特許で変える未来 ― 関西万博が示す“知財の力”を追う


特許が生むイノベーションと共感

2025年10月2日(木)から10日(金)まで、大阪・関西万博の会場EXPOメッセ(WASSE)において、特許庁が主導する特別展示「明日を変える知財のチカラ ~想いを届ける、世界をよくする~」が開催されます。この展示は、単なる“知財紹介”にとどまらず、「実感」「体験」「参加」という三部構成で、知的財産の新たな魅力を直に感じることができる体験型のイベントです。

一歩踏み込めば、知財は単なる権利を守る仕組みではなく、社会課題を解決し、未来を切り拓く“ドライビングフォース(社会を駆動する力)”であることが見えてきます。たとえば、あるアウトドアブランドでは「アルゴリズミック・クチュール」と呼ばれる特許技術により、生地の無駄を大幅に削減する形でジャケットを製造し、環境配慮と機能美を両立しています。

ステージイベントやワークショップでは、SDGsに沿った取り組みや、女性や若者、スタートアップによる知財活用の最前線が紹介され、直接その“知財の力”を感じ、考えるきっかけが得られます。

このように、「知財」は私たち一人ひとりの「想い」や「願い」を形にし、守りながら広げていくためのパートナーです。アイデアを育て、デザインを守り、ブランドを支える。そして、他の誰かと想いを共有しながら、社会を動かしていく――それが「特許」という制度の本質的な魅力であり、力なのです。

本誌では、関西万博で示される“知財のチカラ”の一端を切り取りながら、特許の可能性と未来への役割を浮き彫りにし、より多くの読者にその意味と魅力を伝えたいと考えています。「この技術ってどうやって守られているの?」「どう使われているの?」――そんな素朴な疑問から、社会の可能性を広げる知財の世界への第一歩を踏み出してみませんか。


土なし、水槽なし。常識を覆す『フィルム農法』。

現代農業は、水不足、土壌汚染、食料安全保障といった地球規模の課題に直面しています。こうした中、メビオール株式会社が医療分野で培った先端高分子技術を応用して開発した「アイメック®農法」、通称「フィルム農法」が、農業に革命をもたらす画期的な技術として注目を集めています。

この技術の核となるのは、無数のナノサイズの孔が開いた特殊な親水性フィルムです。このフィルムは水や養分だけを通し、病原体を遮断することで、農薬を大幅に削減した安全な作物生産を可能にします。また、植物に適度な水分ストレスを与えることで、糖度やアミノ酸、GABAなどを豊富に含む高品質・高栄養価の作物(例:トマト)を安定して栽培できるのが特徴です。

今回は、農業に革命的進展をもたらす、画期的農法の基本特許を紐解きます。


近年、地球温暖化の進行に伴い、世界各地で水不足、土壌劣化・汚染、および食料供給の安全性の問題が深刻化しています。また、従来の農業では、熟練した技術が必要とされる土作りや、連作障害、残留農薬による土壌汚染といった課題が長らく存在していました。これらの背景から、持続可能で効率的な新しい農業技術の開発が強く求められています。

今回紹介する「IMEC®(アイメック®)」は、メビオール株式会社が開発し、医療分野で培われた先端高分子技術(ハイドロゲル、膜)を農業に応用した画期的な植物栽培システムです。この技術は、土壌や水槽を必要とせず、特殊なハイドロゲルフィルム上に植物を育てることを特徴としています。この技術に関する特許は多岐にわたりますが、今回は基本特許と考えられる特許4142725号の技術を掘り下げ、その優位性と応用可能性について紹介します。

1.背景と課題

背景技術および従来の課題

現代農業は、地球規模での環境変化と伝統的な農法の限界に起因する複数の深刻な課題に直面しています。

1. 土耕栽培の課題

土壌管理の難しさ
土作りや水やりに熟練した技術と長年の経験(約10年)が必要とされます。これにより、新規就農者や異業種からの農業参入が困難になっています。 植物の生育状況に応じた適切な施肥管理が難しく、過剰な施肥は無駄が多く、結果として土壌への塩類蓄積を招きます。 潅水も数日おきに大量に行われるため、土壌が過湿になったり乾燥したりと、植物への水分ストレスの制御が困難でした。

土壌汚染と連作障害
土壌が表層から深くまで連続的に繋がっているため、線虫などの有害な微生物、細菌、ウイルスが繁殖すると連作障害の主因となります。 土壌消毒が困難(例:燻蒸法に用いられる臭化メチルの全面使用禁止)であり、汚染された土壌の交換(客土)もコスト的・物理的に困難です。 過去に大量に使用された有機リン系農薬などによる土壌汚染が深刻化しており、農産物への残留農薬汚染のリスクがあります。

環境負荷と資源の無駄
過剰な施肥は地下水汚染の原因となります。 施設内の土壌では、水の蒸発と潅水の繰り返しにより、土壌表層に塩類が蓄積し、植物の生育を阻害する問題がありました。これを改善するには大量の水や客土が必要となり、莫大なコストがかかります。

