ホンダのウイルス・アレル物資シート生地がオフィスチェアに採用!「守り」から「攻め」へ、ホンダが特許戦略を見直す

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自動車各メーカーは自社製品の優位性を高めそれを「守る」ために日々の技術開発によって様々な特許を保有している。ホンダに至っては2019年現在で約5万件の特許を保有しその維持費用だけでも年間数十億円になると言われている。
そのホンダでは2019年から始まった特許管理の効率化とその見直し、いわば「特許の棚卸し」が行われ、それには費用面のみならず知的財産の戦略の見直しともとれるもので、これまでの「守り」の知財管理から、「攻め」の知財管理への戦略転換が行われているとされている。

ホンダの「攻め」の知財管理とは、一つには「既存業務の効率化」であり、もう一つは「知財の幅広い活用」にあり、いわば「特許ポートフォリオ管理」と「知財発のオープンイノベーション」にあると日経ビジネスは報じている。
そのうちの「知財発のオープンイノベーション」、つまり「活用」である。これは特許「守る」だけでなく「特許で儲ける」ことにも注力していくという特許戦略のおおきな見直しにあたる。

その「オープンイノベーション」の象徴的な発表が先ごろ行われた。内田洋行からのリリースで、2020年7月30日、ホンダの軽自動車「N-BOX」「N-WGN」に使用している抗ウイルス・抗アレル物質のシート生地をオフィスチェアに採用したと発表された。

今回のお題である「ウイルスを殺すシート」。「N-BOX」(写真)や「N-WGN」の一部車種に搭載されている「アレルクリーンプラス」という抗ウイルス・抗アレルゲン機能を備えた生地を採用したシートだ(写真:ホンダ)

内田洋行が活用した特許はホンダ、TBカワシマ、そして積水マテリアルソリューションズの共願案件によるもので、特許6023933 繊維製品および繊維加工剤でみることができる。
 【要約】優れた抗アレルゲン性と抗ウイルス性を有し、良好な外観を維持することができ、且つ、色移りしにくい繊維製品を提供する。また、当該繊維製品を製造するための加工剤を提供する。本発明の繊維製品は、その表面に、(a)リン酸ジルコニウムが1.0〜3.0g/m2、(b)芳香族スルホン酸系単量体からなる単独重合体が0.12〜0.4g/m2、(c)スチレンスルホン酸塩を含む共重合体が0.2〜0.8g/m2付着していることを特徴とする。また、本発明の加工剤は、成分(a)と、成分(b)と、成分(c)を、1.0〜3.0:0.12〜0.4:0.2〜0.8の重量比率で含む水性分散体であることを特徴とする。

インフルエンザウイルスを不活性化するメカニズム。抗インフルエンザウイルス剤がウイルスを吸着し、表面の突起を破壊したりエンベロープを破ったりする(資料:ホンダ)

この抗ウイルス性を備えたシート生地ということでは、やはり新型コロナウイルスが不活性化されるのかどうかに関心がおよぶところで、このことをホンダの開発担当者に問うてみると「試験に使うウイルスが入手できないため、現状では検証できていない」というコメントだ。ただ、以前から知られているコロナウイルスであれば入手できる可能性があるので、今後評価してみたいと考えているようだ。 

こうした抗ウイルス性を備えたシート生地は、自家用車もさることながら、タクシーやバス、さらには電車、飛行機など、不特定多数が利用するにもかかわらず洗濯しにくい様々なシートで、コロナ禍のなかで今後強いニーズがあるに違いない。

ホンダではこれまでにも、知的財産活用の一環で画像認識技術や異種金属の接合技術の提案に取り組んでおり画像認識技術では、スワローインキュベートに歩行者認識技術の特許技術や研究成果をライセンス供与。またスワローインキュベートは、人物検出技術を開発し、自動車以外の領域向けにWebアプリやWeb APIとして提供している。さらにアルミニウム合金とスチールを連続接合する摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding、FSW)は、設備メーカーを通じて自動車業界にも提案を進めており、このように「オープンイノベーション」による社会貢献も着実に結果をのこしつつある。

【参照】

https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00113/00044/?P=1

https://note.com/anozaki/n/n33b4d8a7dbc5

https://www.honda.co.jp/topics/2020/07-allerclean/

* AIトピックでは、知的財産に関する最新のトピック情報をAIにより要約し、さらに+VISION編集部の編集を経て掲載しています。