【祝入学】学生起業で使える大学の開放特許


月間特許トレンドウォッチ

最近では大学発ベンチャーが増加傾向にあり、学生起業を目指す大学生も多いのではないでしょうか?

日本国内の大学発ベンチャーおよび学生起業は、2020年から2024年にかけて大きく増加し、多様なジャンルで活発化しています。大学発ベンチャーの数は年々増加しており、2023年には過去最高の4,288社に達しました。

また、学生起業も活発化しており、大学発ベンチャー全体の約27%が「学生ベンチャー」とされています。これは、現役の学生が関与するベンチャーの増加を示しています。 これらのデータから、2020年から2024年にかけて、日本の大学発ベンチャーおよび学生起業は着実に増加し、多様な分野での活躍が期待されています。

大学発ベンチャーの数の推移

年度企業数増加数
2020年2,905社-
2021年3,305社+400社
2022年3,782社+477社
2023年4,288社+506社

(※2023年のデータは2023年10月末時点の速報値)

大学発ベンチャーの事業分野は多岐にわたりますが、特に以下の分野が多く見られ、研究成果と学生のモチベーションが上手く重なることでイノベーションが生まれやすいと考えられます。

・IT(アプリケーション、ソフトウェア):近年、最も多い分野となっています。
・バイオ・ヘルスケア・医療機器:これまで最多だった分野であり、引き続き多くのベンチャーが存在します。
これらの分野は、技術革新や社会的ニーズの高まりにより、特に注目されています。

さらに、大学別に見ると、以下の大学が多くのベンチャーを輩出しています

大学別のベンチャー数

大学企業数増加数
東京大学420社+50社
慶應義塾大学291社+55社
京都大学273社+9社
大阪大学252社+61社
筑波大学236社+19社

東大を筆頭に最近では慶應義塾大学や大阪大学などの私立大学の躍進が目立ちます。


技術活用による新規事業提案システム

解説

このシステムは、ある企業が出願した知的財産が非競合他企業の出願した知的財産の先行技術文献として引用された場合、その情報を利用して非競合他企業から新規事業の有力候補を抽出します。さらに、抽出された有力候補の技術範囲から、その企業が有する技術の特徴を分析し、一の企業が優位に立てる技術範囲を特定します。その結果、企業の強みとなる技術範囲を活用した新規事業分野の候補を提案することが可能となります。

つまりは、企業が保有する技術を最大限に活用し、未開拓の新規事業領域への進出をサポートするコンピュータシステムに関するものです。企業間での知的財産の先行技術文献を分析し、競合しない他企業との技術的な優位性を発見、それを基に新規事業分野を提案します。

特許活用案

  • 技術革新を志向する企業
  • 自社の技術を新しい市場に応用し、新規事業を創出したい企業に最適です。

  • 事業多角化を図る企業
  • 既存のビジネスモデルからの脱却や新市場への進出を検討している企業に有効です。

  • R&D部門
  • 研究開発成果を商業化するための新規事業案を模索する際に利用できます。

  • 戦略企画部門
  • 長期的な企業戦略の立案において、技術的な強みを生かした新規事業領域の発見に役立ちます。

権利概要

出願番号特願2020-019445
出願日2020/02/27
発明の名称新規事業提案コンピュータシステム、新規事業提案コンピュータプログラム、新規事業提案方法、新規事業提案装置
出願人/権利者学校法人金沢工業大学
公開番号特開2021-125

近接音源を優先する接話用マイクロホンアレイとその設定方法

解説

本発明は、近い音源の音を優先的に検出可能な接話用マイクロホンアレイおよびその設定方法に関するものです。複数のマイクロホンを組み合わせて使用し、各マイクロホンの感度と端子の極性を最適に設定することで、近接音源の音を優先して検出することができます。

主な構成要素と機能

  1. マイクロホンアレイ(20)
    • 複数のマイクロホン(20-1、20-2、20-3、...、20-N)の集合。比音響インピーダンスの実部および虚部に基づいて感度と端子の極性を設定。
  2. 比音響インピーダンス行列
    • マイクロホンアレイの表面における比音響インピーダンスの実部を要素とする行列と、比音響インピーダンスの虚部を要素とする行列を用いて一般化固有値問題を解き、固有値と固有ベクトルを算出。
  3. 感度および端子の極性設定
    • 固有値と固有ベクトルに基づいて、各マイクロホンの感度および端子の極性を設定し、近接音源の音を優先的に検出。

