韓国大手企業によるAI特許登録、今年3倍以上に増加


韓国の大手企業による人工知能(AI)関連の特許登録件数が急増していることが明らかになりました。地元の調査機関であるCEOスコアの調査によると、2024年7月時点で、111の大手企業が韓国特許庁に1,503件のAI特許を登録しており、昨年の403件から273%の増加を記録しました。この急増は、AI技術の重要性が高まっている中、各企業が積極的に知的財産権の確保を進めていることを示しています。

サムスン電子が387件のAI特許登録でトップに立っており、続いてLG電子が154件、ネイバーが90件、SKテレコムが78件、韓国電力が54件、ハンファシステムが52件と、主要企業がAI技術の開発において積極的に取り組んでいることがわかります。これらの企業は、AI技術を競争力の源泉と位置づけ、さまざまな分野での応用を目指しています。

AI特許の登録が増加している背景には、特に学習方法、機械学習、ディープラーニング、音声認識、ニューロモルフィック回路といった技術分野の進展があります。学習方法に関連する特許は687件、機械学習関連は567件、ディープラーニング関連は130件、音声認識関連は117件、ニューロモルフィック回路関連は81件と、これらの分野が特に注目されています。

韓国全体でのAI特許登録総数も急激に増加しており、2014年のわずか18件から、2023年には4,559件にまで達しました。これは9年間で253倍の増加を意味しており、韓国がAI技術の開発と保護において急速に進化していることを示しています。

また、大学や研究機関もAI技術の開発において重要な役割を果たしています。韓国科学技術院(KAIST)が349件、ソウル国立大学が336件、延世大学が287件のAI特許を保有しており、これらの教育機関が技術革新を推進する一翼を担っています。

このように、韓国におけるAI特許の増加は、技術競争がますます激化する中で、企業や研究機関が知的財産の確保と技術の独占を目指していることを反映しています。特に大手企業が主導する形で、AI技術の開発が進展しており、韓国はAI分野における世界的なリーダーシップを強化し続けています。

今後も、AI技術の進化とともに、特許登録の動向に注目が集まるでしょう。韓国の企業や研究機関がどのようにしてAI技術を活用し、グローバル市場での競争力を維持していくのか、その動向が注目されます。


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