2. 養液土耕栽培の課題

土壌表層への塩類集積による生育障害や過剰施肥による地下水汚染は軽減されるものの、植物の根が大地に直接接触しているため、連作障害や残留農薬による農産物汚染の問題は解決できませんでした。これにはリアルタイムでの養分・水分測定や、液肥混入機、流量計、均一潅水が可能な点滴チューブなどの設備が必要となります。

3. 養液栽培(水耕栽培)の課題

高額な初期費用
養液を収容する水槽(ベッド)やその支持体、さらに水面を平行に設置するための大規模な工事に多大な費用がかかります。 根が養液に直接浸かるため、養液が細菌やウイルスなどで汚染されるリスクが高く、高額な循環・殺菌・ろ過設備が必須となります。

品質の課題
根が常に養液に浸かっているため水分ストレスがかからず、生産物の栄養価が低く、味が薄いなど、高品質化が困難であるという致命的な欠点がありました。 特に、サラダ菜やほうれん草などの葉菜類では、高濃度の硝酸態窒素が蓄積されることがあり、健康上の懸念が指摘されています。また、栽培途中で養液を水に切り替えて硝酸態窒素を減らすことも、実際には困難でした。

どんな発明?

2−1.発明の目的

このシステムは、土壌や大規模な水槽を必要とせず、無孔性親水性フィルム上で低コストかつ安全で高栄養価の作物を栽培することを特徴とし、上記の様々な課題解決を目指しています。

2−2.発明の詳細

無孔性親水性フィルム

本システムの中核となるのは、ハイドロゲルでできた薄い無孔性親水性フィルム(1)です。このフィルムは、医療分野で培われた膜およびハイドロゲル技術を農業に応用したもので、厚さは通常300μm以下、好ましくは200〜5μm程度、特に100〜20μm程度が望ましいとされています。

このフィルムの最大の特徴は、無数のナノサイズの孔が開いており、これにより水と養分のみを通し、バクテリア、ウイルス、線虫などの病原菌を遮断することが可能です。これにより、農薬の使用を最小限に抑え、安全な作物の生産を実現します。

【図1】

また、このフィルムは「植物体の根と実質的に一体化」するという独自の現象を示します。この一体化は、フィルムに接触した養液中の肥料成分と水を植物が生長に必要な程度吸収する際に、根がフィルム表面に強く密着しようとすることで促進されます。その結果、膨大な数の根毛が生じ、根の近傍にある水、肥料成分、空気などを効率良く吸収できるようになります。

フィルムの好ましい特性として、以下の数値が挙げられています。

イオン透過性…水と0.5質量%の塩水を対向して接触させた際に、測定開始4日後の水/塩水の電気伝導度(EC)の差が4.5 dS/m以下であること。

グルコース透過性…水と5%グルコース溶液を対向して接触させた際に、測定開始3日後(72時間)の水/グルコース溶液の濃度(Brix%)の差が4以下であること。

剥離強度…栽培開始35日後に植物体の根に対して10g以上、好ましくは30g以上、特に100g以上の剥離強度を示すこと。

耐水圧…JIS L1092(B法)に準じた方法で10cm以上、好ましくは20cm以上、より好ましくは30cm以上の水不透性を有すること。

フィルムの材料としては、ポリビニルアルコール(PVA)、セロファン、親水性ポリエステルなどが好適に使用できます。一方で、微孔性ポリプロピレンフィルム(PH-35)や超極細繊維不織布(シャレリア)のように孔を有する不織布、織布は、塩やブドウ糖の透過性が不十分であったり、耐水圧が低かったりするため、本特許には不適とされています。

システムの構成要素と様態

本特許発明の植物栽培システムは、水槽を設置することなく、無孔性親水性フィルムに水または養液を供給する手段を用いることを特徴としています。

基本的な態様

図1は、本栽培システムの最も基本的な態様を示しています。

無孔性親水性フィルム(1)が、水不透過性材料(2)の上に配置されます。

水不透過性材料(2)は、水を通さないフィルム、シート、板、箱状のもので、合成樹脂、木材、金属、セラミックなどが素材として使用可能です。この材料は、植物を大地土壌から隔離し、連作障害、残留農薬汚染、地下水汚染、土壌表層への塩類蓄積などを防ぎます。

他の態様①

図2は、より詳細な構成を示す模式断面図です。

【図2】

水不透過性材料(2)が大地土壌上に接地して配置され、その上に吸水性材料(8)が配置されます。吸水性材料(8)は、フィルム(1)へ水または養液を供給し保持する役割を持ち、不織布、スポンジ、織物、ピートモスなどが使用可能です。吸水性材料(8)または水不透過性材料(2)の表層には、潅水手段(3)が配置され、フィルム(1)の下面側から養液を供給します。潅水手段(3)として点滴チューブが好適に用いられ、少量ずつ間歇的に水または養液を供給します。

