経済安全保障推進法案の概要が次第に明らかに「特許非公開」違反などに罰則情 報流出防止へ


岸田政権が政策の柱の一つに据えるのが、経済安全保障政策である。それを法制面で支える「経済安全保障推進法案」の概要が、次第に明らかになってきたとNRI(野村総合研究所)22122日伝えている。

政府の有識者会議は、近く政府に提出する提言の骨子を119日にまとめた。有識者会議は次回会合で最終的な提言をまとめ、政府に提示する方向だ。それをベースに政府は、2月下旬にも経済安全保障推進法案を通常国会に提出する。

法案は「サプライチェーン(供給網)」、「基幹インフラ」、「技術基盤(官民技術協力)」、「特許非公開」の4分野が柱となる。中国への対抗を念頭に、日本の国益を守る経済安全保障を推進するため、官民の協調体制を一層強化する。そこには、民間企業に対する支援策が含まれる一方、民間企業に様々な義務を課す規制強化の側面も少なくない。

提言の骨子によれば、柱の一つとなる「基幹インフラ」については、基幹インフラの事業者が重要な設備を新たに導入する際に、安全保障上の懸念のある外国製品が使われていないかなどについて、国から事前審査を受ける制度を新たに設ける方向だ。情報漏洩やサイバー攻撃を防ぐことが念頭にある。

対象となる基幹インフラの事業者には、エネルギー、水道、情報通信、金融、運輸、郵便が挙げられている。例えば、銀行が基幹システムを導入する、あるいは外部に維持管理を外部委託する際には、計画を事前に届け出ることが必要となり、それを政府が審査する。

設備に外部攻撃を受ける脆弱性があるといった問題点が認められた場合には、政府はその事業者に必要措置をとることを勧告し、仮に従わない場合は命令できるようにする。

「官民技術協力」では、先端的な重要技術の研究開発を目指す「協議会の設置」が提案された。提言骨子では、機微情報などの管理について「国家公務員に求められるものと同等の守秘義務を(協議会の)参加者に求めるべきだ」とされている。また米国の事例では、政府機関が提供する機密性が求められる情報に関し、「漏洩時のペナルティーなど、厳格な管理措置が施されている」と説明されている。

また、機微情報の漏洩を防ぐために、申請された特許の一部を非公開とする「特許非公開」については、その対象を、核兵器や通常の武器開発に利用可能な技術のうち「国の安全保障上極めて機微な発明を基本」とする方向だ。非公開化の要否の審査対象となる発明は外国での出願を制限して、出願は国内で行うよう義務付けを要請する。また、罰則も定めるべきだ、と提言骨子では謳われている。

さらに、発明の選定を2段階の審査制とすることが提案されている。特許庁による一次審査と、関係省庁による二次審査が想定されている。二次審査では「新たな制度の所管部署を設置し、防衛省や特許庁その他関係省庁が協力する形で審査を行う枠組みを構築する」とされた。

提言骨子にまとめられたこうした内容は、この先、民間企業にとっては大きな負担を強いられる可能性のある規制措置である。政府は、国益重視の姿勢に基づく、企業への働きかけを強化していく。しかし過剰な対応は市場機能や自由貿易を損ね、企業の成長を阻害してしまう恐れもあるだろう。そもそも国益と企業の利益とは一致しない面も少なくないのである。

これら4つの柱に基づく経済安全保障推進法の執行に際しては、拡大解釈に基づく過剰な規制とならないよう、政府は強い自制を働かせる必要がある。また、実際の運用では、事前に民間企業と十分に協議をすることが求められる。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.nri.com/jp/knowledge/blog/lst/2022/fis/kiuchi/0126
https://mainichi.jp/articles/20220122/k00/00m/010/014000c


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