スマートクローゼット


スマートクローゼット

おしゃれコーデ

今日は何着よう?からの解放

みなさんは、毎日コーディネートを考えるのにどのくらい時間をかけているでしょうか。
働き方改革の流れもあって、会社員の方でもスーツから私服勤務へと変わり、ファッションへ気を使う必要が出てきた方もいるかもしれません。
とはいえ、毎朝ただでさえ忙しい出勤前の準備時間に、コーディネートを意識して着る服を決めるのはストレスに感じる方も多いでしょう。
しかもコーディネートが決まらないと、その日1日は気分があまり乗りませんよね。
そんな悩む時間や労力を嫌って、Appleのスティーブ・ジョブズやFaceBookのマーク・ザッカーバーグが同じ服を着るという話は有名です。
ただ、われわれが実際に毎日同じ服を着ていくというのは、やはり抵抗感があります。
この悩みを解決してくれるのが、今回紹介する発明「スマートクローゼット」です。
スマートクローゼットは、登録したあなたのファッションアイテムから最適なコーディネートを機械学習で提案してくれます。 日常生活を少し未来に変える特許を紹介します。

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■発明のポイント

本発明は、バーチャル評価システムおよびプログラム、いわゆるAI領域の機械学習に関するものとなっています。
具体的には、選んだファッションアイテムに合うファッションアイテムをバーチャル評価システムが予測して提案する、という発明です。
本発明で画期的なポイントは、これまでの一般的な機械学習とは異なる手法とったことで、正確性の高い予測をより低コストで実現できるところでしょう。

機械学習はある入力値に対して、プログラムやアルゴリズムで評価を行い予測値を返します。
今回の発明の特許範囲は、まさにこのプログラムやアルゴリズムなわけですが、一般的に機械学習の正確性を高めるためには踏むステップは次のとおりです。
ある評価基準をベースにプログラムやアルゴリズムを構築し、大量の教師データを学習させて数値化させます。
そして、入力値に対する予測値の返すロジックを決定、ユーザからのフィードバックでさらに学習し練度を高めるという流れです。
しかし、このような機械学習の手法には次の2つの課題がありました。

● ベースとなる評価基準は扱うアイテムのプロ目線で決められることが多いが、人のバイアスなのでバラツキが発生して正確性に欠ける
● 教師データの学習や数値化にセンシングを用いられるが、時間とコストがかかるため十分なデータ量を得るまでのハードルが高い

本発明ではこの課題を、ユーザ間の特徴量知覚の相関、つまり似た好みやセンスを持つユーザの評価基準を教師データとして適用させることで解決しました。

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バーチャル評価システムの構成は、上図のとおりユーザのアプリ操作端末と計算処理部、データベースの大きく3つです。
基本的には、アプリでユーザが決めたアイテムの特徴量と評価値をデータベースへ保存し、そのデータをもとに計算処理部で入出力の相関関係を学習するシステムを構築しています。
入出力の相関関係は、ユーザとエキスパートの入力・出力をクロス分析することで、より高い精度を実現しています。

具体的なバーチャル評価システムの流れは、次の図のとおりです。

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ユーザから推薦リクエストがあると、そのリクエスト対象アイテムに対して上図のフローが走ります。
最終的にバーチャル評価システムが予測する結果をもとに、推薦アイテムをユーザ端末へ表示される、という仕組みです。
さらに、予測の試行回数を重ねるごとに予測結果をデータベースへ蓄積、さらに予測値の精度を高めるループを形成しています。

■権利範囲

特許出願のクレーム範囲(概略)は以下の通り。
【請求項1】
以下の構成を含むホログラム再生装置
・ホログラムパターンを表示するディスプレイ
・ディスプレイの前画面に配置され、ディスプレイから放出された光を集光するマイクロレンズを含むレンズアレイを備える第1のレンズユニット
・第1のレンズユニットにて集光された光をさらに集光するマイクロレンズを含むレンズアレイを備える第2のレンズユニット
・ホログラムを描く空間光変調器(SLM)
・再生光をSLMへ誘導するための導光板
・SLMの前画面に配置され、回折光を調整するフィルター
・回折光を集光するレンズ
上記のような構成を持つホログラム再生装置は、本発明の権利範囲に含まれる可能性があり、競合他社は注意する必要がある。

■概要

発明の名称:バーチャル評価システムおよびプログラム
出願番号:特願2017-129527(P2017-129527)
登録番号:-
出願日:平成29年6月30日(2017.6.30)
公開日:平成30年1月11日(2018.1.11)
出願人:SENSY株式会社
経過情報:審査請求は未請求状態 米国へ優先権主張で出願中

<免責事由>
本解説は、主に発明の紹介を主たる目的とするもので、特許権の権利範囲(技術的範囲の解釈)に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解を示すものではありません。自社製品がこれらの技術的範囲に属するか否かについては、当社は一切の責任を負いません。技術的範囲の解釈に関する見解及び発明の要旨認定に関する見解については、特許(知的財産)の専門家であるお近くの弁理士にご相談ください。

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