無孔性親水性フィルム(1)の上には、必要に応じて以下の要素が配置されます。

植物栽培用支持体(土壌)(4)…少量の培土(例: スーパーミックスA、バーミキュライト、ロックファイバー)を約2cmの深さで載せることができます。植物の根がフィルムと一体化するまでの間、必要最小限の肥料や微量要素を供給することが望ましいとされています。

蒸発抑制部材(マルチング材料)(5)…水不透過性または低透過性のマルチング材(例: シルバーマルチ)で土壌表面を覆うことで、フィルム表面からの水蒸気蒸発を防ぎ、水蒸気を凝結させて植物が利用できるようにします。

潅水手段(植物栽培用支持体側)(6)…フィルム(1)の上部に配置され、植物が必要とする際に水や養液を間歇的に補給します。

細霧噴霧用手段(バルブ)(7)…栽培領域上部に配置され、夏季の冷却、葉面散布による肥料供給、または農薬散布の自動化に利用できます。

他の態様②

図3は、屋外での栽培を可能にするための構成を示します。

【図3】

水不透過性材料(2)が畝のように周囲より高く配置され、その上に無孔性親水性フィルム(1)が設置され、フィルムの端が畝の側面に沿って下げられます。

フィルム(1)の上に配置された植物栽培用支持体(4)が周囲に落ちないように、プラスチックや木製の植物栽培支持体保持枠(9)が配置されます。

この保持枠(9)とフィルム(1)の間に水が通る隙間を設けることで、雨が降った際に余分な水をフィルム上から逃がすことができ、ビニールハウスなど雨を防ぐ手段がない屋外でも植物栽培が可能となります。

IMECシステムの利点

本システムは、従来の栽培方法の欠点を解消し、以下のような多岐にわたる利点をもたらします。

低コスト化…高額な養液水槽、架台、および水平出し工事が不要であり、初期投資を大幅に削減できます。養液の循環・殺菌設備も不要です。

安全性の向上と環境負荷の低減…土壌と植物の根が水不透過性材料(2)と無孔性親水性フィルム(1)で隔離されるため、土壌中の病原微生物、細菌、ウイルス、線虫による連作障害や植物汚染を防ぎます。さらに、残留農薬による土壌汚染の影響も軽減されます。水や肥料が外部に漏洩しないため、地下水汚染を防ぎ、水資源の有効利用と肥料使用量の削減が可能となり、環境に優しい農法です。

作物の高品質化…フィルムによる適切な水分ストレスの制御が可能となり、植物が糖分やアミノ酸などの栄養価を高めるよう働きかけます。その結果、高糖度で食味の良い作物を生産できます。栽培途中で養液から水のみに切り替えることで、植物体内の硝酸態窒素量を極めて簡便に低減できます。

栽培場所の多様化…水不透過性シートにより地面と完全に隔離されるため、砂漠地帯、コンクリート上、塩害土壌、汚染された土地など、これまで農業に適さなかった場所でも栽培が可能になります。災害復興の手段としても注目されています。

農業参入の障壁低減…土作りや土壌管理の専門知識が不要であるため、農業未経験者でも短期間(約1年)で高品質な作物を安定生産する技術を習得でき、新規就農や異業種からの参入を促進し、農業における労働力不足の解決に貢献します。

これらの技術的特徴と利点により、本特許に記述されるIMECシステムは、現代農業が抱える多くの課題に対する有効な解決策を提供します。

3.ここがポイント!

本発明のポイントは、「植物の根と実質的に一体化する特性を持つ無孔性親水性フィルム」の利用にあります。

このフィルムが核となることで、以下の革新的な利点が実現され、従来の土耕栽培や水耕栽培が抱える多くの課題を解決します。

病原体の遮断と安全な作物生産…このフィルムには無数のナノサイズの孔が開いており、水や養分は効率的に通しますが、バクテリア、ウイルス、線虫などの病原菌は遮断します。これにより、農薬の使用を大幅に減らし、安全性の高い作物を栽培できます。

高品質・高栄養価作物の実現…フィルムを通して水を吸収する際に、植物に適度な水分ストレスがかかるように制御されます。これにより、植物は糖分やアミノ酸、GABAなどの栄養成分を多く生成し、高糖度で食味の良い、高品質な作物を安定して生産することが可能となります。また、栽培後半に水のみを供給することで、植物体内の硝酸態窒素量を容易に低減できます。

この無孔性親水性フィルムは、医療分野で培われた膜・ハイドロゲル技術を農業に応用したものであり、食料の安全性、水不足、土壌汚染といった世界的な課題に対する持続可能で経済的な解決策を提供することができるのです。

