SONY(ソニー)のゲームコンパニオンロボット「HIKOEMON」の特許出願が公開

ソニー・インタラクティブエンタテインメント社(SIE社)は、米国特許商標庁(USPTO)にゲームコンパニオンロボットの特許出願を行い、2020年4月16日に当該出願が公開された(公開番号:US2020/0114520A1)。
一般的な、人と人とのコミュケーションにおいて、互いに良好な関係を構築するためには、同じもの(例えば同じテレビ番組や、同じゲームなど)を一緒に見ることによって得られる「ジョイント視聴体験」が効果的といわれており、このジョイント視聴体験を通じて、互いの親和性が増加することが知られている。
SIE社は、ユーザーと「共感」を通じてジョイント視聴体験を行えるようなロボットの利用可能性に注目してきた。ロボットとユーザーの親和性が増して、よりゲームをプレイする動機づけが得られることを期待しているという。

ロボットとユーザーとの親和性とは?

上述したロボットとユーザーとの親和性とは、例えばユーザーがプレイするゲーム
を見て、ユーザーと一緒に喜ぶ(または悲しむ)ことによって、ユーザーがゲーム
から得る感情が増強されることを意味する。さらに、ゲームだけでなく、映画、テレビ番組等については、それを単独で観た場合に比較して、ロボットと一緒に観ることで、単なるコンテンツの消費以上の効果を得ることが期待される。つまり、この発明は、ユーザーがロボットとの共同視聴体験を得ることを目的に出願されたものである。

なお、このロボットは、特許出願公開公報の中では、仮に「HIKOEMON」と命名されている。

ロボットによるユーザーの観察とフィードバック

このような目的に鑑み、HIKOEMONには感情を推定するステップ、感情を含むユーザーの内部状態(心の内面状態)を管理するステップ、HIKOEMON自身の「感情」を含む
内部状態を管理するステップ、ユーザーの感情に基づいて、HIKOEMONの内部状態とユーザーの内部状態を更新するステップ、HIKOEMONの内部状態に基づいて、動作を決定するステップを有している。

実際のHIKOEMONの形状は、人型やペット型ロボットなど、どのような形をしていてもよいが、少なくとも音声が出力できること、関節部分にモーターが備えられて、腕や首などが動くことが望ましい。ユーザーは、ロボットを自分の近くに配置して(たとえばソファの横に座らせるなど)、一緒にコンテンツを視聴する。もちろん、具体的な「モノ」としてのHIKOEMONではなく、VR用ヘッドマウントディスプレイを通じて、仮想空間にHIKOEMONを存在させても同等の効果を得ることはできる。この場合、ヘッドマウントディスプレイを通じて、正面にはコンテンツが再生され、横を向くとHIKOEMONが見える、という状況を実現することにより、ユーザーはHIKOEMONと一緒にコンテンツを視聴しているという感覚を得ることができる。

HIKOEMONは常にユーザーを観察している

あまり詳細に説明すると、将来HIKOEMONと一緒にゲームをプレイする際に興ざめとなってしまうかもしれないが、少なくとも特許出願公開公報に記載されている情報によれば、HIKOEMONは例えば自分でソファに着座するなどの高度な自律移動機能を有している。そしてユーザーの隣に座り、プレイヤーとしてゲームに参加することができる。例えばユーザーが野球ゲームをプレイする場合には、対戦相手チームをHIKOEMONがプレイするというわけだ。

このとき、HIKOEMONはステレオカメラにより、所定の周期でゲーム画面の前に座っているユーザーを撮影し、撮影画像を情報処理してユーザーの現在の感情を推定する。ここには、ユーザーの生体情報を検出する生体センサ、ユーザーの動きを検出する動きセンサ、ユーザー周辺の音声信号を取得するためのマイク等も併せて活用される。このようなセンサや、ゲームの進行など、得られる種々の情報を総合的に判断して、HIKOEMONはユーザーの感情を推定する。例えば喜び、怒り、ラブ、驚き、などの「感覚指標」を導出することによって常に変化していくユーザーの感情を常に推測していくのである。そして、ユーザーと一緒に喜んだり、励ましたり、ときには諭したりすることで、ユーザーとの親和性を高めていくように設計されている。

HIKOEMONは一緒に遊ぶだけではない

ユーザーとHIKOEMONとの関係は、実際の人間社会の人間関係と同様に管理される。実世界の人との間のコミュニケーションにおいては、良好な人間関係というものは相互に考慮して互いに接触すること、つまりは「思いやり」によって生成されるものである。もし思いやりが欠如した場合、思いは一方通行になったりして、互いの親切心は生まれないものである。HIKOEMON内部では「LOVEポイント」「人気レート」によってこのような互いの親切心、信頼関係が管理される。
 このような信頼関係の高まり、つまりLOVEポイント等が貯まると、HIKOEMONはあたかも友達のように振る舞うだろう。もしユーザーが不規則な生活を営んでいたら、規則的な生活をするように、例えば「もう寝る時間だよ」とアドバイスをしてくれるようになるとのことだ。

もし、今現在、あなたに友人(生身の)がいなくても、HIKOEMONが友達の作り方をアドバイスしてくれるかもしれない。一緒に遊び、一緒に学ぶパートナーがHIKOEMONであるような、そんな未来はすぐそこにある。

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。

コメントを残す