2023年度省エネ大賞、 特許取得の『省エネ型ヒートポンプ式低温蒸発装置』が省エネルギーセンター会長賞受賞


木村化工機株式会社(本社:兵庫県尼崎市 代表:小林康眞)はコベルコ・コンプレッサ株式会社と共同で、『省エネ型ヒートポンプ式 低温蒸発装置』が一般財団法人省エネルギーセンター主催の「省エネ大賞 製品・ビジネスモデル部門 省エネルギーセンター会長賞」を受賞したと、23年12月18日プレスリリースで公表した。

本製品は従来の蒸気式蒸発装置と比べて、一次エネルギーを約7割削減、CO2排出量を約8割削減する装置で、その高い省エネ性と環境対策へ寄与することが高く評価された。同社にとっては、平成29年度 省エネ大賞の省エネ事例部門における経済産業大臣賞(産業分野)を受賞した「メタノール蒸留工程における廃熱を活用した省エネルギーの取り組み」以来の2度目の受賞となった。

同社では、従来の蒸発装置がボイラ蒸気で加熱し、その熱エネルギーはコンデンサの冷却水を通して冷却塔から放出していたそれに対して、本製品は、装置から排出される低温熱をヒートポンプが回収し、エネルギーとして再利用するもので、ボイラ蒸気を使用せずに100%電力で蒸発するためCO2排出削減が期待でき、さらに、ヒートポンプにチラ―を導入することで、15℃~45℃の低温蒸発を高加熱COP※1(COP7.5)で実現している。

これにより、一次エネルギー削減率およびCO2排出削減率が大きな値となり、省エネ性が高く、脱炭素にも貢献できる装置を実現している。また、ヒータの温度差をより小さくするためヒートアップが無い液膜降下型を採用し熱伝導性を高めるとともに、滅菌・洗浄もしやすく衛生的な蒸発装置とした点が今回評価された。

期待される用途として、
①味・香りや品質・安全性の向上
・食品中のタンパク質(酵素)の変性を防ぐ
・食品成分の化学反応の抑制、熱的に不安定な物質の保護(人体への悪影響の回避)

②新製品開発
・温度に敏感な酵素などの濃縮
・低温でしか抽出できない成分の濃縮

などとされ、2021年2月から販売開始以来2022年3月に特許を取得し、同様の製品を3件納入しているが、今後の需要を勘案し幅広い型式をラインナップし改めて拡販を強化するとしている。

特許概要

【特許番号】特許第7044458号(P7044458)
【登録日】令和4年3月22日(2022.3.22)
【発明の名称】濃縮装置
【特許権者】 【氏名又は名称】木村化工機株式会社
【発明者】 【氏名】立野 隆彦 【氏名】池田 博史 【氏名】笹辺 慶

【要約】
【課題】被処理液の種類や装置構成に制約を受けることが少なく、かつ、効率よく濃縮装置全体の熱バランスをとることが可能で、省エネルギー性に優れた濃縮装置を提供する。
【解決手段】被処理液を第1の熱媒により加熱して低沸点成分蒸気を発生させる加熱部1と、低沸点成分蒸気から腐食性成分などの所定の成分を分離する蒸留塔11と、蒸留塔の塔頂ベーパを、第2の熱媒により冷却して凝縮させる凝縮部21と、加熱部で使用された第1の熱媒の昇温と、凝縮部で使用された第2の熱媒の冷却を行うヒートポンプHPと、系内の真空度を調整する真空発生手段31とを備え、系内の真空度を調整することで、蒸留塔の塔底液および塔頂ベーパの温度を制御して、ヒートポンプで昇温されて加熱部に供給される第1の熱媒の温度が、ヒートポンプで冷却され、凝縮部に供給される第2の熱媒の温度より、15℃以上40℃以下の範囲で高い温度となるように構成する。


Latest Posts 新着記事

連邦政府が大学の特許収入を狙う トランプ政権の新方針が波紋

はじめに 米国の大学は、研究開発活動を通じて得られる特許収入を重要な財源としてきました。大学の特許収入は、新しい技術の商業化やスタートアップ企業の設立に活用され、イノベーションの促進に直結しています。しかし、トランプ政権下で、連邦政府が大学の特許収入の一部を請求する方針が検討されており、大学の研究活動やベンチャー企業の育成に対する影響が懸念されています。 特に米国は、大学発ベンチャーの育成や産学連...