4.未来予想

本発明のシステムは非常に導入の技術ハードルが低いため、農業に関して次のような展開が予想できます。

「どこでも農業」の実現とコスト削減

養液を貯める水槽が不要であるため、高額な設備費用や設置工事が削減され、初期投資と運用コストが大幅に抑えられます。また、土壌から完全に隔離されるため、砂漠地帯、コンクリート上、汚染土壌など、これまで農業に適さなかった場所でも栽培が可能になります。

「だれでも農業」の実現

土作りや土壌管理の専門知識が不要なため、農業未経験者でも短期間で技術を習得し、高品質な作物を安定して生産できるようになります。

権利概要

発明の名称植物栽培システム
出願番号特願2007-144202
出願日2007年5月30日
登録日2008年6月20日
審査請求日2008年3月15日
特許番号特許第4142725号
出願人メビオール株式会社
発明者岡本 昭弘
藤井 学
吉岡 浩
森 有一
国際特許分類(IPC) A01G 31/00
A01G 27/00
A01G 13/00
経過情報早期審査に付され、一発特許査定

ミクロな細胞を「自動で穿つ」。再生医療の未来を拓く、剣山メソッド。

近年、機能障害や機能不全に陥った生体機能を再生する再生医療が注目されています。特に、変形性膝関節症に代表される軟骨関連疾患の治療法開発は喫緊の課題であり、世界の軟骨再生市場は2032年には41億ドルに達すると予測されています。

しかし、従来の細胞塊(スフェロイド)を用いた立体組織作製では、直径数百µmの細胞塊を直径数十µmの針状体に手作業で突き刺すという、極めて困難な作業が実用化の大きな障壁となっていました。

今回紹介する特許技術は、この課題を解決し、細胞の立体構造体製造を自動化する画期的な技術です。この技術は、iPS細胞由来の高品質な間葉系幹細胞作製技術と融合することで、変形性膝関節症の新たな治療法として実用化が進められています。具体的にどのような技術なのか、詳説していきます。


株式会社Arktus Therapeuticsは、2023年7月に設立された日本のバイオテクノロジースタートアップ企業です。京都市に拠点を置き、ミッションとして「iPS細胞由来の軟骨インプラントにより健康寿命やアスリート寿命を延伸し、より健やかで豊かな社会を実現します」を掲げています 。同社の技術的強みは、京都大学のiPS細胞研究と、佐賀大学のバイオ3Dプリンティング技術を融合させた点にあります。この二つの先進技術の融合によって、従来の治療法では困難だった、個々の患者に合わせた高品質な軟骨組織の作製を目指しています。

今回は、この技術の基本特許の1つである、佐賀大学の中山功一教授(現・佐賀大学医学部附属再生医学研究センター長)が発明したバイオ3Dプリンティング技術、いわゆる「剣山メソッド」について解説していきます。

1.背景と課題

背景技術および従来の課題

再生医療やその他の試験において、器官や臓器の再生を目的として、複数の細胞塊(スフェロイド)を立体的に組み合わせて細胞の立体構造体を製造する方法が知られていました。この製造方法では、複数の針状体を備えた支持体を使用し、各針状体に細胞塊を突き刺して細胞塊同士を密着させることで、細胞の立体構造体を得ることが一般的でした。

しかし、従来のこの技術は、細胞塊を吸引したピペット、ロボットアーム、またはピンセットを用いて手作業で行われていました(従来技術:特許第4517125号)。

従来技術における課題

上述の技術には、細胞塊の立体構造体を製造する際の困難さという課題がありました。

具体的には、以下のような問題がありました。

・細胞塊の直径が数百μm程度と非常に小さい。
・これに対し、細胞塊を突き刺す針状体の直径は数十μm程度である。
・このように微細な細胞塊を、さらに微細な針状体に突き刺す作業は極めて困難である。

どんな発明?

2−1.発明の目的

細胞の立体構造体製造装置 本装置は、主に以下の構成要素から成り立っています。

装置全体構成(図1参照)

【図1】

本装置(立体構造体製造装置2)は、内部が無菌状態に保たれたクリーンベンチ11内に主要な部品が配置されています。供給マガジン12から収容プレート3が供給され、回収マガジン13に回収されます。支持体4は載置台18に置かれ、吸引ノズル19が移動手段20によって細胞塊の取り出し、および支持体への突き刺しを行います。これら一連の動作は制御手段21(パーソナルコンピューター21aなど)によって自動的に制御されます。

収容プレート(図2参照)

【図2】

収容プレート3は、透明な部材で製造され、縦横に多数の収容凹部3aが形成されています。

図2(a) は収容プレートの斜視図、図2(b) は収容凹部3aの拡大断面図、図2(c) は収容凹部3aの平面図を示しています。

各収容凹部3aの底面は球面状の凹部で構成されており、それぞれ略球状の細胞塊1(スフェロイド)が培養液とともに1つずつ収容されます。

支持体(図3参照)