動作原理

このマイクロホンアレイは、複数のマイクロホンの感度と端子の極性を比音響インピーダンスに基づいて最適に設定することで、近接音源の音を優先的に検出します。一般化固有値問題を解くことで、各マイクロホンの最適な設定が得られ、環境雑音を効果的に排除し、クリアな音声検出を実現します。

利点

  • 近接音源の優先検出:近接音源の音を優先的に検出し、環境雑音を排除。
  • 高精度な設定:比音響インピーダンスに基づいた感度と端子の極性設定により、高精度な音声検出が可能。
  • 多用途な応用:会議システム、音声認識システム、セキュリティシステムなど、さまざまな分野で利用可能。

つまりは、複数のマイクロホンを使用し、近接音源の音を優先的に検出する新しい技術。比音響インピーダンスに基づいた感度と端子の極性設定により、環境雑音を排除し、クリアな音声を実現します。

特許活用案

  • 高精度会議システム
  • 会議システムに導入し、発言者の音声をクリアに検出し、会議の効率を向上させます。

  • 音声認識デバイス
  • 音声認識システムに組み込み、環境雑音を排除して正確な音声入力を実現します。

  • セキュリティシステム
  • セキュリティシステムに応用し、重要な音声イベントを確実に検出し、セキュリティレベルを向上させます。

権利概要

出願番号特願2021-132379
出願日0000/00/00
発明の名称接話用マイクロホンアレイ及び接話用マイクロホンアレイの設定方法
出願人/権利者学校法人 工学院大学
公開番号特開2023-026

高精度非侵襲脳機能計測装置及び方法

解説

この特許は、大脳皮質部の活動部位を高精度に計測するための非侵襲的な脳機能計測装置及び方法に関するものです。目的は、被験者に不快感を与えることなく、高精度での計測作業を容易に行うことです。

この装置は、被験者の頭皮上に配置された磁界発生手段を使用して、大脳皮質部に磁界を照射します。この磁界は、大脳皮質部の神経細胞の活動と相互作用し、その結果として変化した磁力線が帰還します。その後、頭皮上に配置された磁界検出手段を用いて、これらの磁力線の強度を計測します。この計測により、磁界が照射された部位の神経細胞の活性状態が詳細に把握されます。

この技術の利点は、侵襲的な手法を使用せずに脳の活動を高精度で計測できる点にあります。これにより、神経科学の研究や脳機能の診断において、より正確で安全な方法を提供します。特に、脳波やfMRIなどの既存の計測手法に比べて、被験者に不快感を与えることなく、よりリアルタイムでの計測が可能になることが期待されます。

この特許内容は、脳の活動を計測する新しいアプローチを提供し、脳科学の分野において重要な進歩を意味します。医療、研究、さらには脳コンピュータインタフェースなどの分野において応用される可能性があり、非侵襲的かつ高精度な脳機能計測の新たな道を切り開くものです。

つまりは、特定の脳部位への磁界照射とその反応の精密な検出により、脳の活動状態を非侵襲で計測する高精度な脳機能計測装置及び方法に関する。この技術は、磁界の方向と強度を変更可能な電磁石を使用し、脳皮質部の活動状態を反映した信号を検出することで、脳の活動をより詳細に理解することを可能にする。

特許活用案

  • 神経疾患の診断支援
  • この装置を使用して、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病などの神経疾患の診断に役立てることができます。特に、早期発見や病状の進行度をモニタリングするために活用できるでしょう。

  • 認知機能の研究
  • 認知科学の分野で、記憶、注意、言語理解などの認知プロセスを研究する際に使用できます。被験者にストレスを与えずに脳の活動を詳細に観察できるため、認知機能の理解を深めるのに役立ちます。

  • 脳コンピュータインターフェース(BCI)の開発
  • この技術を用いて、脳波を利用したインターフェースの開発に貢献できます。例えば、障害を持つ人々が脳波を介してコンピューターや機械を操作するシステムの開発などが考えられます。

  • 精神疾患の治療と研究
  • 精神疾患の治療法や薬物の効果をモニタリングするために使用できます。また、うつ病や統合失調症などの疾患に関連する脳の特定領域の活動を詳細に調査することも可能です。

  • 教育と学習の最適化
  • 教育分野での応用も考えられます。学習時の脳の活動を計測し、個々の学習スタイルや効率的な教育方法を研究するために利用できます。また、特定の学習障害を持つ児童に対するカスタマイズされた教育プログラムの開発にも役立つでしょう。

権利概要

出願番号特願2019-189092
出願日2019/10/16
発明の名称脳機能計測装置及び脳機能計測方法
出願人/権利者公立大学法人広島市立大学
公開番号 特開2021-62
登録番号特許第7401046

その他にも様々な大学が企業の開放特許がIP MARKETで探せます!


