています。これは、手話をはじめとする、ろう者の文化(デフ・カルチャー)が持つ独自の力強さに光が当たる、歴史的なイベントです。 https://deaflympics2025-games.jp/   デフリンピックの開催は、スポーツイベントであると同時に「聞こえ」の多様性について考える絶好の機会でもあります。聴覚障害を持つ人々にとっ...

10月に出願公開されたAppleの新技術〜Vision Proの「ペルソナ」を支える虹彩検出技術〜

はじめに 今回は、Apple Inc.によって出願され、2025年10月2日に公開された特許公開公報 US 2025/0308145 A1に記載されている、「リアルタイム虹彩検出と拡張」(REAL TIME IRIS DETECTION AND AUGMENTATION)の技術内容、そしてこの技術が搭載されている「Apple Vision Pro」のペルソナ(Persona)機能について詳説してい...

工場を持たずにOEMができる──化粧品DXの答え『OEMDX』誕生

2025年10月31日、化粧品OEM/ODM事業を展開する株式会社プルソワン(大阪府大阪市)は、新サービス「OEMDX(オーイーエムディーエックス)」を正式にリリースした。今回発表されたこのサービスは、化粧品OEM事業を“受託型”から“構築型”へと転換させるためのプラットフォームであり、現在「特許出願中(出願番号:特願2025-095796)」であることも明記されている。 これまでの化粧品OEM業...

特許で動くAI──Anthropicが仕掛けた“知財戦争の号砲”

AI開発ベンチャーのAnthropic(アンソロピック)が、200ページ以上(報道では234〜245ページ)にわたる特許出願(または登録)が明らかになった。その出願・登録文書には、少なくとも「8つ以上の発明(distinct inventions)」が含まれていると言われており、単一の用途やアルゴリズムにとどまらない広範な知財戦略が透けて見える。 本コラムでは、この特許出願の概要と意図、そしてAI...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る