【図3】

支持体4は、略正方形の板状部材5と、その表面に立設された複数の針状体6から構成されます。

図3(a) は支持体の側面図、図3(b) は針状体6に細胞塊1を突き刺した状態の側面図、図3(c) は支持体の平面図を示しています。

針状体6は金属製で、それぞれ複数個(本実施例では4個)の細胞塊1を突き刺せる長さを持ちます。

隣接する針状体6同士の間隔は、突き刺された細胞塊1同士が相互に密着する程度(細胞塊1の1個分程度)に設定されています。

細胞塊1を針状体6の根元側から先端側へ積み重ねることで、細胞の立体構造体1Aが得られます(図3(b)参照)。

針状体6は板状部材5に対しほぼ垂直に立設されていますが、大きく傾いた針状体も含まれる場合があります(図3(a)のAで示す針状体6)。

吸引ノズルと移動手段(図4、図5参照)

【図4】

【図5】

吸引ノズル19は、負圧発生手段31に接続され、負圧を調整するレギュレーター32、吸引した培養液を貯留するバッファ容器33と配管で繋がっています。

吸引ノズル19の先端には、1つの細胞塊を吸着する管状の吸着部19aが備わっています。

この吸着部19aの内径は、細胞塊1の外径より小径かつ支持体4の針状体6の外周径よりも大径に設定されています。これにより、細胞塊1を吸着しつつも、針状体6を吸着部19aの内部に挿入することが可能となります(図5(a), (b)参照)。

移動手段20(図1参照)は、X-Yユニット34と昇降手段36で構成され、吸引ノズル19を水平方向(X-Y方向)に移動させたり、上下に昇降させたりします。

カメラ(図6、図7参照)

【図6】

【図7】

下方カメラ38(細胞塊撮影手段)…吸引ノズル19の真下に配置され、収容プレート3内の細胞塊1を下方から撮影します。これにより、制御手段21は細胞塊1の位置、外径、および形状を認識します。不適切な細胞塊は使用しないと判定されます。図6は下方カメラで吸引ノズルを撮影した図、図7は収容凹部に収容された細胞塊の撮影結果(適切/不適切)を示します。

上方カメラ39(針状体撮影手段)…支持体4の上方に位置し、全ての針状体6を撮影します。制御手段21は、この画像から針状体6の先端位置を認識します。

立体構造体製造の動作プロセス

1. 初期設定
作業者が細胞塊を収容した収容プレート、空の回収マガジン、異種細胞塊プレート、支持体をセットし、製造する立体構造体の配置を設定します。

2. 吸引ノズル位置測定
制御手段21が下方カメラ38を用いて吸引ノズル19の吸着部19a先端の位置を測定し、そのずれ量を記憶します。

3. 細胞塊の取り出し
移送手段17が供給マガジン12から収容プレート3を取り出し、第3支持手段16へ移送します。下方カメラ38が収容凹部3a内の細胞塊1を撮影し、その位置、外径、形状を認識します。不適切な細胞塊はスキップされます。

4. 細胞塊の吸着保持
制御手段21は、認識された細胞塊1の位置に合わせて吸引ノズル19を移動・下降させ、吸着部19aに細胞塊1を吸着保持させます。細胞塊が吸着されたことを下方カメラで確認し、残っていればリトライします。

5. 針状体先端位置の認識
吸引ノズル19に細胞塊を吸着保持した後、移動手段20のX-Yユニット34が上方カメラ39を支持体4の上方に移動させ、針状体6の先端位置を認識します。

6. 細胞塊の突き刺し
制御手段21は、細胞塊1を吸着保持した吸引ノズル19を、認識された針状体6の先端位置の上方まで移動させます(図5(a)参照)。
さらに吸引ノズル19を下降させ、細胞塊1を針状体6の先端に突き刺します。
昇降手段36が吸引ノズル19をさらに下方に移動させると、吸着部19aに押圧された細胞塊1は針状体6によって貫通され、針状体6が吸着部19aの内部に挿入されていきます(図5(b)参照)。
吸引ノズル19の下降量は、下方カメラ38で認識した細胞塊1の外径寸法に基づいて補正されます。
針状体6の先端位置が規定範囲を外れている場合(図5(c)参照)、制御手段21は、細胞塊1を突き刺した状態で吸引ノズル19を移動させ、針状体6の姿勢を矯正してから下降を続けます。

7. 異種細胞塊の移載
異種細胞塊を移載する場合は、同様のプロセスを異種収容プレート3bに対して行います。

8. 空のプレート回収
収容プレート3から全ての細胞塊を取り出した場合、空のプレートは回収マガジン13へと移送され、収納されます。

発明の効果

この装置により、細胞塊によって立体構造体を自動的に製造することが可能となり、手作業の困難さが解消されます。特に、吸引ノズルの吸着部の内径を細胞塊の外径よりも小径に、かつ針状体の外周径よりも大径とし、細胞塊を吸着保持した吸引ノズルを針状体の軸方向に移動させることで、細胞塊を確実に針状体に突き刺すことが可能になります。

多数の微細な針が並んだ支持体に、細胞の凝集体(スフェロイド)を一つひとつ刺し、積層させることで、目的の立体組織を構築します。この針が並んだ様子や、細胞塊を突き刺して固定する様子が、生け花の際に花を固定するために使われる剣山と酷似しているため、「剣山メソッド」と呼ばれています。

3.ここがポイント!

