群馬県安中市、ドローン配送の実証実験を実施~地域課題の解決に新スマート物流の構築に向けて


安中市(市長:岩井 均)と、セイノーホールディングス株式会社(本社:岐阜県大垣市 代表:田口 義隆、以下セイノーHD)、株式会社エアロネクスト(本社:東京都渋谷区 代表:田路圭輔、以下エアロネクスト)は、2月8日(水)に、安中市内の複数地域において、10年後、20年後の未来を見据えた地域課題の解決に貢献する新スマート物流*1の構築に向けたドローン配送の実証実験をしたと23年2月10日エアロネクストがプレスリリースで公表した。

本実証実験は、昨年10月4日に安中市、セイノーHD、エアロネクストの3者が締結した、ドローンを含む次世代高度技術活用により地域課題の解決に貢献する新スマート物流の構築に向けた包括連携協定に基づく第一弾であり、国土交通省の「CO2削減に資する無人航空機等を活用した配送実用化推進調査事業」を活用した取組みだとしている。

具体的には、セイノーHDとエアロネクストが開発推進するドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流”SkyHub®*2 “の社会実装に向けて実施するもので、地域自主組織や地元事業者と連携し、買物弱者、医療弱者等の社会課題の解決のための様々な用途活用やビジネス採算性の検討を目的に、貨客混載やオンライン診療を組み込みながら、小学校、ゴルフ場、病院の3カ所を結ぶ複数ルートを農産物、フード、処方薬等、常時積み荷を空にすることのない一連のチェーンドローン配送飛行(全てのルートがレベル3飛行)を実施した。

背景と目的

群馬県安中市は、人口は平成12年(2000年)の64,893人をピークに減少し続け、現在55,163人人(2023年1月末日現在)で、少子化が進む一方、高齢化率も年々増加をしており、地区によっては6割から7割が高齢者という地区もある。市内には人口集中地区(DID地区)がないのも特徴で、市街地に人口が集中することなく、低密度に拡散した都市構造になっている。また公共交通としては乗合バス・乗合タクシー等が運行されているが、利用客が年々減少しており、公的負担が増加している現状で、高齢化が進む地域やバス路線がない地域に住んでいる人の日常の買い物や通院などの生活利便性の維持のためにも交通手段は課題となっている。

そこで、物流の最適化を目指し、ラストワンマイルの輸送手段にドローン配送を組み込み、地上輸送とドローン配送を連結、融合する新スマート物流システムの導入により、買い物代行や災害時支援、医薬品配送等を行う仕組みをつくり、課題の解決を目指す実証実験に、民間企業と行政が協働して取り組んでいる。

実施内容

地域自主組織や地元事業者と連携し、地元住民に小学校、ゴルフ場、病院間をドローン飛行で経由させ、農産物、フード、処方薬等を各場所で届けた。常時積み荷を空にすることのない運用、新幹線を活用した貨客混載、オンライン診療からの3名分の処方薬と買物代行の商品の混載や、届いた農産物を活用して調理したお弁当をドローン配送しすぐに商品として店頭陳列する、産直品の集荷・加工・納品・販売の連携など、今までにない複数の試みを実施した。

本実証後、まずは旧松井田町における新スマート物流SkyHub®の今年度の実装を推進し、今後、市の課題や市民のニーズに沿って、ドローンを含む次世代高度技術の活用により、安中市における地域の課題解決と活性化に寄与し、そして安中市より群馬県へ日本へ世界へ未来の地域モデルを発信してゆくとしている。

*1 新スマート物流
物流業界が共通に抱える人手不足、環境・エネルギー問題、DX化対応、等の課題を、デジタルやテクノロジーを活用しながら解を探究し、人々の生活に欠かせない生活基盤である物流を将来にわたって持続可能にするための官民での取り組み。ラストワンマイルの共同配送、陸送・空送のベストミックス、貨客混載、自動化技術、等々、業界内外の壁を越えたオープンパブリックプラットフォーム( O.P.P.)による共創で実現を目指す。

*2 新スマート物流SkyHub®︎
エアロネクストとセイノーホールディングス株式会社が共同で進める既存物流とドローン物流をつなぎこみ、地上と空のインフラが接続されることで、いつでもどこでもモノが届く新スマート物流のしくみ。ドローン配送が組み込まれること、共同配送を実現する、オープンプラットフォームかつ標準化したしくみであることが特徴。SkyHub®︎の導入は、物流改革という側面から人口減少、少子高齢化による労働者不足、特定過疎地の交通問題、医療問題、災害対策、物流弱者対策等、地域における社会課題の解決に貢献するとともに、住民の利便性や生活クオリティの向上による住民やコミュニティの満足度を引き上げることが可能になり、地域活性化を推進するうえでも有意義なものといえる。

*3 AirTruck
エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローンAirTruck。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY®により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機。試作機は日本各地の実証実験で飛行し日本No.1の飛行実績(試作機での2021年度国内実証実験における飛行実績において)をもつ。

*4 機体構造設計技術4D GRAVITY®
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY®特許ポートフォリオとして管理している。


【オリジナル記事・引用元・参照】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000089.000032193.html


Latest Posts 新着記事

「AFURI」vs「雨降」—ブランドと地域性が交差する商標攻防戦の結末

はじめに 2025年4月、人気ラーメンチェーン「AFURI」を展開するAFURI株式会社と、日本酒「雨降(あふり)」を展開する吉川醸造株式会社との間で繰り広げられていた商標権を巡る争いに、知的財産高等裁判所が一つの決着をもたらした。AFURI社が主張していた吉川醸造の「雨降」商標に対する無効審判請求が棄却されたことで、両者のブランドの共存可能性が示唆された形だ。 本稿では、この裁判の経緯と背景、そ...