脱石炭から技術輸出へ:中国が描くクリーンエネルギーの未来

21世紀に入り、世界各国が環境問題やエネルギー安全保障への対応を迫られるなか、中国はクリーンエネルギー分野で急速に存在感を高めてきた。とりわけ再生可能エネルギー技術、電気自動車(EV)、蓄電池、送配電網、そしてグリーン水素などの分野において、中国は「追随者」から「先行するイノベーター」へと変貌を遂げつつある。なぜ中国が短期間でこのような飛躍を実現できたのか。その背景には、国家戦略、産業政策、市場規...

世界のAI特許6割を握る中国 5G・クラウドを基盤に国際競争を主導

近年、中国はデジタル経済の拡大と技術革新を国家戦略の中核に据え、AIや5G、クラウド、データセンターといった基盤技術において世界を牽引する存在となっている。その象徴的な事実として注目されるのが、人工知能(AI)に関する特許出願件数である。国際特許機関の最新統計によれば、中国からのAI関連特許は世界全体の約6割を占め、米国や欧州、日本を大きく上回る圧倒的なシェアを記録している。 本稿では、中国がいか...

AgeTech知財基盤を強化――パテントアンブレラ(TM)が累計41件出願、AI特許も追加

高齢社会の進展に伴い、健康維持、生活支援、介護軽減を目的としたテクノロジー領域「AgeTech(エイジテック)」への注目がかつてないほど高まっている。その中で、知的財産を軸に事業競争力を高める取り組みが活発化しており、今回、独自の「パテントアンブレラ(TM)」戦略を進める企業が、AI関連特許を含む29件の新規出願を追加し、累計41件の特許出願を完了したと発表した。これにより、類型141件の機能をカ...

フォシーガGE、特許の壁を突破 沢井・T’sファーマの挑戦

2025年9月、日本の医薬品市場において大きな話題を呼んでいるのが、SGLT2阻害薬「フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)」の後発医薬品(GE、ジェネリック)の登場である。糖尿病治療薬の中でも売上規模が大きく、近年では慢性腎臓病や心不全の領域にも適応拡大が進んだフォシーガは、アストラゼネカの主力製品のひとつである。その特許の“牙城”を突破し、ジェネリック医薬品の承認を獲得したのが沢井製薬とT&#...

電池特許はCATLだけじゃない――AI冷却から宇宙利用まで、注目5大トピック

近年、知的財産の世界では、特定の企業やテーマに関心が集中しやすい傾向がある。中国・CATLの電池特許戦略や、AIをいかに効率的に冷却するかといったテーマは、テクノロジー産業の今を象徴するキーワードだ。しかし同時に、その裏側には見落とされがちな知財動向や、将来を左右しかねない新しい潮流が潜んでいる。本稿では、「電池特許CATL以外にも」「特集AIを冷やせ」を含め、いま注目すべき5本のトピックを整理し...

バックオフィス改革へ ミライAI、電話取次自動化で特許取得

AI技術の進化が加速するなか、企業のバックオフィスや顧客対応の現場では「省人化」「自動化」をキーワードとした取り組みが急速に広がっている。その中で、AIソリューションを展開するミライAI株式会社は、従来の電話取次業務を人手に頼ることなく「完全無人化」するための技術を開発し、特許を取得したと発表した。この技術は、音声認識・自然言語処理・対話制御を組み合わせ、従来課題とされてきた「誤認識」「取次精度の...

技術から収益化へ――河西長官が訴える“知財活用”の新ステージ

特許庁の河西長官は、来る9月10日に開幕する「知財・情報&コンファレンス」を前に記者団の取材に応じ、日本経済の競争力強化における知的財産の役割を改めて強調した。長官は「日本は技術とアイデアを数多く持ちながら、それを十分に事業化や収益化につなげきれていない。知財で稼ぐ政策を実現することが不可欠だ」と語り、特許庁としても産業界と連携し、知財活用の裾野を広げる方針を示した。 ■ 知財立国から「稼ぐ知財立...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る