本特許発明のポイントは、細胞塊(スフェロイド)を針状体に自動的かつ確実に突き刺して、細胞の立体構造体を製造する装置である点です。

具体的には、以下の点が重要です。

課題解決
従来、直径数百μmの細胞塊を直径数十μmの針状体に手作業で突き刺すことは非常に困難でした。この特許は、この手作業の課題を解決し、作業を自動化することを可能にしました。

吸引ノズルの設計
吸引ノズル(19)の吸着部(19a)の内径を、吸着する細胞塊(1)の外径よりも小さく、かつ針状体(6)の外周径よりも大きく設定することで、細胞塊を確実に吸着保持し、かつ針状体が吸着部の内部に挿入されることを可能にしています。

自動化された突き刺し
制御手段(21)と移動手段(20)により、細胞塊を吸着した吸引ノズルを針状体の上方に移動させ、さらに針状体の軸方向に沿って下降させることで、細胞塊に針状体を確実に突き刺すことができます。

この技術は、いわゆる「剣山メソッド」の中核であり、バイオ3Dプリンティングにおける細胞組織作製の自動化に大きく貢献しています。

4.未来予想

この特許は、佐賀大学、株式会社サイフューズ、および澁谷工業株式会社によって共同出願されています。Arktus Therapeuticsは、この「剣山メソッド」と京都大学のiPS細胞技術を融合させ、高品質な軟骨組織を製造することで、変形性膝関節症などの膝疾患治療を目指しています。この技術融合により、従来の再生医療技術が抱えていた組織の強度や定着性、均一な細胞分化といった課題の克服が期待されています。

権利概要

発明の名称細胞の立体構造体製造装置
出願番号特願2011-140111
公開番号特開2013-5751
特許番号特許第5896104号
出願日2011年6月24日
公開日2013年1月10日
登録日2016年3月11日
審査請求日2014年4月30日
出願人国立大学法人佐賀大学、株式会社サイフューズ、澁谷工業株式会社
発明者中山功一
米田健二
坂本匡弘
越田一朗
所村正晴
深村功
国際特許分類(IPC) C12M 1/00 (2006.01)
A61L 27/00 (2006.01)

「魔法の鏡」が解き放つ、裸眼で触れる空中映像の世界。

SF映画で描かれてきた空中を浮遊する映像や、非接触で操作できるインターフェースは、もはや夢物語ではありません。株式会社パリティ・イノベーションズが開発した「パリティミラー®」は、まさに「魔法の鏡」のように、液晶ディスプレイなどの映像ソースの上に置くだけで、その映像を鮮明で歪みなくフルカラーで空中に浮かび上がらせることを可能にしました。

これまでの空中映像技術は、映像のコントラスト低下や白ボケといった課題を抱えていましたが、パリティミラー®は独自の技術革新によってこれらの問題を解決。特殊なメガネやヘッドマウントディスプレイを装着することなく、裸眼で驚くほどリアルな空中映像を体験できるだけでなく、長時間の利用でも目の負担が少ないという、かつてない臨場感と快適さを両立しています。このようなパリティミラー®が、どのような可能性を秘めているのか、その魅力を深く掘り下げてご紹介します。


株式会社パリティ・イノベーションズは、「SF・ファンタジー世界の表現が当たり前に存在する生活空間を作る」というビジョンを掲げ、ただ置くだけで空中に映像を浮かび上がらせる新しい光学素子「パリティミラー®」を世界で初めて開発しました。この革新的な技術により、特殊なメガネやヘッドマウントディスプレイを必要とせず、裸眼で鮮明かつ歪みのない空中映像を観察することが可能となりました。さらに、センサーと組み合わせることで、非接触での空中タッチ操作を実現する次世代のユーザーインターフェースとしての応用も期待されています。

1.背景と課題

背景技術

この特許発明は、一方の面側にある被観察物の実像を、他方の面側の空間に結像させる光学素子、およびそれを用いた映像表示装置に関するものです。

従来より、ある空間を仕切る平面体の一方の面側に被投影物を配置し、その面対称となる位置に被投影物の鏡映像を結像させる光学素子が提案されていました。この種の技術として、μmオーダー幅の反射帯(スリットミラー)が複数列に並べられた2枚のパネルを、互いの垂直面が直交するように配置した光学素子が知られています。

