クロネコヤマトの長年使用のロゴマーク変更から商標登録について考える

クロネコヤマトの長年使用のロゴマーク変更から商標登録について考える


ヤマトホールディングスは2021年3月1日、新しい企業シンボルマーク「クロネコマーク」と、新たな価値提供を象徴するという「アドバンスマーク」を2021年4月1日より使用開始すると発表した。旧クロネコマークは、1957年の制定以来64年間使用され続けており、今回、初のデザイン変更となる。

新クロネコマーク


アドバンスマーク

企業も生き物、ロゴマークの変更からは、会社のブランディングとかイメージチェンジとか経営戦略の刷新など、経営陣のいろいろな思案が伺える。デザインを変え過ぎると長年積み重ねてきたブランドイメージが崩れかねないし、そのバランスも難しいところだ。

今回のロゴマークの変更に伴う商標登録については、タイトル画像で既に明らかなように、2020年の11月5日にアドバンスマーク等と共に既に出願されいまは審査待ち状態だ。

今回のように重要な商標を発表する時には、第三者による出願を防ぐために、発表前に商標登録出願しておくことが鉄則となるが、出願の後先は時刻ではなく日付で判断されるので、前日までに出願しておく必要がある。

また、ゲームのタイトルとか車のニューモデルのように発表前にネタバレしたくない商標については、あまり早く出願してしまうと、発表前に特許庁から出願が公開されるので、発表の数日前あたりに出願しておくことがおおい。今回のケースは、発表よりずいぶん前に出願公開されていたが、その時は、単なるロゴのバリエーションで、まさか全面刷新とは思わず騒ぐ人がいなかったということのようだ。

余談だが、ヤマトと商標と言えば「宅急便」がヤマト運輸の登録商標であることを、「魔女の宅急便」の作者が知らずにタイトルに使ってしまった話は有名なところ(一般名称は「宅配便」)だが、この件は、映画化の際にヤマト運輸が正式なスポンサー契約を締結するなどしてうまく収まっている。

ロゴマークの変更の度合によっては、旧ロゴマークの商標登録だけでも問題ない場合もあるが、商標管理の手間を考えた場合、新ロゴマークを商標登録し、旧ロゴマークは存続期間の満期と共に更新しないという判断が順当なようだ。

【引用・参照】
https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20210302-00225369/
https://note.com/yu_uchikoshi/n/n3993e7e0aebf
https://www.yamato-hd.co.jp/news/2020/20210301.html


Latest Posts 新着記事

「しなやかでタフ」なカルコパイライト太陽電池の進化戦略

はじめに 太陽光パネルといえば、重くて硬いシリコン製を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし今、次世代技術として「カルコパイライト太陽電池」が静かにその存在感を高めています。 「曲がる太陽電池」カルコパイライトとは? カルコパイライト太陽電池は、銅(C)、インジウム(I)、ガリウム(G)、セレン(S)などを原料とする化合物系の薄膜太陽電池です。これらの構成元素の頭文字をとって「CIGS(シグス)」と...

連邦政府が大学の特許収入を狙う トランプ政権の新方針が波紋

はじめに 米国の大学は、研究開発活動を通じて得られる特許収入を重要な財源としてきました。大学の特許収入は、新しい技術の商業化やスタートアップ企業の設立に活用され、イノベーションの促進に直結しています。しかし、トランプ政権下で、連邦政府が大学の特許収入の一部を請求する方針が検討されており、大学の研究活動やベンチャー企業の育成に対する影響が懸念されています。 特に米国は、大学発ベンチャーの育成や産学連...

脱石炭から技術輸出へ:中国が描くクリーンエネルギーの未来

21世紀に入り、世界各国が環境問題やエネルギー安全保障への対応を迫られるなか、中国はクリーンエネルギー分野で急速に存在感を高めてきた。とりわけ再生可能エネルギー技術、電気自動車(EV)、蓄電池、送配電網、そしてグリーン水素などの分野において、中国は「追随者」から「先行するイノベーター」へと変貌を遂げつつある。なぜ中国が短期間でこのような飛躍を実現できたのか。その背景には、国家戦略、産業政策、市場規...

世界のAI特許6割を握る中国 5G・クラウドを基盤に国際競争を主導

近年、中国はデジタル経済の拡大と技術革新を国家戦略の中核に据え、AIや5G、クラウド、データセンターといった基盤技術において世界を牽引する存在となっている。その象徴的な事実として注目されるのが、人工知能(AI)に関する特許出願件数である。国際特許機関の最新統計によれば、中国からのAI関連特許は世界全体の約6割を占め、米国や欧州、日本を大きく上回る圧倒的なシェアを記録している。 本稿では、中国がいか...

AgeTech知財基盤を強化――パテントアンブレラ(TM)が累計41件出願、AI特許も追加

高齢社会の進展に伴い、健康維持、生活支援、介護軽減を目的としたテクノロジー領域「AgeTech(エイジテック)」への注目がかつてないほど高まっている。その中で、知的財産を軸に事業競争力を高める取り組みが活発化しており、今回、独自の「パテントアンブレラ(TM)」戦略を進める企業が、AI関連特許を含む29件の新規出願を追加し、累計41件の特許出願を完了したと発表した。これにより、類型141件の機能をカ...

フォシーガGE、特許の壁を突破 沢井・T’sファーマの挑戦

2025年9月、日本の医薬品市場において大きな話題を呼んでいるのが、SGLT2阻害薬「フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)」の後発医薬品(GE、ジェネリック)の登場である。糖尿病治療薬の中でも売上規模が大きく、近年では慢性腎臓病や心不全の領域にも適応拡大が進んだフォシーガは、アストラゼネカの主力製品のひとつである。その特許の“牙城”を突破し、ジェネリック医薬品の承認を獲得したのが沢井製薬とT&#...

電池特許はCATLだけじゃない――AI冷却から宇宙利用まで、注目5大トピック

近年、知的財産の世界では、特定の企業やテーマに関心が集中しやすい傾向がある。中国・CATLの電池特許戦略や、AIをいかに効率的に冷却するかといったテーマは、テクノロジー産業の今を象徴するキーワードだ。しかし同時に、その裏側には見落とされがちな知財動向や、将来を左右しかねない新しい潮流が潜んでいる。本稿では、「電池特許CATL以外にも」「特集AIを冷やせ」を含め、いま注目すべき5本のトピックを整理し...

バックオフィス改革へ ミライAI、電話取次自動化で特許取得

AI技術の進化が加速するなか、企業のバックオフィスや顧客対応の現場では「省人化」「自動化」をキーワードとした取り組みが急速に広がっている。その中で、AIソリューションを展開するミライAI株式会社は、従来の電話取次業務を人手に頼ることなく「完全無人化」するための技術を開発し、特許を取得したと発表した。この技術は、音声認識・自然言語処理・対話制御を組み合わせ、従来課題とされてきた「誤認識」「取次精度の...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

海外発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る