流行中のキャンプ市場は「体験」型マーケティングが鍵!



3月ですね!年々桜の開花が早まって今年は東京が3月25日、大阪が30日と気象庁が開花予想を発表していよいよ春本番!です。でも、コロナ禍で以前とはちょっと違った春気分な感じになりそうです。

春といえばプロ野球と共にキャンプシーズンの開幕ですね。わたしも三菱パジェロが人気の第一次キャンプブーム頃キャンプにハマっていました……。業界的にはこの時期はアウトドアイベントが目白押しで各アウトドアブランドが新商品を発表する時期でもあるのでキャンプ全体が盛り上がるシーズンです。

アウトドア業界は新型コロナウイルスの影響によって多くの個人消費の業界がダメージを負うなか、むしろコロナ禍が追い風となり活況を呈しています。矢野経済研究所の調査によると、2020年の国内アウトドア用品・施設・レンタル市場規模は約3,000憶円としていますが2024年には5.3%の成長を予想しています。

コロナ禍で盛り上がるアウトドア業界の「キャンプ」は、家族でも少人数でもソロでも楽しめる“新しいライフスタイルでの安心・安全なレジャー”として好調に推移して今後も伸びが予想されている。

業界的にはキャンプの他にも、若者・女性の間でも人気拡大中の「釣り」、「スポーツ自転車」、「ゴルフ」が活況で、今後もコロナ禍による外出制限や在宅勤務の普及・拡大による運動不足の解消といったニーズが強く残るとみられ、また3密を避けやすいこれらアウトドア市場は食事やカラオケに代わる選択肢として今後も緩やかに拡大が予想され、車業界、アパレル業界など関連業界への広がりも含めて目が離せないですね。

その最近のアウトドアブームの業界で注目している企業が株式会社スノーピーク(東証一部 本社:新潟県三条市 代表取締役社長:山井梨沙)です。主力事業は、キャンプ用品を主としたアウトドア製品、アパレル製品等の開発・製造・販売事業。自社ブランド「snow peak」で野外における衣食住の製品を幅広く展開している。 ここのところのキャンプ人気を追い風に、業績好調が続いておりここ10年で売上を6倍にし、2021年12月には257憶円の売上となっている。時価総額は、2018年12月は約200憶円だったところ、2021年12月には1,200億円台に到達し、約3年間で時価総額を6倍以上に成長させている。

スノーピークは、登山愛好家でもあった創業者の山井幸雄氏が金物問屋を立ち上げた際に、当時の道具に満足できず『本当に欲しいものを自分でつくる』という志の下、オリジナルの登山用品を開発したことに始まっているそうで、一人で企画・開発を行い、自らの足で工場を探して試作。その試作品を片手に営業をかけて量産までこぎつけた。この精神が今も根付いており、現在も開発の担当者は、アイデア出しから製品が量産されるまでの工程を全て一人で行っている。

広大なキャンプ場内に建てられたスノーピークの本社

商標登録は、1963年に登録された『Snow Peak 』のロゴが始まりで、会社名や製品名、ブランド名、アウトドア関連ワード、たとえば「さくらんぼ」「タキビ」「野遊び」などの普通名称も含め多くの商標登録している。また、特許や意匠、商標をマーケティング戦略の柱のひとつにするなどの知財戦略に長けているのも、高品質で高価格のポジショニングで急成長のおおきな要因と言える。

とにかく、スノーピークの商品はアイデア(特許)あふれる高機能で「カッコイイ」!その機能の向こうに「体験」が感じられる。まさしく「商品ありき」の典型的な成長事例ではないだろうか。

たとえばそのひとつ「ヤエンストーブ ナギ」。従来、コンパクトストーブは軽量化を重視するあまり安定性が疎かになり、強風や接触で倒れてしまうことがあった、コンパクト故に風防が簡素になり風に弱点のものが多かったが、そんな悩みを解決したのがこの発明だ。特開2016-17706(P2016-17706A)

また、現在の焚き火ブームの火付け役となった、地面を痛めない「焚き火台」はスノーピークの代表的商品で25年間変わらぬ人気だ。2021年には2021年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)でこの「焚火台」が「ロングライフデザイン賞」に選出されている。


1996年の発売から25年。直火の常識を覆した「焚火台」はマナーとなりルールとなった。

スノーピークの商品はもちろんECでも手に入れることができるが、もうひとつの成長の柱の「販売力」だが、それは徹底した「体験」重視のマーケティングだ。その具体的な展開は各地でスノーピーク主催のイベントを定期的に開催しているのもそのひとつだ。アウトドアブランドだからできる活動で、直接ユーザーと関わることによって販売、ブランド認知に繋げる。

さらにスノーピークの売り場は直営店はもちろん、どの売り場にも必ずスノーピークのスタッフまたはマイスターが常駐しているという。まさしくプロの目線でアドバイスを受けることによる「体験」を届けている。ここでも、アイデア出しから製品の量産・販売までの行程をひとりで行う創業者の精神が生きているのがスゴイ。成長にはちゃんとした理由がある。

マーケティングは商品力×販売力。まずは商品(この場合、モノではなく体験)ありきでアイデア(意匠)と高機能・高品質と優れたプロダクトデザインで市場のポジショニングをとことん明確にする。それによって広告宣伝に頼らなくても市場の位置取りは出来るというものだ。さらに運とか、時代の風を受ければ最強のブランドになる。もう、規模を追う時代ではない。ましてIT関連ではなくものづくりの業界では。


ライター

渡部茂夫

SHIGEO WATANABE

マーケティングデザイナー、team-Aプロジェクト代表

通販大手千趣会、東京テレビランドを経て2006年独立、“販売と商品の相性” を目線に幅広くダイレクトマーケティングソリューション業務・コンサルティングに従事。 通販業界はもとより広く流通業界及びその周辺分野に広いネットワークを持つ。6次産業化プランナー、機能性表示食品届出指導員。通販検定テキスト、ネットメディアなどの執筆を行う。トレッキングと食べ歩き・ワインが趣味。岡山県生まれ。




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