この先行技術の光学素子では、透明平板の内部に、スリットミラーの一方側の面に垂直に多数かつ帯状の平面光反射部を一定のピッチで並べて形成した第1および第2の光制御パネルを使用しています。これらのパネルは、スリットミラーが互いに直交するように向かい合わせて配置されます。光学素子の片側に配置された被観察物から発せられた光は、光学素子を通過する際に第一および第二の制御パネルの各スリットミラーで2回反射・屈曲し、被観察物がない反対側の空間に実像として結像します。これにより、被観察物が光学素子の素子面に対して対称位置に存在するような実像が結像されます。

従来技術における課題

上記特許文献に記載の光学素子には、以下の課題がありました。

1.迷光によるコントラスト低下
透明平板には断面が直角三角形の溝が設けられ、その垂直面が反射面として使われています。しかし、素子に入射した光の一部は、この反射面に入射せず、溝側に導波されてしまうことがありました。また、被観察物からの光のうち、垂直面への入射角が臨界角よりも小さい光は、全反射されずに溝側に導波されてしまうことがありました。これらの溝側に導波された光は、実鏡映像の結像に寄与しない迷光となり、立体映像のコントラストを低下させる原因となっていました。

2.光の乱反射による白ボケ
上記の溝はμmオーダーと非常に微細であるため、外部の照明光などの環境光が溝に入射すると、溝で光が乱反射し、映像に白ボケを生じさせる原因となっていました。

どんな発明?

2−1.発明の目的

この特許発明は、上記の課題を解決し、実鏡映像の結像に寄与しない迷光を抑制して立体映像のコントラストを向上させるとともに、スリットミラー間における光の乱反射を抑制して白ボケを低減できる光学素子およびそれを用いた映像表示装置を提供することを目的としています。

2−2.発明の詳細

パリティミラー®は、実像を結像させる光学素子であり、主に2つの光学パネルで構成されています。

基本的な構成と結像原理
光学素子1は、透明材料で形成された第1光学パネル1Aと第2光学パネル1Bを備えています。これらのパネルは、それぞれが持つスリットミラーアレイの配列方向が直交するように互いに向かい合わせて配置されます。図1は、この光学素子の構成と、被観察物Oから実鏡映像Pが形成される様子を概念的に示しています。

【図1】

各光学パネルは、透明な基盤(2A, 2B)と、そこから突出する複数の突条(3A, 3B)から成るスリットミラーアレイ(30A, 30B)を有します。図3は、第1光学パネル1Aと第2光学パネル1Bが離れた状態で示されており、突条の垂直面(31, 32)や傾斜面(33, 34)が見て取れます。

【図3】

図2に示すように、光源oから発せられた光は、光学素子1を通過する際に、一方のスリットミラーアレイ30Aの垂直面31で反射し、次にもう一方のスリットミラーアレイ30Bの垂直面32で反射した後、光学素子1の出射面を透過します。このように光学素子1から出射された光は、素子面1Sに対して点光源oの面対称位置pを通過して広がり、実鏡映像Pとして結像します。

【図2】

図4は、第1光学パネル1Aの断面図であり、突条3Aが基盤2Aに対して垂直な垂直面31と傾斜した傾斜面33を持ち、上部は頭頂面35を形成していることが分かります。隣り合う突条の間には溝部21が形成されています。

【図4】

低屈折率部と光吸収部による性能向上

パリティミラー®の主要な特徴は、垂直面と傾斜面によって形成される溝部(21)に、光吸収部(5)と低屈折率部(4)が配置されている点です。

低屈折率部4は、少なくともスリットミラーを構成する垂直面31と接するように配置されており、透明材料の屈折率よりも低い屈折率の媒質で構成されています。これにより、垂直面での全反射効率が向上し、実鏡映像Pを明るくすることができます。低屈折率部4の媒質は空気が最も好ましいとされています。光吸収部5は、溝部に導波された光を吸収する役割を担います。

図6は、光吸収部5が溝部に導波された迷光(破線矢印や一点鎖線矢印)をカットする様子を示しており、実鏡映像Pの結像に寄与しない迷光を抑制し、コントラストを向上させることができます。また、外部の照明光などの環境光(二点鎖線矢印)もカットすることで、微細な溝部での光の乱反射を抑制し、白ボケの発生も防ぎます。光吸収部5は、傾斜面33と接していることが好ましいです。

【図6】

パリティミラー®の作製方法と変形例

パリティミラー®の作製は、まずスリットミラーアレイを形成し、次に低屈折率部と光吸収部を形成するという手順で行われます。

1.スリットミラーアレイの作製
図5(a)に示すように、基盤2Aと複数の突条3Aから成るスリットミラーアレイ30Aは、例えばスタンパなどの金型Mを用いて透光性樹脂を射出成形することで作製されます。ナノインプリントや熱プレス成形、X線リソグラフィ法も利用可能です。突条3Aは側断面視で台形形状であり、これにより金型からの取り外しが容易になる「抜きテーパ」を付けることができます。