BYD・HUAWEI・XIAOMIが描くEVの未来図:特許情報から探る勝者の条件

中国の電気自動車(BEV)産業は、急速な技術革新と政府支援を背景に、世界市場を席巻しつつある。その最前線に立つのが、BYD(比亜迪)、HUAWEI(華為)、XIAOPENG(小鵬)、NIO(蔚来)、ZEEKR(極氪)、そしてXIAOMI(小米)といった企業群である。彼らの競争力の源泉には、特許戦略に基づいた技術開発と事業戦略がある。本稿では、各社の特許情報と独自の取り組みから、その強みと潮流を読み...

ブリングアウト、複数面談のビッグデータを効率解析する技術の特許取得

人材採用における「面談」の在り方が、今、大きな転換期を迎えている。履歴書や職務経歴書といった定型情報では読み取れない人物像を、企業はより深く、多面的に把握しようとしている。そのため、1回の面談で即決するのではなく、複数の担当者による複数回の面談を通じて候補者を評価するケースが増加している。 こうした「複数面談」時代の課題は、面談記録の管理と評価の一貫性だ。面談官が異なれば、見る視点や質問の切り口、...

Samsungの特許が描く未来のXR体験:Galaxy RingとWatchで広がる操作の可能性

XR(Extended Reality)の進化は、ハードウェアの小型化や表示性能の向上だけでなく、ユーザーインターフェース(UI)の革新にこそ真価が問われている。どれほど高精細な映像を表示できたとしても、その世界を直感的に操作できなければ、ユーザー体験は限定的なものにとどまってしまう。AppleのVision Proが「視線とジェスチャー」を組み合わせた操作体系で話題を集めたのも、この直感性に焦点...

マツダとロームがGaNパワー半導体で車載部品を共同開発!その狙いとは?

2025年3月27日、マツダとロームが次世代パワー半導体「GaN(窒化ガリウム)」を用いた車載用電動駆動システム部品の共同開発を行うと発表した。このニュースは、自動車業界だけでなく、日本の製造業にとっても大きなインパクトを与えている。 電動化の潮流が加速する中で、なぜいまGaNなのか?そして、マツダとロームという異業種の企業が手を組む狙いはどこにあるのか?本稿では、両社の提携の概要を整理し、その背...

オプトエレが挑む「OCR誤読」の可視化:信頼性を高める新特許

近年、行政手続きや業務効率化の現場において「OCR(光学文字認識)」技術の導入が加速度的に進んでいる。AIを活用したOCRは、手書き書類や帳票の文字を瞬時にデジタル化し、データ化ミスを減らす要として期待されている。一方で、画像の品質や文字の崩れ具合によって誤認識が発生し、業務フローの根幹に影響を与えるリスクも見過ごせない。 こうした背景のもと、オプトエレクトロニクス(以下、オプトエレ)は、画像文字...

「知財で狩る時代」─約6,000商標を操るカプコン、IP戦略の最前線

2025年4月、株式会社カプコンが「知財功労賞」の特許庁長官表彰を受けたというニュースが、ゲーム業界内外で大きな注目を集めた。この表彰は、特許庁が毎年、知的財産の創造・保護・活用に貢献した個人や企業を称えるもの。とりわけ、カプコンは長年にわたるIP(知的財産)管理の姿勢と実績が高く評価され、今回の受賞に至った。 中でも特筆すべきは、同社が約6,000件にのぼる商標を保有している点である。これは単な...

DeepSeekの衝撃、その先にある“中国のAI戦略”とは

2024年、中国発の大規模言語モデル「DeepSeek」が登場し、AI業界に衝撃を与えた。ChatGPT-4と比較しても遜色ない性能を持ちながら、オープンソースとして公開され、誰もが利用・改良できるというその姿勢は、クローズド戦略をとる米国の主要AI企業とはまったく異なる方向性を示していた。 2025年現在、中国発AIモデルの躍進は一過性のものではなかったことが証明されつつある。DeepSeekの...

View more


Summary サマリー

View more

Ranking
Report
ランキングレポート

大学発 知財活用収益ランキング

冒頭の抜粋文章がここに2〜3行程度でここにはいります鶏卵産業用機械を製造する共和機械株式会社は、1959年に日本初の自動洗卵機を開発した会社です。国内外の顧客に向き合い、技術革新を重ね、現在では21か国でその技術が活用されていますり立ちと成功の秘訣を伺いました...

View more



タグ

Popular
Posts
人気記事


Glossary 用語集

一覧を見る