Latest Posts 新着記事

知財分析に地殻変動:Patentfieldが中韓データ標準化を実現

はじめに 企業がグローバル市場で競争力を維持・強化するうえで、知的財産(IP:Intellectual Property)の戦略的な活用は欠かせません。特許情報の分析は、新たな事業機会の発見、研究開発の方向性決定、競合の動向把握など、多様な意思決定の根拠となります。その中で、知財分析プラットフォームとして多くの企業や研究機関に支持されてきた「Patentfield(パテントフィールド)」が、このた...

iPhoneの次はこれ?アップルが仕掛けるAIウェアラブル革命

2025年5月、米Apple(アップル)が出願した新しい特許資料が公開され、テック業界やウェアラブル技術の未来に関心を持つ多くの人々の間で話題となっている。その内容は、従来のスマートウォッチやARグラスの枠を超える、まさに「身体拡張」と呼ぶにふさわしい次世代のAIウェアラブルデバイスに関するものだった。 本稿では、特許から読み取れるデバイスの可能性、他社動向との比較、そしてアップルが目指すであろう...

エーザイ、レンビマ特許訴訟に勝訴 知財強化で収益基盤を防衛

2024年3月、日本の製薬大手エーザイ株式会社は、同社が開発・販売する抗がん剤「レンビマ(一般名:レンバチニブ)」に関する米国での特許侵害訴訟において、インドの大手後発医薬品メーカーであるサン・ファーマシューティカル・インダストリーズ(Sun Pharmaceutical Industries Ltd.)との間で和解に至ったことを発表した。この訴訟での勝訴は、単なる一製薬企業の勝利にとどまらず、国...

「宇宙旅行OS」が誕生──スペースデータ、次世代ステーション統合特許を取得

2025年、宇宙ビジネスのフロンティアを牽引する日本企業「スペースデータ株式会社」が、宇宙ステーションの統合管理から宇宙旅行の予約・運用システムに至るまでを包括的にカバーする特許を取得した。これは単なる技術的成果にとどまらず、宇宙産業全体の未来像を方向づけるマイルストーンとなり得る重要な出来事である。 本コラムでは、スペースデータ社の取得した特許の概要、技術的・社会的な意義、そしてそこから見えてく...

ステランティス、ブラジルで特許出願急増 3倍増で革新の最前線へ

2024年、ステランティスはブラジルにおいて目覚ましい成果を収めた。特許出願数が前年比で3倍に達し、国内企業としては第3位という快挙を成し遂げたのである。これは単なる数字の増加ではなく、同社が南米、特にブラジルを次世代モビリティの技術革新の中核と位置づけ、グローバルな戦略拠点として本格的に機能させ始めていることを示す重要な指標だ。 ブラジルでの研究開発強化 ステランティスが急速に特許出願数を増やし...

知財リノベーション:老舗企業に求められる特許戦略の転換

はじめに:増え続ける「数」の先にあるもの 日本は長年にわたり、技術立国として数多くの特許を生み出してきた。特に1980年代から1990年代にかけては「知財大国」として世界を牽引していたが、21世紀に入り、特許出願件数が急増する一方で、その“質”への懸念が深まっている。いま、企業は単なる特許の“数”ではなく、社会的価値や経済的インパクトを持つ“質”を問われる時代に突入しているのだ。 この流れの中で、...

知財戦略の先に未来がある ― IT企業の特許から見る国際競争力

近年、IT業界のグローバル競争は激化の一途をたどっている。GAFAを筆頭に、中国BAT(Baidu, Alibaba, Tencent)や新興のスタートアップが覇権を争う中、各社がグローバル市場での競争優位を築くために重視しているのが「知的財産」、特に「特許」である。特許は単なる技術の保護にとどまらず、国際戦略の可視化、競合排除、M&Aの交渉材料としても機能する。各社がどの分野にどのような...

ジェネリックに逆風?東レ新薬が特許侵害で沢井製薬に大勝利

2025年5月、知的財産高等裁判所(知財高裁)は、東レ株式会社が起こした特許権侵害訴訟において、沢井製薬株式会社をはじめとするジェネリック医薬品メーカーに対して、217億円の損害賠償を命じる判決を下した。このニュースは製薬業界関係者を驚かせるとともに、日本の知財制度と医薬品政策のあり方について、改めて深い議論を呼び起こす契機となっている。 本稿では、この判決の背景、判決が意味するもの、そして今後の...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

中小企業 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る