2.低屈折率部と光吸収部の形成方法
フッ素コート剤によるディップコート法: 図5(b)に示すように、スリットミラーアレイ30Aをフッ素コート剤などの低屈折率材料の溶液40に浸漬し、引き抜くことで垂直面31に溶液が付着します。これを硬化させることで低屈折率部4が形成されます。

3.光吸収剤含有樹脂材料の充填
図5(c)に示すように、光吸収剤を含有する樹脂材料50を突条3A上に塗布し、スキージングで溝部21に充填します。これを硬化させることで光吸収部5が形成されます(図5(d)参照)。マイクロインクジェット印刷による塗布も可能です。

【図5】

4.その他の形成方法と変形例
図7に示す第1の変形例では、低屈折率部4を空気層としています。これは、垂直面31に一時的にシール材料を成膜し、溝部を光吸収材料で充填・硬化させた後にシール材料を除去することで、垂直面と光吸収部の間に空気の隙間(低屈折率部)を形成する方法です。

【図7】

図8(a)に示す第2の変形例では、複数の突条3A間の溝部21に、略球状の光吸収粒子5sを充填します。図8(b)で拡大して示されているように、光吸収粒子5sと垂直面31の間に多数の隙間(空気)が存在するため、この隙間が低屈折率部4として機能します。

【図8】

図9に示す第3の変形例では、複数の突条3Aを一括して覆う透明パネル6を設け、その透明パネル6のうち溝部21と対向する領域に光吸収部5を形成します。この方法では、溝部21と透明パネル6上の光吸収部5に囲まれた空間が低屈折率部4となり、実質的に2次元的に光吸収部を形成できるため、簡易に製造できます。

【図9】

図10に示す第4の変形例は、第3の変形例のさらなる変形であり、光吸収部5が透明パネル6ではなく、第1光学パネル1Aの頭頂面35上に載置された第2光学パネル1Bに設けられています。この配置でも、迷光の抑制とコントラスト向上が期待できます。

【図10】

3.ここがポイント!

「パリティミラー®」に関するこの発明のポイントは、従来の課題であった空中映像のコントラスト低下と白ボケを解決するために、微細なスリットミラーアレイの溝部に「光吸収部」と「低屈折率部」を配置した点にあります。

これにより、以下の効果が実現されます。

まず、光吸収部によって、実鏡映像の結像に寄与しない迷光が溝部に導波されることを抑制し、立体映像のコントラストを向上させることができます。また、外部の照明光などの環境光が溝部に入射しても、光吸収部がそれをカットすることで、微細な溝部での光の乱反射を防ぎ、白ボケの発生を抑制します。光吸収部は傾斜面と接していることが好ましいとされています。

そして、低屈折率部は、スリットミラーを構成する垂直面と接するように配置され、透明材料の屈折率よりも低い屈折率の媒質で構成されることで、垂直面における全反射効率が向上し、実鏡映像を明るくすることができます。低屈折率部の媒質としては空気が最も好ましいとされています。

この構成により、鮮明で歪みのないフルカラーの空中映像を、裸眼で違和感なく見ることが可能になり、非接触UIなど多岐にわたる応用が期待されています。

4.未来予想

パリティミラー®は、様々な分野での応用が期待されています。

1.映像表示装置
図11に示すように、パリティミラー®(光学素子1)は、映像表示部13(例えば液晶ディスプレイ装置)を内蔵する箱体12の開口部11に取り付けられ、文字「A」のような映像が空中に実像として表示されます。観察者は、装置の斜め上方から覗き込むことで空中映像を視認できます。

【図11】

2.空中タッチディスプレイ「AIRIA」
パリティミラー®と液晶ディスプレイ、指位置センサーを一体化することで、何もない空中に現れる映像を指で操作できるディスプレイ装置を開発しました。これは、赤外線やカメラセンサーで指の位置をセンシングする仕組みと組み合わされることで、非接触の空中スイッチや空中タッチパネルとして機能します。

3.感染対策と衛生的なUI
不特定多数の人が触れるトイレのリモコンや、手が汚れた状態で操作する工場設備、料理家電などで、衛生的な非接触スイッチとしての利用が見込まれています。

4.販売促進ツールやイベント演出
鮮明で歪みのない空中映像は目を引き、販売促進やイベントでの集客に効果的です。

5.拡張現実(AR)の実現
実物体と空中映像を重ねて表示できるため、特殊なデバイスなしにAR(拡張現実)を現実世界で表現することが可能になります。これはSF映画のような世界の実現に貢献すると考えられています。

権利概要

発明の名称光学素子及びそれを用いた映像表示装置
優先権JP2018017642A
公開番号JP2019133110A
特許番号JP6837668B2
優先日2018年2月2日
公開日2019年8月8日
登録日2021年3月3日
審査請求日2019年10月9日
出願人株式会社パリティ・イノベーションズ
発明者前田 有希
前川 聡
国際特許分類(IPC) G02B 30/60
G02B  5/00
G02B  5/08

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