ソニー、ソーシャル型VRゲーム内で荒らしユーザーを “シャドウBAN”する特許を取得


ユーザー間のやり取りが生ずるSNSやマルチユーザー型ゲームなどでは、他者から不快な言葉を投げかけられたりする。そのような場合、荒らし行為をしたユーザーのアカウントを停止して追い出すこともあれば、そのユーザーを刺激しないよう、該当ユーザー自身には分からないよう機能制限する“シャドウバン”処分を選ぶこともある。

Sony Interactive Entertainment America(SIEA)は、こうしたユーザー保護策をソーシャル機能付き仮想現実(VR)ゲームへ応用する技術を考案。

この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間5月4日に「SHADOW BANNING IN SOCIAL VR SETTING」(特許番号「US 10,994,209 B2」)として登録されたと、テクノロジー&ビジネス情報のメディアサイトCNET Japanが2021年5月13日伝えている。(公開特許番号「US 2019/0160382 A1」)。

この特許は、SNS型VRゲームにおいて、荒らしユーザーのシャドウバンをどのように実行するか説明したもので基本的には、該当ユーザーの不快とみなされる行為をスコア化し、基準スコアと比較することでシャドウバンするかどうか判断する。
ただし、対象をSNS型VRゲームとし、スコア化や比較など一連の処理をゲーム用プロセッサーとサーバープロセッサーで分担する構成にすることで、特許の適応範囲を狭めている。

不快とみなされる行為としては、VR環境における不適切な発言やコメント、ジェスチャー、動きなどだという。

具体的なシャドウバン措置としては、該当ユーザーをほかのユーザーから見えなくする。ほかにも、音声をほかのユーザーへ届かなくしたり、ほかのユーザーから認識できなくしたりするという対応も可能だ。

装置に音声や映像を取得するユニット、ユーザーの動きを捉えるユニットなどを取り付け、該当ユーザーの差別的な音声発言、不適切なハンドサインやジェスチャーを荒らし行為と判断するアイデアにも言及している。

さらに、必要以上に近づいたり、不用意に接触したり、性的な動きをしたりすることも、荒らし行為と判断できる。該当ユーザー以外のユーザーの反応を判断に利用することも考えられる。

ユーザーの音声や動きなども参考に判断(出典:USPTO)


【オリジナル記事】
https://japan.cnet.com/article/35173596/


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