ただの“揉め事”ではない、美顔ローラーのファイブスター 知財リスクが引き起こした巨額賠償請求による倒産劇


特許権侵害訴訟など知的財産(知財)をめぐるトラブルは、当事者間における“揉め事”だろうなどと侮ってはならない。ファイブスターの倒産は、知財リスクの危険性を如実に表わす事例だったと言えるとYAHOOニュースは21年11月20日伝えている。

ファイブスターは2000年に創業した美容・健康関連商材の開発・販売業者。フェイスマスク、美容クリーム、美容ローラーなどを主力商品とし、ディスカウントストアなどへの販路を広げる傍ら、自ら小売店を展開。17年3月期の売上高は約14億7600万円に達していた。

その間、14年から19年にかけて、健康美容機器を企画・販売するMTGから複数の特許権侵害訴訟を提起された。とりわけ16年に提起された「ゲルマ ミラーボール美容ローラー シャイン」など美容器9製品に関する訴訟は、他の訴訟に比べて損害賠償請求額が群を抜いて大きかった。

MTGが提訴したゲルマ ミラーボール(出典:MTG)

大阪地裁の一審における損害賠償請求額は3億円。知財高裁における控訴審では5億円に引き上げられた。

20年2月には製品の譲渡等の差し止めと製品の廃棄、さらに約4億4000万円もの賠償金の支払いを命じる判決が下り、ファイブスターの20年3月期末時点における純資産額(約1億1000万円)の約4倍、手元現預金(約2億2300万円)の約2倍にも及ぶ巨額の賠償債務を負うことになった。

ファイブスターは最高裁に対し上告受理を申し立てたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により主力得意先への販売が落ち込み業績が悪化。

さらに、高裁判決後にはMTGを債権者とする売掛金の差し押さえが仮執行されたことにより、資金繰り悪化に拍車が掛かった。

21年4月には上告受理が退けられ巨額の賠償債務を負うことが確定。事業継続が困難になる恐れがあることから、民事再生法の適用による再生の道を選択した。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://www.esthe.media/news/5054
https://news.yahoo.co.jp/articles/fbf873f0005e0c465e55a6964b6c6280e17e87b5


Latest Posts 新着記事

村田製作所、“特許力”で世界を制す 年々強化される知財戦略の全貌

電子部品業界において、グローバルで確固たる地位を築く日本企業・村田製作所。同社はスマートフォン、自動車、通信インフラなど、あらゆる先端分野で不可欠な部品を供給し続けているが、その競争優位性の核心には、他社を圧倒する「特許力」がある。 村田製作所の特許出願数は、国内外で年々増加しており、特許庁が公表する「特許資産規模ランキング」においても常に上位を占める。2020年代以降、その特許戦略はさらに洗練さ...

トヨタ・中国勢が躍進 2024年特許登録トップ10に見る技術覇権の行方

2024年における日本企業の特許登録件数ランキングが、特許庁公表の「特許行政年次報告書2025年版」により明らかになりました。その結果、国内企業上位10社には、自動車関連企業が3社名を連ね、さらに中国企業の技術力と知財戦略の成長が際立つ結果となりました。本稿では、トップ10企業の顔ぶれを振り返るとともに、自動車関連企業の動向、中国勢の勢い、そして今後の展望について解説します。 ■ ランキング概要:...

メルク、英ベローナを100億ドルで買収 キイトルーダ後を見据えCOPD新薬を強化

米製薬大手メルク(Merck & Co.、日本ではMSDとしても知られる)は、英国バイオ医薬品企業ベローナ・ファーマ(Verona Pharma)を約100億ドル(1兆4,700億円)で買収することで基本合意に至りました。買収金額は現地株式の米国預託株式(ADS)1株あたり107ドルで、これは直近の株価に対して約23%のプレミアムを上乗せした水準です。 背景:キイトルーダの特許切れと「ペイ...

知財覇権争い激化 中国企業が日本の次世代技術を標的に

中国企業、日本で次世代技術の知財攻勢強化 特許登録が急増 日本における次世代技術分野で、中国企業による特許登録件数が急増している。AI(人工知能)、量子技術、電気自動車(EV)、通信(6G)といった先端分野での出願が目立ち、知的財産権を活用したグローバル戦略の一環とみられる。中国勢の台頭により、日本国内企業の技術優位性や将来的な事業展開に影響を及ぼす可能性があるとして、専門家や政策当局も注視してい...

「aiwa pen」誕生!端末を選ばない次世代タッチペン登場

株式会社アイワ(aiwa)は、ワコム株式会社が開発した先進的なAES(Active Electrostatic)方式の特許技術を搭載した新製品「aiwa pen(アイワペン)」を、2025年7月3日より全国の家電量販店およびオンラインショップにて販売開始したと発表しました。マルチプロトコル対応によって、Windows・Android・Chromebookなど様々な端末での利用を可能にし、使う端末を...

完全養殖ウナギ、商用化へ前進 水研機構とヤンマーが量産技術を特許化

絶滅危惧種に指定されているニホンウナギの持続的な利用に向けた大きな一歩となる「完全養殖」技術の量産化が、いよいよ現実味を帯びてきた。国の研究機関である水産研究・教育機構(以下、水研機構)と、産業機械メーカーのヤンマーホールディングス(以下、ヤンマー)が共同で開発を進めてきたウナギの完全養殖技術について、両者が関連する特許を取得したことが明らかになった。 これにより、これまで不可能とされていたウナギ...

ミライズ英会話、AI活用の語学教材生成技術で特許取得 EdTech革新が加速

英会話スクール「ミライズ英会話」(運営:株式会社ミライズ、東京都渋谷区)は、AIを活用した「完全パーソナライズ語学教材自動生成技術」に関する特許を、2025年5月に日本国内で正式に取得したと発表した。この技術は、学習者一人ひとりの語学レベルや目的、学習傾向に応じて最適な学習教材をリアルタイムで生成・更新するという、従来にない革新的な仕組みである。 本技術の特許取得により、語学教育における個別最適化...

トランスGG、創薬支援で前進 エクソンヒト化マウスの特許が成立

株式会社トランスジェニック(以下、トランスGG)は、2025年6月、日本国内において「エクソンヒト化マウス」に関する特許が正式に成立したと発表した。本特許は、ヒト疾患の分子機構解析や創薬における薬効評価、毒性試験など、幅広い分野で活用が期待される次世代モデル動物に関するものであり、今後の創薬研究において大きなインパクトを与えるものとなる。 ■ エクソンヒト化マウスとは エクソンヒト化マウスは、マウ...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る